昼過ぎの水面色濃き堀川にかるがもたちはぐわぐわ鳴けり
丸腰の武士のごとくにわれはゆく車両進入禁止の道を
仰角おおよそ三十度なるのり面に水仙咲けり一月二十日
手のひらでアフターシェーブローションを擦りつければすべるおとがい
レンジにて残りご飯をあたためるあたたかきものを欲しがるわれは
北浦和駅西口を出てあるく冬の飛沫はゆきどころなし
音楽は水面をゆらしたちまちに噴き出る水は虹をよびだす
外出のすべては虚構わたくしはわが敷地から一歩も出ない
奥歯から側頭葉へと移りたる痛みとともに夜は更けてゆく
かぜぐすり白湯に三錠のみくだしゆるき仕事を始めんとする
_/_/_/ 未来5月号掲載歌 _/_/_/
_/_/_/ ニューアトランティス欄 _/_/_/