麦畑

太陽と大地と海は調和するミックスナッツの袋のなかで

うごきがいいね

2018-02-02 00:27:22 | 短歌

 

 未来年間賞を受賞いたしました。ありがとうございました。選考対象は2016年10月号から2017年9月号までの一年間です。中沢直人さんに15首を選んでいただき連作として未来2月号誌上に編んでいただいております。

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  うごきがいいね

夕暮れの歩道に横たわる猫の色黒ければあやしかりけり (2016年12月号)

焼酎を親にかくれて舐めしこと鈴木雅之黒かりしころ (2016年12月号)

さくら葉が土の上にて濡れているやがては土になる定めにて (2017年2月号)

夕闇の自動車修理工場はわがゆく道をほのぼの照らす (2017年2月号)

借家なるいわば一世のかりそめの宿のわが家の鍵を開けたり (2017年3月号)

死に際に「けっして女を信じるな」なんて息子に言ってみたいぞ (2017年4月号)

馬に乗り自由の国へ逃げてゆくドン・ファン膝に美女を抱きつつ (2017年4月号)

パプリカの密なる種をとり去りて水のゆうべの小舟となせり (2017年5月号)

とうがらし実る畑をゆく猫のそのなめらかなうごきがいいね (2017年5月号)

あるはずのコンビニエンスストアーが更地になっている昼下がり (2017年6月号)

雅楽からジャズへと至る小道あり電子辞書にてしばしあそべば (2017年7月号)

さあ目地を磨いてくれと言うように使い古しの歯ブラシがある (2017年8月号)

言いがたき時のはざまにわれは居て夕餉の卓に箸をならべる (2017年9月号)

一匹ずつ羊が柵を越えてゆくマイナンバーを与えられつつ (2017年9月号)

旅人のごとくに夏はめぐり来てあるき疲れて湯につかるかな (2017年9月号)

                (中沢直人選)

 


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