今日は岸田衿子さんの「南の絵本」という詩を思い出したりしている。
南の絵本 岸田衿子
いそがなくたっていいんだよ
オリイブ畑の 1ぽん1ぽんの
オリイブの木が そういっている
汽車に乗りおくれたら
ジプシーの横穴に 眠ってもいい
兎にも 馬にもなれなかったので
ろばは村に残って 荷物をはこんでいる
ゆっくり歩いて行けば
明日には間に合わなくても
来世の村に辿りつくだろう
葉書を出し忘れたら 歩いて届けてもいい
走っても 走っても オリイブ畑は
つきないのだから
いそがなくてもいいんだよ
種をまく人のあるく速度で
あるいてゆけばいい