コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

白い墓標

2010-03-27 | Weblog
森林の巨木を切って、港まで運べば、いい値段で売れる。何百年もかかって成長した木々なのに、人々は一時の収入のために、惜しげもなく切っていく。貴重な原生林は、その木々が一本一本と、無慈悲に切られることにより、次第に縮小していく。森林破壊はそういう風に進んでいるのだろう、と私は想像していたのである。ところが、森林破壊の実態は、それよりもはるかに凄惨であった。破壊が進んでいるという、「モノガガの森(Mon . . . 本文を読む

バンコの森に玄関を

2010-03-26 | Weblog
急速に失われつつある熱帯雨林を保護するため、何か協力ができないだろうか。森や林の所有権や管理の権限などが明確でないコートジボワールでは、農業開発が進むことにより、豊かだった熱帯雨林が消滅していっている。あの雄大に聳え立つ木々が、何百年もかけて育った木々が、今日もどんどん失われていっている。急いで何とかしなければ。そう考えるのは、私だけでないようである。ドイツとスイスは、国立公園のうち、一番大きな熱 . . . 本文を読む

空手道と日本精神

2010-03-22 | Weblog
昨年の「柔道日本大使杯」に引き続き、今年は「空手日本大使杯」を開催することになった。コートジボワールの空手界でも、昔は「日本大使杯」が行われていたけれど、いろいろな経緯があって、1988年以来開催されていなかったという。それが22年振りに、復活する運びとなったわけである。150人あまりのコートジボワール人空手選手から、何日かかけて選抜され、勝ち残った28人が今日の朝から試合を行っている。私は、あと . . . 本文を読む

私は失望している

2010-03-20 | Weblog
翌日(3月17日)の各紙に、私の顔写真と大きな見出しが踊る。「日本大使、激怒のあまり、本音を吐き出した」「私は失望した、と日本大使」「日本は怒った」「コートジボワールの信用が、危殆に瀕している」予想を上回る反響になった。少しやり過ぎたかな、と一抹の反省が心をよぎる。もちろん各紙の見出しは、いつものことながら、表現が大袈裟にすぎる。私はそんなに怒ったりしたわけではない。でも、各紙がそうした表現で大き . . . 本文を読む

新外相に会う

2010-03-19 | Weblog
今回、第二次ソロ内閣において、何人も新顔が入閣した。大使としてはもちろん、どういう人が外相になるのかに、最も大きな関心があった。バカヨコ前外相は、選挙管理委員長に転出したので、外相ポストが空席になっていたのである。 新しく外相に任命されたのは、カク・ジェルベ氏(Jean-Marie Kacou Gervais)であった。カク・ジェルベ外相は、71歳。職業外交官出身で、アンゴラ大使(1982-92 . . . 本文を読む

県知事の現実

2010-03-18 | Weblog
稲作計画の機材引渡し式を行ったギトリ市(Guitry)は、昨年から県庁所在地になった。もともと、「ディボ県」の一部だった地域が、ギトリを県庁所在地とする「ギトリ県」として独立したのである。さて、今や県庁所在地になったギトリは、はて県庁所在地の名に値するような町だろうか。 とりわけ、道がひどい。町の中に、舗装道路が一切ない。それどころか、北の方向に42キロの距離を走って、ディボの町に入ってやっと舗 . . . 本文を読む

巨明王

2010-03-17 | Weblog
さて、式典のご挨拶が一通り終わり、私たちは農業機材が展示されている広場に場所を移して、機材の引渡しをする。広場には、トラクター、自動刈取・脱穀機、田植え機、精米機、種子散布機など、本格的な稲作用機械が並んでいる。稲作計画への日本の貢献を謳う、一番肝心の行事を前にして、私は少なからず気が重かった。実は、前日に会場の広場を、事前視察で訪れていた。そこで、私は唖然としたのである。トラクターや機械は、すで . . . 本文を読む