コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

悪魔は詳細に潜む(2)

2010-09-30 | Weblog
どうも、ただ資金が足りないというだけでなくて、選挙準備の作業を進めていく態勢にも目途が立っていない、という深刻な事態である。以前から、ドイツの事業体(GTZ)が作業を請負うという意思を示してきていて、ドイツ大使などもその根回しに動いていた。ところが、この土壇場になって、いや土壇場になってしまったので責任が取れないといって、そのドイツ事業体は手を引いた。選挙管理委員会は、窮地に立たされている。 と . . . 本文を読む

悪魔は詳細に潜む(1)

2010-09-29 | Weblog
悪魔は詳細に潜む(the devil is in the details)と言う。物事を企画するとき、全体の筋立ては立派に計画してあっても、具体的に動かすための個別の項目の詰めがおざなりだと、それが原因で、結局はその企画は失敗する。そのことを戒めた言葉である。 大統領選挙を10月31日に行う、という筋立てに従って、大枠のところは着実に進んでいる。選挙に向かう政治的な意思は確認され、選挙人名簿は確 . . . 本文を読む

確実に前に進んでいる

2010-09-28 | Weblog
今度こそ選挙がある、という雰囲気が、日増しに強くなってきている。これまで半信半疑だった人々も、9月21日にワガドゥグで「協議継続枠組」の会合が行われてからは、これは本当に選挙に行くことになるのだ、と思い始めている。この会合は、2007年3月の「ワガドゥグ合意」に従って、大統領選挙と国家統合を行っていくための、最高意思決定機関となっている。バグボ大統領、ソロ首相、ベディエ元大統領、ウワタラ元首相の4 . . . 本文を読む

白亜のパビリオン

2010-09-27 | Weblog
さて、日本の経済活動の背後に、国民の「制度への信頼」があることを説明した。それとともに、私は日本の高度成長の原動力として、「国民共通の目標」があったことを挙げることにした。「1960年、当時の池田総理大臣が「所得倍増計画」を打ち出しました。10年間に、国民所得を倍増させるという目標です。国民はこの言葉に希望を持って、よしこの目標を胸に働こう。お父さんもお母さんも、身を粉にして働いたのです。人々が、 . . . 本文を読む

制度に対する信頼

2010-09-25 | Weblog
私は、日本経済における「家計」の姿について、説明を進める。 「さて、そうした勤労意欲を支えていたものは、何であったでしょうか。ここに、日本の成長の秘訣があります。私は、これはまさに、「家計」が、経済の主体として堅実な役割を果たしてきたところにある、と考えます。マクロ経済学でいう、「家計」・「企業」・「政府」の3つの主体のうち、「家計」は消費、貯蓄、労働力提供、そして納税の機能を担っています。「家 . . . 本文を読む

経済人に日本を語る

2010-09-24 | Weblog
約一ヶ月ほど前のことである。この国の経済・産業界の人々を集めて、「アフリカ経済フォーラム」という検討会を行う計画である、ついては、開会の挨拶のところで、雛壇に並んでほしい。フォーラムの主催者代表が私を訪ねて、そういう要望を伝えてきた。私は聞いた。なぜ、私が呼ばれるのですか。「大使は、活発に活動しておられ、テレビにも新聞にも出ておられるから。」有名で、皆が顔を知っているから、という。それじゃ、客寄せ . . . 本文を読む

これが選挙運動だ(3)

2010-09-23 | Weblog
バグボ大統領は、続いて貴賓席に座る面々に向かって語り始める。まず、ティアサレ市長のほうを向く。「ティアサレには、思い出があります。20年前、私の政党が合法化されて、はじめて公然と政治活動ができるようになった。私はティアサレにも来ました。1990年。でもまだ、誰もが当時の政権に遠慮して、私の演説をする場所を認めてくれない。私は仲間といっしょに、仕方がないからということで、そこの公設市場に来た。将来の . . . 本文を読む

これが選挙運動だ(2)

2010-09-22 | Weblog
最初に演台に立ったのは、ティアサレ市長である。大袈裟な歓迎の文句のあとに、バグボ大統領の偉業を称える。 「バグボ大統領は、ティアサレの町を総合病院を整備し、救急車を配備してくれました。市民一同、大統領にはたいへん感謝しています。今回は精米工場の開所式ということで、大統領に来ていただいた。しかしながら市長としては、バグボ大統領には、ぜひとも選挙の終わった後、ティアサレに大統領としての公式訪問をお願い . . . 本文を読む

これが選挙運動だ(1)

2010-09-21 | Weblog
お米や稲作の話になると、私に声がかかるようになった。それで、今度はティアサレ(Tiassalé)という町で、精米工場の完成式があるので、日本大使にも参加してほしいということである。私は喜んで出席しましょうと答えた。なぜなら、完成式にはバグボ大統領が主賓だという。それなら、バグボ節が聞ける。私としても出るかいがある。それから、ティアサレという町にはちょっと個人的な関係がある。その町を私 . . . 本文を読む