脚本:三谷幸喜
出演:戸田恵子
会場:パルコ劇場
大河が終わって、2年ぶりの新作は戸田恵子の一人芝居。
たった一人で2時間出ずっぱり。ミヤコ蝶々の幼少から晩年までを見事に演じました。
たった一人で観客を引き込むのは大変難しい。演じるほうが目いっぱいがんばってしまうと、逆に見ている方が気恥ずかしくなってしまうものです。しかしさすがに戸田恵子。完璧にこなしながらも明らかにまだ余裕で力を残している。こちらも安心して身を任せることができます。
脚本は今回も最後までトリッキーな仕掛け。(ネタバレです)ミヤコ蝶々の本を出版するために取材に来た記者に、自分の人生を語って聞かせるという設定から過去に飛び、2時間かけて現在に戻って来たところで、それまでの一人語りが「これからやってくる新聞記者」とのやりとりの一人リハーサルだったという構成。見事です。
セリフはもちろん戸田恵子にしかないのですが、聞こえない相手役のセリフも実はすべて脚本にはあるそうです。しかも相手役も三谷幸喜の中では最初から想定している役者が決まっていて、セリフは彼らへの当て書きとのこと。うーむ。想定役者名はこちら。http://shibaroku.blog.ocn.ne.jp/hitorigoto/2004/12/post_8.html
一人舞台が単調にならないよう、さまざまなアイデアが演出に盛り込まれています。楽屋に置いてある何気ない道具たちが形を変えて、衣装になったり別の小道具になったり。そこにいない人物をライティングと音で巧みに表現。音は舞台セットの更に上に女性パーカッション奏者とマリンバ奏者(たぶんオケピからいる人たち)がBGMから効果音までの全てを生で演奏。
いろんな能力が理想的な形で一体化した幸運な舞台だったと思います。とりあえず、同じ時代に生きられて私たちもラッキーでした。