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自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

宇宙人と化石人

2014年06月12日 | カット画
 

何度か同じ店舗を訪れて買い物をしたときのこと。
長い待ち時間の退屈を紛らわせようと、顔なじみになった若い店員さんがにこにこして話しかけてきました。
  「T市には長くお住まいなんですか?ご出身もこちらで?」

  「いいえ。生まれは隣県の新潟なんですよ」
ごく自然に、記憶は飛んで子供のころの懐かしいシーンがさまざま思い浮かびました
ほぼ同時に店員さんの方も懐かしそうな表情になりました。

つるつるした若い肌に眉も目もぱっちり描きこんで卵のむき身をみるようです。
若い女性は日頃私の周囲にいないので、数人いる彼女の同輩みんな同じに見えて年齢が分かりません。
もともと興味がないのだし、しげしげ見るのは失礼だし、そもそも人の顔オンチなんだし。

  「友達とスキーに行きましたよ!雪が多いのですよね!」
  「ええ。昔はもっと多かったような気がするけれど」
  「窓から出入りすることもあるって聞きましたけど本当?」
  「本当ですよ。なにしろ除雪車なんてものがナかったんだから。」
  「 ? 」

するうちすぐに会話が噛み合わなくなって、気付いた彼女が私平成の生まれなのでと気の毒そうに言い訳をしてきます。
そうでした、4~5年前かそこら学生時代のことでも偲んでいるらしいお嬢さん、その頃はまだこの世にお目見えしていません。
つい最近の出来事ででもあるような鮮やかな記憶が、半世紀以上もさかのぼった時代だったとは驚きでした。
「10年ひと昔」とはいつの頃の単位でしょう?
入学前のオチャッピィを宇宙人と表現したら、化石人と見事に言い返されたどこかのおba~ちゃんとは同類項
オバァチャンなんてのはしわくちゃで、蓬髪で、二つに折れた腰、杖を頼りの消えてゆきそうなイメージなんだけど……

勢いがなくなったらしく、その時周りにいた四~五人の店員がいっせいに言ってくれましたよ
  お客様は10歳、いいえ15歳は若く見えますよ!  (…私自身年が信じられないんですよぅ)
  お洋服が素敵ですね!  (…10年以上も前に作って、さんざん着古したものなんだけど)
  時事問題、ヨガ、お仕事、何もかも敵いませんわ!  (…アソビだったらとても敵いませんわ).。o○

残念なことに、もうおだてに乗って嬉しくなる年ではありません。
若い彼女らに見送られて、私は老眼鏡と補聴器を手に足元頼りなく帰路についたのでした。



迎春

2014年01月08日 | カット画


昨年暮れ太郎と次郎が揃って帰省しました。
二人の孫は成長するにつれ、少しずつ離れていくのが当然のことと常々自覚はするのですが
暫くぶりで車から降り立った途端、出迎えた私と手を取り合い、目と目が絡み合って、束の間無言…
とくればまるで恋人同士みたいです ♪(*^^)o

太郎は部を引退してから、体重が減ってとてもスポーツマンには見えません。
ときどき「ハーフ?」って聞かれるそうでちょっと驚き。
真黒に焼けていたのが地の色に戻ったせいか瞳とまつ毛の黒が目立ち、
割と華奢な体つきからは思いもかけずふっと女がたを想起させることもありで
何のハーフかな?と首をかしげながら笑ってしまいました。

次郎ときたら、こちらも負けずハーフなの
首から上はこどものように可愛いけど
首から下が正反対にムキムキのオトコなの

お正月雪の無いのも幸いに、ここ数年恒例になったお墓参りに全員で出かけました。
始めの頃の男三人の唱和から、先ず息子が抜けついで太郎が抜け、
残った次郎は止むに止まれず、特にその日はなんだか短かめの御経です
「端折っただろ」「ちょいとつかえちゃった」そうで… (^-^;)
それくらいは大目に見るよ! 二人の成長を一番喜んでくれているおじいちゃんの声が聞こえそう。
太郎の就職と次郎の入学が叶ってお礼の意味も込めて初詣もしました。
おみくじを買って大吉だ、あれ僕もと騒いでいる様子など幼い頃と変わりません。

太郎の学校の一部部員を紹介したブログに、「人柄もよく、同期後輩を問わず慕われている」とあって
それが私の大吉のおみくじになりました。
次郎の情報は今のところあまり伝わってはこないけど、彼そのうちきっと何かをヤラカスから!
ひとりこっそりばばバカを楽しんだ今年は、とてもよいお正月でありました (*゜ー^)。.:*:・'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*

雪の夜

2013年12月29日 | カット画


今年も残るところあとわずか、明日の、いえもう今日の日程をあれこれ考えているうち、すっかり目がさえて
未練たらしく寝床で転々としているよりも、いっそのこと時間を有効にと蒲団をたたんで起きる事にしました。

 
物好きに深夜起きだして、冷えから風邪などひいたら大損と
もこもこのボアの上下でいつもの倍は着こみ、足元はソックスにカバーに長靴型のルームシューズと三段重ね
足首カバーも毛糸の膝サポーターもとあるだけ試着していたら、不意に浮き浮きしてきました。

今まで何度か同じことがあって、困ったものだといつも当惑気分でいたのだから不思議です。
パジャマを脱いで着替える毎朝の新鮮な感覚とはまるきり異なった別世界を覗いたような
だるまさんみたいに着ぶくれた姿に笑えるのは当然として、こんなことで幸せめいた思いがするなんてね♪

三年前の夏、そして今年の夏と、グループ展のあと先体調を崩したことで
きっと人並みトシ相応の健康志向が育ったのでしょう
でも夜型人間の傾向はますます進み、ベッドに入るのが夜中二時三時になって
それでも差しさわりの起きない健康と自由は、いつまで保てることやら?

寝静まったよる夜中、あかあかと電灯をつけて、一体何をしたいのでしょ?
したいことはいっぱいあるのに、どれ一つ差し迫ったものでないところが最高の楽しい理由みたい
しかもたんすの引き出しを掻きまわしながら鼻歌歌ってステップ踏んで
何やらひとり笑いしている光景にちっとも不安を覚えないなんて、すごい幸せではないかしらね♪
あまりひとには言えないけど ✿(◡‿◡*)


午前三時。
まずブログを書くことにしました。
今冬初めての本格的な雪になって、除雪車も先ほど初出動したようです。

林檎の季節

2013年12月20日 | カット画


今年も林檎の季節が巡ってきました。
店頭に溢れる艶やかな色と芳香はひとを不思議な魅力で捕らえます。
そして見ると必ず反射的に浮かぶ島崎藤村の詩があります。

戦後のひび割れた人心を暖かく潤してくれた「リンゴの唄」も有名ですが
初恋の心情を詠いあげたこの詩は、リンゴではなく林檎です。

   まだあげそめし前髪の 林檎のもとに見えしとき
   前に挿したる花櫛の 花ある君と思いけり

   優しく白き手をのべて 林檎を我に与えしは 
   薄くれないの秋の実に 人恋いそめし始めなり

古き良き時代、この境界に身を置いた少年が見た「花ある君」
そのときの心の震えと驚き、初恋の心情を歌ってこれ以上のものを知りませんが
はて、現代の若者には通じるかしら?



案外次郎なら、うん、わかる!と輝いた目で反応してくるかもしれません。
でも太郎は…ちよっと当惑気味の笑いを浮かべて首をかしげそうな気がします。
へっ、と笑い飛ばすに違いない息子だったら
あとでこっそり書棚の奥の詩集など探している姿がくっきりと。((^┰^))ゞ




知人から一箱林檎を頂きました。

   わが心なき溜息の その髪の毛にかかるとき  
   たのしき恋の盃を 君が情に酌みしかな

   林檎畠の樹の下に 自ずからなる細道は  
   誰が踏みそめしかたみぞと 問いたもうこそ恋しけれ

芳醇な果実を含みながら、四連の詩がすらすらと滞りなく口を衝いて出てきます。
光景までもが絵を見るように鮮やかに浮かびます。
私のシナプスはいまだ健在で、初恋の情感を繋いでくれていたのでした。 (*^^)vイエイ♪