コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

相互扶助と自立

2009-07-31 | Weblog
マンに出かけたときに、食事の席で一緒になった人たちとの会話である。一人は、スレイマンさんで、「コートジボワール人権運動」というNGOの事務局長をしている年配の男性。もう一人は、ウワタラさんで、マンの婦人たち50人ほどで結成している、「婦人の自立と開発のための組合」を運営している、40歳くらいの女性である。ウワタラさんの組合の名前に入っている、「自立(autonomie)」という言葉から、話題が発展 . . . 本文を読む

ティケン・ジャーが歌う

2009-07-30 | Weblog
「俺はマレンケ族だという、お前はベテ族だという。パパはジュラ族だ。でも、みんなコートジボワール人さ。俺はムスリムだという、お前はキリスト教徒だという。先祖はみんな自然崇拝だ。そして、みんなアフリカ人さ。」 ティケン・ジャー・ファコリさんが「アフリカ」を歌い出すと、聴衆は大騒ぎだ。数百本の腕が、空に突き出る。レゲエという音楽では、常に4拍子のリズムが、莫大な音量で流される。単調な音階が展開する中に、 . . . 本文を読む

大使の気品

2009-07-29 | Weblog
小型武器追放のコンサートが始まる前に、公式の開会式と、来賓からの挨拶がある。私も、挨拶の言葉を述べるように求められていた。マン市長、主催者の「ラザラオ」代表、国連開発計画(UNDP)代表に次いで、4番目にお願いしたい、と言われた。今日の行事は、単なるコンサートではなく、集まった人々に、平和へのメッセージを伝え、小型武器の危険について訴えるという趣旨である。つまり、この挨拶の部は、音楽と同じくらい重 . . . 本文を読む

憎悪を増幅する道具

2009-07-28 | Weblog
小型武器の話をすこし補足しよう。 紛争が武器を必要とし、武器を引き寄せると考えられている。現実を見ると逆で、武器が紛争を引き寄せている。銃などの小型武器が広がると、その社会では、銃を手にした荒くれ者の支配を許してしまうことになる。銃だけが物を言う、無法地帯となった地域では、普通の真面目な人々、とくに女性や子供といった弱者が、暴力の犠牲になる。そして、武器があるから、戦争にならないでよかったはずの対 . . . 本文を読む

日の丸を舞台に

2009-07-27 | Weblog
悪い予感があたった。コンサート開始までまだ時間がある午前中に、一度会場の様子を見に来たのだ。そうしたら、欧州諸国の国旗、フランスやスペインやスウェーデンなどの国の国旗は、ステージ前の横断幕に並んでいるのに、日本の国旗、日の丸がない。 今日は、コートジボワールの西の端にある、マン(Man)という街に来ている。ここで、小型武器追放のキャンペーンの一環で、若者たちを集めて野外コンサートが行われるのである . . . 本文を読む

豚肉で村おこし

2009-07-25 | Weblog
豚というのは、施設さえ整えれば、養鶏などに比較しても、あまり面倒をかけずに育つらしい。子豚はどんどん生まれてくるし、餌をきちんと与えれば、4カ月くらいでもう成体になる。ワクチンを投与しておけば、病気にも強い。それから数カ月かけて、十分太らせて商品価値を付け、そして市場の需要を見ながら、売りに出す。 その養豚を、村の主力産業にしようという取り組みを始めた人がいる。他ならぬ、ボウン・ブアブレ計画開発相 . . . 本文を読む

女性に投資しよう

2009-07-24 | Weblog
「世界人口デー」というのがあって、7月11日に定められているそうである。毎年、コートジボワールでは、一つの市を選んで、この日にそこで人口問題にちなんだお祭りを行う。今年は、アゾペ(Adzopé)という、アビジャンから北に100キロのところにある市が選ばれた。お祭りの主催者である計画開発省の、いつもお馴染みのボウン・ブアブレ計画開発相が、私に一緒に出かけないか、と誘ってきた。彼の招待な . . . 本文を読む

日本が出題された

2009-07-23 | Weblog
科目:地理 (第二問)次の文章を読んで、問いに答えなさい。 「賞賛され、羨望され、あるいは恐れられ、模倣され、神話化されている日本。その日本は、かつて騒音を立てながら20世紀を迎えたことを思えば、今はそれに比べて随分気力を失った様子で、21世紀を歩み出した。 日の出ずる国、世界第二の経済大国は、いわゆる「失われた十年」をやり過ごしたばかりである。1990年代初頭からのこの時期を通じて、日本モデ . . . 本文を読む

赤道直下のさそり座

2009-07-22 | Weblog
「域内海洋技術研修所」に視察に出かけたら、意外な施設があった。プラネタリウムである。本館の横に、半球状のドームが設えてあって、その中で星空を映し出す実演をしてみせてくれた。船員たちは、外洋を航海しながら、星空を使って自分の位置を正確に把握しなければならない。宇宙全体が描き出す大きな天空の地図から、六分儀などを使って、地球上の自分の位置を測定するというのは、船員として学ぶべき基本的な技能である。だか . . . 本文を読む