コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

TICAD閣僚会合の開催

2010-04-30 | Weblog
日本が音頭を取って、アフリカ各国の閣僚級の代表を一堂に集める。そして、アフリカ諸国の経済開発にかかわる問題を、一緒に議論していこう。そういう会議が、来週5月2-3日に、タンザニアのアルーシャで開かれる。「TICAD閣僚会合」と名付けられ、日本の岡田克也外相が議長を務める。 「TICAD」というのは、日本が主催(世銀、UNDP共催)して、1993年以来5年に一度開催してきているアフリカ首脳会議のこ . . . 本文を読む

靴の思い出

2010-04-29 | Weblog
こじんまりした会場に、段ボールの箱が積みあがっている。日本語で「渥美半島の菊」などと記してあるので、どうも花材を出荷するための箱のようである。この段ボール箱が、日本から90個届いたのだ。中には、お古の運動靴がぎっしり詰まっている。そして、今日は全部で2600足の運動靴の、日本側からコートジボワール側への引渡しの日である。この引渡し式に私を招いたのは、ボウン・ブアブレ開発相。日本からの運動靴を、彼の . . . 本文を読む

白色名簿の灰色疑惑

2010-04-28 | Weblog
新しい選挙管理委員会が、バカヨコ新委員長のもとで、活動を再開したはずなのに、その後なんの音沙汰もない。2月にブルキナファソのコンパオレ大統領がコートジボワールを訪問したときには、訪問後の声明で、「4月末から5月初め」に大統領選挙の第一回投票を行う、という日程が示された。その4月末がもう来ているけれど、見てのとおり、何も動いていない。人々は、バグボ大統領が大統領選挙をすると負けると思っているので、選 . . . 本文を読む

キャタピラの恩知らず(10)

2010-04-27 | Weblog
村から逃亡したキャタピラたちは、どこかで集合して組織を固め、また村に戻ってくるはずである。ロベールたちは、幹線道路を材木と古タイヤで塞ぎ、共和国防衛に備えた。数キロごとに、銃や鉈で武装した要員を置いて、監視した。国会議員や市長、憲兵もみな、ロベールの自警団を応援した。 カカオやコーヒーは、まだ収穫の時期ではなかった。でも、キャタピラたちが作っていた稲や野菜は、収穫できるまでに実っていた。ロベール . . . 本文を読む

キャタピラの恩知らず(9)

2010-04-26 | Weblog
ある日の朝、情報が届いた。どちらの方面か分からないところから、人々が攻めてきて、大統領の政権を覆そうとしたという。人々は仰天した。いったいどこの誰が。分からないまま、人々は家に閉じこもった。数日間は、情報が錯綜した。そのうちラジオ放送が、政権の転覆を企てたのはキャタピラと同族の連中だ、と報じはじめた。つまり、隣国のキャタピラが、わが国を攻撃している。そして、わが国在住のキャタピラも、この反乱軍に加 . . . 本文を読む

キャタピラの恩知らず(8)

2010-04-24 | Weblog
ようやく葬式の準備が始まった。すでに村の長が亡くなってから、4ヶ月が経っている。ロベールは、この地方出身の大臣ほか、地方のお偉方を訪ねて歩き、葬式への参加と貢献を求めた。皆、ロベールが大統領に会って、お金を貰ったと知っているのだが、政治の顔役としては、それでも何かしてみせなければならなかった。というより、ロベールはもう大統領と懇意であるらしいし、出世のためにはセネガルの呪術師にお金を払うより、口利 . . . 本文を読む

森林保護に協力する(2)

2010-04-23 | Weblog
「鳩山イニシアティブ」の一環として、コートジボワールにおける森林保護計画への協力がまとまった。無償資金協力の交換公文の署名式を、4月19日に、私とカク・ジェルベ外相との間で行った。総額15億円。環境省を通じて、国立公園局と森林公社が、計画を実施する実施機関となる。署名式には、ファディガ環境相も同席した。口上書に署名して、カク・ジェルベ外相との間で交換したあと、私は演説を行う。「日本は、気候変動に強 . . . 本文を読む

森林保護に協力する(1)

2010-04-22 | Weblog
布石を打つ、という言葉がある。国立公園局のカヒバ局長としては、まさに打った布石が見事に活きた、というところだろう。バンコの森の保護のために、日本に協力してほしい。カヒバ局長はそう私に頼んできた。私は、森林保護にはとても足りない小さい額(約1千万円)だけれどもいいかと断った上で、バンコの森の玄関だけを整備する協力案件を行うことにした。 私との間でバンコの森の玄関の案件を作りながら、カヒバ局長は、玄 . . . 本文を読む

キャタピラの恩知らず(7)

2010-04-21 | Weblog
1週間ほど経って、国会議員により大吉報がもたらされた。大統領が、村の長の遺族とお会いになるというのである。国会議員が村の長の葬式の話を、大臣にしたところ、大臣はさらに大統領に話した。そうしたら、大統領は、その村の長なら自分の遠縁であると言ったというのである。つまり、村の長の父親は、大統領の父親の何人かいる妻の一人の従兄弟にあたるらしい。それで、大統領は直接ご遺族に、お悔やみを伝えたいとのご意向なの . . . 本文を読む