プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

原発輸出「推進」条約

2014-10-27 10:14:19 | 日記
 米国やアラブ首長国連邦など5カ国が加入している「原子力損害の補完的条約(CSC)、加盟国において原発事故が起きた時に、共同で賠償金を「補完」する仕組みだそうですが、その内実は原発メーカーの責任を問わない、原発輸出を促進する「原発輸出推進条約」のようなのですが、安倍内閣は、条約の承認案と関連法の改正案を既に閣議決定、臨時国会に提出する予定です。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)

 同条約は1997年に採択されたものですが、条約発行の条件が「加盟国の原子炉の熱出力が40メガワット」と設定され未達成なために現在は未発行の状態で、日本が加盟すれば40メガワットを超えるため、米国は強く働きかけています。臨時国会で承認を得れば、90日後には条約が発効されます。同条約は、事故が起きた場合に、最低でも470億円の賠償を義務付け、損害がそれを上回った場合には、加盟国がその一部を引き受けなければなりませんが、その「協力金」は原発の熱出力などに応じて計算される仕組みです。この「協力金」は、電力会社などが毎年積み立てるとのことですが、結局は電気料金に付けは回ってきます。

 事故への備えが出来るので、途上国で原発を建設する、そのための関連法の整備を後押しするとの狙いがあり、原発を輸入する国と、原発を輸出する国に利益があるわけですが、そのための「負担」は、加盟国の電気利用者に圧し掛かってくることになります。しかも、日本などの原発を稼働させてきた国では、原子力施設での事故の責任については、電力会社や核燃料会社などの「原子力事業の運営者」にあると国内法で定めており、原発機器の製造や建設をしたメーカーには責任が及ばないようになっています。同条約も同様です。

最も利益を享受する原発メーカーに事故の責任がなく賠償の義務もない、また核廃棄物処理の製造者責任もないわけで、利益だけを享受できるシステムになっています。本来なら、原発を推進する国、そして事業者の電力会社、そして製造・建設する原発メーカーや建設会社が、その責務に応じて事故の責任を負い、賠償すべきところだと思います。(現実的には誰も責任を取っていません)日本弁護士連合会は今年8月、CSCの加盟は、メーカーのモラルハザードを招き、事故防止への取り組みがおろそかになる」と同条約加盟に反対する意見書を出しています。原発事故が起きても尚、浄化装置や除染、ガレキ撤去等々、利益だけを享受するメーカーに、最早、崩壊する「モラル」があるのかどうかは疑わしいものがあると思いますが・・・

P.S. 「CSCが発行されないと、原発機器を安心して途上国に輸出できない」、米国側の思惑です。「国内での(原発)新規建設が絶望的な中、原発輸出に弾みがつく条約はありがたい」日本側(メーカー)の思惑です。途上国側も安心して原発を輸入できるわけです。本当に良く出来たシステムです。ただし、「負担」だけは加盟国の国民が負担するという、やはり良く出来たシステムのようです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年10月27日)

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