麦畑

太陽と大地と海は調和するミックスナッツの袋のなかで

ぬばたまの

2018-05-31 00:47:06 | 短歌

 

ぬばたまのやみそうもない雨のなかとかげの卵はほのあかりする

頬につくひとつ米つぶひとりならそのままだろう 干からびるまで

かみの毛の右半分を銀に染め娘よ悟りをひらくつもりか

ぎんいろの娘の脇にはさまれて体温計は体温になる

機関車の一両のみに曳かれゆく十九両のガソリンの貨車

ガソリンをはらいっぱいに詰め込んで貨物列車は北へ向かうも

ポエジーは北から来るという説にうべないながら心はたわむ

二百円安い買い物するために十二キロ先へ ああ、ゆかねばならぬ

ゆうやみの青い世界は自転車のわたしひとりのものかもしれず

ゆうやみのランドマークに灯はともりわたしはすこしあたたかくなる


  ※ ルビ  卵(らん)


_/_/_/ 未来6月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/

 

コメント
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