文部省唱歌
故郷を離るる歌
半紙
爪楊枝
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一
園の小百合、撫子、垣根の千草。
今日は汝(なれ)をながむる最終(おわり)の日なり。
おもえば涙、膝をひたす、さらば故郷。
さらば故郷、さらば故郷、故郷さらば。
二
つくし摘みし岡辺よ、柳の土手よ。
小鮒釣りし小川よ、柳の土手よ。
別るる我を憐(あわ)れと見よ、さらば故郷。
さらば故郷、さらば故郷、故郷さらば。
三
此処(ここ)に立ちて、さらばと、別(わかれ)を告げん。
山の蔭の故郷、静(しずか)に眠れ。
夕日は落ちて、たそがれたり、さらば故郷。
さらば故郷、さらば故郷、故郷さらば。
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作詞は吉丸一昌。唱歌では「早春賦」や「お玉じゃくし」などが有名ですね。(って、今調べたところですけど。)
メロディはドイツ民謡ということですが、そのせいか、どこか「骨太」な感じがします。それに比べると歌詞が感傷的で、その落差みたいなのが面白い。
とくに、最後の「さらば故郷、さらば故郷、故郷さらば。」が子どもの頃歌っていても、なんかカッコいいなあと思ってました。楽譜をみると、pp→p→f ってなっていて、そういえば先生が、このクレッシェンド(でいいのか?)を体全体で示しながら指導していたような記憶があります。
一番の出だし「そののさゆり」が、「その のさゆり」だと思って歌っていたフシがあり、「のさゆり」って何だ? っていう疑問も心のどこかに根深くあったようですが、「園 の 小百合」だったんですね。ここが、この歌詞の欠点といえば欠点かも。