前の公園のカルガモが巣立っていった。
勝手な思い込みで、昨年と同様に早朝に巣立つものだと油断していた。
なんと、正午ごろの巣離れであり意表を突かれてしまったが、人のざわめきで気が付いてよかった。
誕生した池で、これからの旅立ちに緊張しているのか。
遊歩道を渡り、一家は近くの水路に移動する。
今年は、9羽が無事に誕生して、そろってお母さんについていく。
待ち構える第一の難関は、遊歩道からわきを流れる水路へのダイビング。
幸いにも今日は上流で水を止めたのか、水の流れはなかった。
お母さんがまず飛び降り、コガモたちを「降りてきなさい」と待っている。
一羽が飛び出すと、続いて、次々競って水路にむかって飛び出した。
まだ飛べるはずもなく、転げ落ちるようなものだ。
9羽すべてが水のない水路に着地出来た。
母親は、まだ上に残っている子がいないかを確認している様子である。
カルガモの母親が子育てするのはどこなのだろうか。
この水路はこの先で暗渠になり、その先がどこへ通じているのかは分からない。
きっと、その場所を知っていて、そこに向かうのであろう。
道草を食いながらも、コガモたちが必死に母親を追っていくその姿がなんともかわいらしい。
大勢の見物人が名残惜しそうに、去っていく一家を見送った。
いつも樹の上から見ているカラスも姿を見せず、私がひそかにポケットに忍ばせていたパチンコも出番がなかった。
カルガモのカップルが公園の池に来るようになってから、巣作り、抱卵、巣立ちと見てきた。
巣立ってしまったあとの池の周りは、なんとなく寂しさが漂っている。
来年もまた、子育てにやってきてほしい。