コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

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カカオの木の研究

2010-04-13 | Weblog

果物屋のおばさんのところで買ってきたカカオの実を、そのまま割らずに置いておいたら、染みが広がって真っ黒になった。表面は乾いてかさかさになっている。それで、中はどうなっているのか。おそるおそる割ってみた。中も乾いて、真っ黒である。白かった果肉が、黒色に変色し、粉を吹いたように点々と黴が生えている。カカオ豆は駄目になったかと取り出してみると、いやいや、豆から何やら白い尾のようなものが出ている。発芽しているのだ。

それで、ここはひとつ、これを植えてみようと思いついたわけである。公邸の庭に、カカオ農園を作ってやろう。それで、鉢を見つけてきて、真っ黒になったカカオ豆を、適当に蒔いて、土を被せておいた。1週間ほどして行ってみたら、緑の茎を上に伸ばして、双葉を出そうとしている。さらに1週間ほどで、もう立派な本葉を出している。そのまま1ヶ月置いておいたら、鉢の上でたくさん葉をだして、ちょっとした茂みになった。さて、これを地植えにしよう。

さて、カカオ栽培の手引き書がある。どういう場所に植えたらいいのか、この本で調べる。
「カカオの木は、22度から25度の気温と、少なくとも年1500ミリの降水量が必要である。平均気温が15度以下になる月があってはいけない。」
やはり、コートジボワールのような、熱帯雨林の気候でなければ育たない木なのだ。

「常に湿度が高いことが必要であり、乾いた風が当たることは禁物である。川などが近くにある土地が適している。」
なるほど、水分や湿気を切らしてはいけないようだ。
「土地は腐葉土などにより肥えていること。また根を張るために、土が深いことが大切。土は粘土質でも構わない。」
森林を切り開いた土地が、カカオ農園に適していることが分かる。

続けて、面白いことが書いてある。
「母の木の傍に植えること。」
母の木というのは、カカオの木に木陰を提供する木のことである。カカオの木は、日なたでは育たない。少なくとも若木のうちは、木陰がなくてはならない。
「最初の2年間は、直射日光を50%以上遮蔽する必要がある、その後、木が茂ってくれば、日陰を取り除いても良い。」

母の木としては、何がいいのか。日陰を作るために、多くの場合は、バナナの苗と一緒に植える。バナナはカカオよりも早く育って、しかも大きく平たい葉を広げるから、陰を作るのにちょうどいい。しかも、カカオの木を植えてから、実が収穫できるようになるまでの間、先に大きくなるバナナを収穫していればいい。バナナの代わりに、母の木として、油椰子の木や、ゴムの木を使うこともある。カカオ農園を作るときには、カカオとバナナ(あるいは油椰子かゴム)を交互に植えていく。

それでは、とバナナの苗を手に入れに行く。バナナの木というのは、木というよりは巨大な草である。地中の芋のような球根から大きな葉を生やして広げる。大きさが違うだけで、カンナやダリアと同じだ。その成長力は旺盛で、根本から切り倒しても、数ヶ月すれば元通りに茂る。公邸の道路を隔てて向かいの藪に、雑草のようにたくさんバナナの木が生えている。バナナの木の近くを探すと、たくさんの子株が出ている。これを掘り取ってくればいいのである。

というわけで準備が整ったので、10本ばかりのカカオの苗を、バナナの苗とともに植えた。わがカカオ農園のはじまりである。ちなみに、カカオもバナナも、コートジボワールに元からあった植物ではない。農園経営のために、ヨーロッパの入植者によってもたらされた植物である。それは、油椰子やココ椰子にも言える。海岸などにあれだけ生え放題の椰子も、すべてアフリカの外から、人の手によって連れて来られた植物なのだ。ゴムの木もそうである。つまり、元からあった原生林は切り倒され、こうした外来の植物が植えられてきて、今やそうした外来の植物のほうが目立つようになった。

さて、このカカオの苗が、木に育って、そして実を付けるのは、7年から8年後だと書いてある。そこまでは待てないので、話をコマ送りにしよう。カカオの花が咲いたところを見に行く。あのような大きな実をつけるのであるから、さぞかし大きな花が咲くかと思いきや、これが花かと思うくらい小さな花である。色は白で、淡いピンクがかっている。しかもこれが、木の幹に咲く。熱帯の植物には、どういうわけか幹に直接花を咲かせるものが多い。カカオもその一つである。幹にたくさん花が付くと、何だか白い虫が大勢群れているように見える。

だから、実も幹に直接なるのである。小さな実が幹に付いたかと思うと、それがどんどん膨らんでいく。果物というと、普通枝の先にたわわに実るというふうに想像する。ところが、カカオではあのラグビーボールが、幹の瘤のように実る。木が十分成長して、勢いが良いと、十数個を乳房のように幹にぶら下げ、これはけっこう奇観である。

というところまでは、私の農園はなかなか行かないだろう。それでも、この苗木は果たして公邸の庭で、バナナと一緒にすくすく育っていくだろうか、ちょっとした園芸の楽しみを覚えている。

 黒く変色したカカオの実を割る
下は取り出した豆。発芽して根が伸びている。

 蒔いてみると、双葉が出た。

 さらに本葉になった。

 苗が育つ。

 バナナの木。木陰を得るために、並べて植える。

 カカオの花は、木の幹に咲く。

 近づいて見ると、淡いピンク色である。

 実が付き始めたところ

 えいっ、と風船を膨らすように大きくなった。

 ここにも実を付けている。

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1 コメント

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カカオ (平手 ○○)
2015-02-07 19:19:38
どこて育てているんですか? 教えてください。

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