大学病院で実習をしていると、『現実』の壁に、ぶちあたって、悲しい。
理想と現実は、当たり前だけど、かけ離れていて。
心不全で緊急事態の人への救命処置を、15人くらいの人が覗き込んでいる。
カーテンの隙間から。
申し訳なさそうに、でもなく、見えない見えないと、おしくらまんじゅうで。
ご家族は、ろうかの隅に追いやられていて。
でも、バタバタしている様子、まわりに群がっている沢山の学生と研修医の姿は見えているはず。
私たちに必死ムードはなく(処置をしている先生方は必死)、教科書と見比べつつ、おしゃべり。きっと無理だろうね、いや今夜大丈夫なら、いけるかも、なんて話している。
ご家族からは、談笑しているようにも、見られているかも、しれないのに。
私だったら、絶対やだ。
私が患者さんでも、ご家族でも。
これが、昨日感じた、いやーな、感じ。その1。
いやーな感じ、その2。
今循環器内科を今回っているんだけど、数日前に、循環器関係のカンファレンスが明日新宿であるから、いける学生さんは行ったら、と先生が言った。
「交通費を出してあげるから」
興味のなかった私は、すぐさまNOと言った。他5名くらいの学生は行くらしい。
単純に、東京に行けるから(タダで)と。
有名一流ホテルのご飯も食べれるから(タダで)と。
今日知ったことに、
『その交通費は製薬会社さんがだしてくれるんだってよ~』
どうやら、勉強会&新薬説明会、らしい。
その製薬会社は、N社。
夏にイギリスで、ジェネリック薬の特許の話で、もめたあの会社だ。
よく、廊下に立ち並んでいて、先生たちにペコリペコリ頭を下げる、MEさん(製薬会社のセールスマンの方々)たちを、見かける。
何の権力も、知識も、技術もない私たちにも、ペコリペコリ。
私だったら、あんなお仕事嫌だ。と私が言うと、
「でも、彼ら医者より給料もらってるから」とさめた学生の声。
科によるけど、ある科では
製薬会社さんの、新薬の説明会(豪華なお弁当付き)が1週間に3回以上あったりする。1つのお弁当、3000円以上。
違和感、嫌気を感じている人は、少ないの?
「今日、お弁当会だってー!ラッキー!」
「○○科のお食事会、こないだ、▽△ホテルであったらしいんですけど、ご飯微妙だったらしいですよ」
「○○科、USBもらったんだってー!!超うらやましくない?」
「このボールペン、1色ジャン。どうせなら、3色がよかったよーー」
こんな会話、聞こえてくるのも、すっげー、やだ。
何か、間違ってないの?
私は、テーブルの前に並ぶお弁当の山を見て、
これを全部、ホームレスの人に持って行きたいと、ため息をつく。
毎回5個以上は手付かずのものが残る。
こんなお金はいいから、薬の値段を下げて欲しい。
先生方は、こんなサービスを受けて、薬を使うかどうかを、決めるの?
結局、決めるのは、「安くて、効く薬」なんじゃないの??
製薬会社と、病院、超密接な、日本。
必須医薬品、すべての人に公平なアクセスを、って散々話し合っても、
無意味にしか感じられず、ぼやきたくなる。
なにか、間違ってんじゃないの。