拾薪設食
おぼつかな嶺の薪を拾ふ間に苔の洞にや煙立つらん
半紙
【題出典】『法華経』32歌に同じ。
【題意】 拾薪設食
薪を拾って、食事を準備した。
【歌の通釈】
いったいどういうことか、山で薪を拾っている間に、苔の洞に煙が立つとは。
【考】
前歌と同様に、仏が阿私仙に仕えていた時の場面。「薪」は冬の題として詠まれるもので、また洞の煙を詠むのも冬の歌題の「炭がま」を念頭においての表現である。これも仏の阿私仙のもとでの誠心誠意の行を、冬の情景として詠んだもの。
(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)