
山本洋三「走る少年」より
半紙
●
高校生の頃に書いた詩。
全文は以下のとおり。
走る少年
少年は
森の中を走る
朝露にぬれた下草を
そのやわらかい足でふんで走る
するどい朝の光線と
キンキンひびくミソサザイの歌を
背に受けて
全身の力を手と足にこめて走る
七色にかがやくしずくが
少年の額からとびちっていく
少年はなおも走る
静かな森に
少年の足音だけがこだまする
少年は走らずにはいられない
走って、走って、走りつづけて
深い、深い森の、いちばん奥に
すいこまれること
だだそれだけを夢見て
少年は
走る
●
この詩を、当時購読していた「蛍雪時代」の詩の欄に投稿したところ
入選して、紙面に掲載されました。
ぼくの詩が、商業誌に掲載されたのは、これが最初で最後でした。
この詩は、臆面もなく詩の授業で「参考作品」として生徒に読ませたり
エッセイのネタにもしたような気もしますが、
今、あらためて読むと、もちろん、それほどいい出来ではありません。
最後の方が、くどくて、センチメンタルになりかかっている。
ただ、朝のさわやかな気分は、
わりとよく表現できているようにも思えます。
「ミソサザイの歌」などは
丹沢でよく耳にしていたので、実感です。
自分で書いた詩ですから、改変は自由。
今回は、こんなふうに一部を改変してみました。
■本日の蔵出しエッセイ 色鉛筆は夢見る(1/88)
「夢見る」ことについて







