2013.5.17「橋下さんへ、辞職勧告」市民行動第一波(報告)
本日、大阪では、橋下さんに辞職を勧告する市民行動第一波とも言うべき抗議集会が、日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワーク(関西ネット)の呼びかけにより開催されました。急な呼びかけであったにもかかわらず、しかもフルタイムで仕事をされている人には参加しにくい時間であったにもかかわらず、多くの人々が中之島大阪市庁舎前に集まりました。これは、5月13日から続く、橋下市長の一連の発言に対する怒りの表れと言えます。
戦時下であれば必要な制度と、旧日本軍性奴隷制度を肯定し、それが批判されると、歴史的事実である「慰安婦」問題を自らの独断的な解釈により歪曲し、そして、それだけにとどまらず、ついには諸外国でもあったはずと歴史までねつ造するありさまに声を失った市民は多々いました。また、沖縄で米軍による性犯罪を防止するためと称して「風俗」活用を持ち出すなど、女性蔑視にとどまらず広く人間への冒とくとも言える発言に対し、世界中から批判が巻き起こっています。
「橋下さん、市長を辞めてください」とは、私たち大阪に住む市民の悲痛な声とも言えます。これ以上の暴言は謹んでください。旧日本軍性奴隷制度の被害者であるハルモニたちに必要なことは同情や哀れみではなく、心からの謝罪なのです。ハルモニたちの人間尊厳を再び冒したあなたの責任は、公職からの辞職しか果たし得ません。
関西ネットからの怒りの抗議文は、直接橋下市長に手交できませんでしたが、市庁舎を約400名の人間の鎖で包囲し、「ハシモト ヤメロ!」の声は庁舎に鳴り響いていたはずです。そして、なにより、これは市民による橋下さんへの抗議行動の第一波でしかありません。今後あなたが自らの発言の責任を取るまで、大阪の市民は抗議行動を続けます。
日本軍「慰安婦」問題・関西ネットワークの抗議文
橋下市長!
日本軍「慰安婦」問題へのたび重なる暴言に、断固抗議します。
私たちは、昨年8月21日の橋下市長による「『慰安婦』という人たちが軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられたという証拠はない」との発言に抗議したことに始まり、以後、繰り返し、発言の撤回と謝罪を求めてきました。しかし、橋下市長は私たちの声に一切耳を傾けることなく、暴言を吐き続けています。
そして今回、さらに暴言の内容をエスカレートさせ、自ら、日本中、いえ、世界中からの非難と嘲笑をますます拡大させていることを自覚しておられますか。
橋下市長は5月13日の会見で、「事実と違うことで、わが国が不当に侮辱を受けていることに関してはしっかり主張しなければならない」と言いながら「慰安婦」問題に言及し、「慰安婦」制度は世界各国が持っていたと繰り返し、「なぜ日本だけが非難されるのか」と主張しました。これは昨秋から繰り返されている論理ですが、幼稚で、受け入れられるものではないということに、まだ気づいておられないようですね。国際社会からもこれほど関心を寄せられている問題について、自らの歴史認識も問わず、根拠もなく世界を巻き込もうとする姿勢に、いったい誰が共感すると思われているのでしょうか。
さらに、「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、精神的にも高ぶっている猛者集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、『慰安婦』制度が必要なのは誰だってわかる」と発言されました。まったく、返す言葉を失う発言です。女性を人間として見ず、戦争遂行のための道具であり、戦時下で女性の性を活用するのは当然と言わんばかりの女性蔑視の発想は、かつて戦場に慰安所を生み出した日本軍の男たちと同じものです。さらに、「『慰安婦』制度じゃなくても、風俗業っていうものは必要だ。沖縄の海兵隊、普天間に行った時、米軍の司令官に『もっと風俗業を活用してほしい』『そういう所を活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的エネルギーをきちんとコントロールできない』と言った」とぬけぬけと語る厚顔無恥ぶりは、公職にある者の態度では決してありません。一自治体の長にとどまらず、政党の代表として、女性の人権に配慮した政治をめざすことは、日常的な務めであるはずですが、風俗業で働く女性たちに人権問題は存在しないとお考えなのでしょうか。
また、橋下市長は昨年来一貫して、「世界各国が一番問題視しているのは、日本が国を挙げて女性を暴行、脅迫、拉致をして無理やりそういう仕事に就かせていたこと」であり、「レイプ国家」と非難されるのは許せないと言い募りますが、果たしてそうでしょうか。この間、安倍首相の「河野談話」見直し発言に噴出した各国政府やメディアからの非難をご存知ないはずはないでしょう。国際社会の認識は、市長が持っている認識とは明らかに違います。女性たちが「意に反して」慰安所に捕らわれ、居住の自由、外出の自由、廃業の自由、拒否する自由もない中で兵隊の性処理の相手を強要されたこと、そのような非人間的な制度を軍が主導して、軍が管理統制していたこと、そしてその事実に対して未だに日本政府が、「官憲が暴力的に連行」してさえいないと弁明すれば国家の威信が守られると思い込んでいる、その人権感覚の無さ、お粗末さと歴史を直視して一歩踏み出す勇気や正義感の無さを非難しているのです。まさに橋下市長、あなたこそが国際社会の非難の的になっているのです!もちろん、安倍首相も同じです。
私たちは5月25、26日に、大阪と奈良での証言集会のために訪れるハルモニを迎えるにあたって、市長との面談を要求してきました。それは、金福童ハルモニにとっては二度目の市長訪問になります。昨年、市長は「証拠があるなら韓国側に出してほしい」と言いながら、9月に「私が証拠です」と市庁を訪れた被害者との面談に応じず、公務がないと休暇をとってツイッターで「慰安婦」否定発言をしていました。ハルモニは、「二度と私たちのような被害者を出さないでほしい。戦争は二度としないでほしい」と、いつも語っておられます。現在のこの国の状況を憂えて、「日本へ行って話したい」と言われ、今回の来日が実現したのです。このたび、ようやく被害者ハルモニたちが橋下市長に歴史の事実を語る機会が実現しそうですが、橋下市長、決して同情ではなく、この日本軍「慰安婦」問題を被害者の立場に立って解決することをめざして会ってください。そして、この間の暴言を被害者の前で撤回し、謝罪すべきです。
橋下市長、吉見義明さんにも誠意を見せなければいけないのではないですか。「吉見さんも強制の事実までは認められないと言っている」との市長の発言に、吉見さんは「事実無根」と、東京より抗議声明をもって面談に訪れられたにもかかわらず、市長は理由もなく面談を拒否、その日の夕方に記者会見で「戦争遂行の一つの手法の中で、女性にそういう性の仕事をしてもらうことは全世界的にあった」「なんで日本のことだけ国際社会が非難しているのか」と語りました。またしても、問題の本質がわかっていないことを自らさらけ出し、多くの人々の怒りを買ったのでした。
私たちは、橋下市長の日本軍「慰安婦」問題へのこのようなたび重なる暴言に、断固抗議します! 橋下市長がいくら否定したくても、戦時において日本軍が慰安所制度を創設、募集、管理にいたるまですべての責任を負っていたこと、朝鮮半島をはじめアジア各地で数万から十数万に及ぶと言われる女性たちを日本軍性奴隷としてすさまじい暴力と人間破壊の現場に追い込んだ事実は、誰も消せない歴史的事実です。