夏目漱石「草枕」より
半切三分の一
世に住むこと二十年にして、住むに甲斐ある世と知つた。
二十五年にして明暗は表裏の如く、
日のあたる所には屹度(きっと)影がさすと悟つた。
三十年の今日(こんにち)はかう思うて居る。
喜びの深きとき憂(うれひ)愈(いよいよ)深く、
樂しみの大なる程苦しみも大きい。
●
世に住むこと66年のぼくは、
さて、世をどう思っているのか。
とんと分からぬ。
漱石が耳順を超えて生きたら、どう言っただろうか。
夏目漱石「草枕」より
半切三分の一
世に住むこと二十年にして、住むに甲斐ある世と知つた。
二十五年にして明暗は表裏の如く、
日のあたる所には屹度(きっと)影がさすと悟つた。
三十年の今日(こんにち)はかう思うて居る。
喜びの深きとき憂(うれひ)愈(いよいよ)深く、
樂しみの大なる程苦しみも大きい。
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世に住むこと66年のぼくは、
さて、世をどう思っているのか。
とんと分からぬ。
漱石が耳順を超えて生きたら、どう言っただろうか。