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一日一書 1737 寂然法門百首 85

2023-11-06 15:49:11 | 一日一書

2023.11.6


 

世皆不牢固如水沫泡焔

 

結ぶかとみれば消えゆく水の泡のしばし玉ゐる世とは知らずや
 

半紙

 

【題出典】『法華経』随喜功徳品

 

【題意】 世は皆、牢固ならざること、水の沫・泡・焔の如し。

世はみな固く不変ではないのは、水泡や陽炎のようなものだ。


【歌の通釈】
結んだかと見るとすぐに消えてしまう水の泡が、しばらく玉として置くような、はかない世だとは知らないのか。

 

【考】
公任の維摩十喩を詠んだ「ここに消えかしこに結ぶ水の泡うき世にすめる身にこそありけれ」(公任集・二八九)をはじめ、水泡による無常の歌は古くから詠まれている。ただし、前歌の「はなめく世」と同様に「玉ゐる世」と、はかないが一瞬の輝きを放つ世を詠む点が特徴である。


(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)


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一日一書 1736 寂然法門百首 84

2023-09-08 14:31:53 | 一日一書

 

採花置日中能得幾時鮮

 

朝顔の日影まつまをさかりとぞはなめく世こそあはれなりけれ
 

半紙

 

【題出典】『法華懺法』

 

【題意】 花を採りて日中に置き、よく幾時鮮やかなるを得ん。

花を摘んで日中の間置いておくと、鮮やかな時はわずかである。


【歌の通釈】
朝顔が日の光の差すまでを盛りと輝くようなこの世は実に悲しいことだよ。

 

【考】
朝顔による無常の歌は、和泉式部をはじめ(ありとても頼むべきかは世の中を知らするものは朝顔の花)古くより詠まれてきている。朝顔が朝日の昇るまでの間、ほんの一瞬輝きを放つ、この世はそのようなものだと言った一首。朝顔の無常の歌はそのはかなさを詠むものが多いが、その中でもその一瞬の輝きを描いた点が新しい。 

(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)


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一日一書 1735 寂然法門百首 83

2023-08-13 14:37:36 | 一日一書

 

此日已過命即衰滅

今日すぎぬ命もしかとおどろかす入逢の鐘の声ぞ悲しき
 

半紙

 

【題出典】『往生要集』大文一

 

【題意】 此の日已(すで)に過ぎぬれば、命即ち衰滅す

今日の一日が終わったので、命は減少する。


【歌の通釈】
今日は過ぎ去った。命もやがて終わるのだと目を覚まさせる入相の鐘の声は悲しいよ。

【考】
入相の鐘に命のはかなさを悟るという歌の発想は、『栄華物語』(巻一八・一九三・片野の尼君)の歌、「今日暮れて明日もありとな頼みそと撞きおどろかす鐘の声かな」に倣っている。(一部略)

 

(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)


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一日一書 1734 寂然法門百首 82

2023-07-09 10:59:27 | 一日一書

 

人命不停過於山水


瀬をはやみいはゆく水もよどみけり流るる年のしがらみぞなき
 

半紙

 

【題出典】『往生要集』大文一

 

【題意】 人の命の停(とど)まざること、山の水よりも過ぎたり。

人の命が停滞しないのは、山の水に勝る。


【歌の通釈】
流れが速くて岩を行く水も淀むのだよ。しかし流れる年はそれを止める柵はないのだ。

【考】
どんなに速い川の流れも滞ることがある。しかし流れる時間を止めるものなどどこにもない。題に言う通り、人命の流れの速さは山川に勝るのだ。

(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)

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★人命のはかなさは、繰り返し歌われてきたが、改めて身にしみる歌である。

 


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一日一書 1733 寂然法門百首 81

2023-06-18 17:56:21 | 一日一書

 

如空中雲須臾散滅


風に散るありなし雲の大空にただよふほどやこの世なるらん
 

半紙

 

【題出典】『往生要集』大文一

 

【題意】 空中の雲の須臾(しゅゆ)にして散滅するが如し。

空中の雲が一瞬にして消えるようなものだ。


【歌の通釈】
風に散るあるかないかの分からないような雲が大空に漂う一瞬が、この世のありさまなのだろうか。

【考】
題は、世のはかなさを、一瞬にして消える雲で比喩したもの。その雲を「ありなし雲」という歌ことばを用いて表現し、さらにそれが風に散ると詠み、はかなさを強調している。左注では、無常の雲という題と歌の主旨から離れて、澄んだ心を覆う煩悩の雲の厭わしさを述べ、来迎の紫雲のみを心にかけるよう説く。 

 

(以上、『寂然法門百首全釈』山本章博著 による。)

 

 


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