庭の花たちと野の花散策記

山野草と梅が大好きの「雑草」。花以外は思考不可の植物人間の庭の花と野の花散策記です。

ハスの生育状況確認

2024年08月08日 | 庭の花たち
 ハスの生育状況外観
経緯 
1 種から発芽した実生苗4株を、左側の樽に移植しました。
2 そのうちの2株を、中央と右側の鉢に移植しました
3 左側の樽の生育が良好なので、2株では狭すぎると考え、1株にしました。 ただし引き抜いた株は地下茎が途中から切れてしまい、一部が樽の中に残りました。
以上の各鉢1株、計3株が発芽後2か月余り経過しました。外観上の結果は、
1 大きな容器の樽で移植後は植え替えしなかった株が大きく成長しました。
2 少し小さい容器の鉢で、移植後に植替えをした2株は成長が遅いという結果です。
 樽のハス
大きな葉は高さが約75cmあまり。
 樽のハス
葉の直径は37cmほどになりました。
 鉢のハス
もっとも大きい葉で52cm
 鉢のハス
葉の直径は17cmあまりです。
原因は主に二つです。容器の大小によって生育が抑えられてしまう。
植替えによっても生育が抑えられてしまう。
 樽のハスの新葉
樽のハスに突然大きな新葉が出てきたのは7月28日でした。
 樽のハスの新葉
葉柄もこれまでよりは太く、鉛筆の太さと同じです。
前回2024年07月13日「ハスにはトゲがあった」で紹介している葉です。
このように成長が早いと、思わず花は何時咲くのだろうと考えてしまいます。
 園芸店の説明では「うまくいけばその年のうちに開花することもあります 」とも説明されています。とはいっても今年は無理でしょうが、来年は咲かせてみたくなります。
 そこでハスの花芽はいつ、どこにできるのかを知りたくなりました。
『ハス(Nelumbo nucifera)の分枝と花芽形成に関する研究』というのが見つかりました。これは博士論文 で80ページにもおよぶもので、とても読破しかねるものですが、知りたいところをかいつまんでみたところ、雑草なりに理解したのは、
 種から発芽した場合、『観察したすべてのサンプルで第 11 節 以降に花芽が普通葉背軸側基部に確認された。』ということでした。
  すでに種の中には4節があって、発芽すると地下茎のこの4節の各節に1枚の浮き葉が出てきます。水面に浮いている葉です。
 この4節めから地下茎に枝ができますが、主軸となる地下茎が伸びて行き、11節めからは全ての節に顕微鏡下で花芽が確認されたそうです。
 ハスの浮き葉の数
 ハスの発芽苗は最初は水面に浮いている浮き葉が10枚近く出てきた後に、水面から立ち上がった立ち葉が出てきます。そこで、庭の3株の浮き葉の数を確認したところ、8~11枚くらいありました。もしかして立ち葉が出てきたときには、立ち葉を出した節には花芽があるのかも。そうなら、立ち葉が4~5本になっているので、花芽もできているかもしれません。
 でもちょっと待った。浮き葉は地下茎の枝からも出るはず。ということは、浮葉の数より主軸の地下茎の節の数はすくないから、最初の立ち葉は11節目よりも前に出ているはずで、最初の立ち葉の節には花芽は無いはずだが。
 とにかく見えない地下茎の節を、見えている浮き葉と立ち葉の数で推定するのは難しいことです。
 それに、この論文の発芽時期は、4月下旬ころで、庭の発芽はそれよりも1か月以上も遅いので、また、生育環境も違うので、論文の結果よりも割引いて考えなければなりません。
 鉢が漏水
地下茎の生育具合を知りたいと思っている矢先に、右側の鉢が漏水するようになりました。この鉢は、鉢の中にダストボックス用のポリ袋をいれて、水をためているのですが、このポリ袋は漏水を完全に防ぐにはやや不安のあったものです。それで、鉢の水の減り具合は、中央より右側がほんの少し早く、ハスが消費する水の量よりも減り方がほんのわずか多かったので、ちょっぴり漏水していると感じていたのですが、急に減り方が増えてしまいました。
 それで、思い切って樽に植え替えて、そのついでに地下茎の様子を確認してみることにしました。
 ハスの地下茎の掘り起こし
地下茎はいわるるレンコンですから、不用意に引っ張ったりするときれてしまうので、レンコンの収穫の時のように、ホースで水を勢いよくだして、レンコンから土を分離しました。
 ポリ袋ごと取り出す
鉢の中の土がすべてやわらかくなり、レンコンから離れたので、ポリ袋ごと鉢から取り出しました。何とポリ袋の底から地下茎の先端が袋を突き破って出ていました。地下茎が出たポリ袋の底は、鉢の土の表面から約20cm以上も深い場所です。そういえばレンコンの収穫は、腰付近まで水につかって作業しています。ハスの地下茎はかなり深い場所まで行くのでした。
 袋を突き破った地下茎の先端
意外と太いです。地下茎は夏の間中伸びますが、それほど太くはないそうです。それが秋には地下茎の先端部の数節が太くなるそうです。この太った地下茎を食用として売り出されるわけです。
 なぜ、袋の底を突き破ったのかを考えました。このポリ袋を使った鉢はわずかながらどこかで漏れていたようです。ということは地下茎は地中のわずかな水の移動を感知して、ほんの少しの隙間の位置を求めて伸びて行ったのではないでしょうか。
 袋を破って地下茎の土を洗い流しました。
 

地下茎の詳細な様子を確認しました
 地下茎の主軸を中心に生育状況を確認しました。
1 1~4節は種の中にすでにあった節で、発芽後地下茎が伸びて浮葉が4枚出た
2 5節以降は発芽後に伸びた地下茎で、8節までが浮葉が出た。枝分かれした地下茎からも浮葉が出たが詳細は省略する。以下も枝別れした地下茎は省略。
3 9節で主たる地下茎が2本になった。9節で初めて立ち葉が出た。A
4 10節以降は主たる地下茎が2本となり、浮き葉は無く、立ち葉のみとなる。
5 系統1の地下茎は10節・Bと11節・Cに立ち葉が出た
6 系統2の地下茎は10節・B、12節・C、13節・Dから立ち葉が出た。11節の葉芽は出始めたときに何らかの障害があってか、枯れていた。
7 袋を破って出たのは系統2の地下茎の先端である。
 先端部の太さはほぼ鉛筆ほど。立ち葉の茎の太さより太い。
 ・・・ということは樽のハスの立ち葉の鉛筆くらい太い葉柄ならば、地下茎の先端は鉛筆よりさらに太いと推定できる。

 論文によると11節以降に花芽が形成された(顕微鏡で確認)ということで、すでに14節まで伸びているので花芽の形成があったものと推定できる。ただし、花が咲く花芽はごくわずかで、大多数は花芽が枯れてしまうとのこと。

 以上のことから論文に近い成長を遂げれば、早ければ、来年夏には花を咲かせる可能性がわずかながらもあると期待できる。
 但しこの株は、本日植え替えたので、植替えによるダメージがあって花が咲く可能性は極々少ない。
 初めから樽に植えた左側の株のほうが、現時点でも鉢に移植した株よりも成長がより進んでいるので、花の咲く可能性が少しは高いと思われる。
 花が咲く可能性の順番は
    樽のハス>中央の鉢のハス>植え替えた左のハス
 果たして来シーズンまで管理をしっかりやって、花が咲くのかどうか、楽しみでもあり、まだまだ経験したことのない課題もあり、不安な緊張の続く事でもあります。





 





コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする