文部省唱歌
冬景色
半紙
爪楊枝
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冬景色
一
さ霧消ゆる湊江の
舟に白し、朝の霜。
ただ水鳥の声はして
いまだ覚めず、岸の家。
二
烏啼きて木に高く、
人は畑(はた)に麦を踏む。
げに小春日ののどけしや。
かえり咲きの花も見ゆ。
三
嵐吹きて雲は落ち、
時雨降りて日は暮れぬ。
若(も)し燈火(ともしび)の漏れ来ずば、
それと分かじ、野辺の里。
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唱歌や童謡は、やはり1番しかあまり覚えていませんね。
だいたいは、1番がいちばん優れているように思います。
この歌は、「さ霧(狭霧)」という言葉が強く印象に残っています。
「さ」は単なる接頭語で、意味はないので、「狭霧」=「霧」なのですが、
なんとなくオシャレな感じがして、好きな言葉でした。
それにしても、この1番の景色のなんと美しいこと!