ワクチン接種に関して、様々なメディアを通じて、「高齢者へのワクチン接種は、7月末までに終えられる自治体が 93%」という報道がされています。 が、この 93% 報道には 国・行政の欺瞞が巧妙に隠されている事を忘れてはいけません。
国を通じて報道機関に発信された情報からは、まるで、7月末までに 高齢者の 93% がワクチン接種を完了できる見込みである様に見えますが、実態は 接種を希望する全ての高齢者が接種完了できる保証はありません。
本来ならば、国行政は、高齢者へのワクチン接種率を事前に設定して、その設定目標に対して各自治体から回答を求めるべきですが、それらの事実を隠して、7月末に高齢者全員に接種が完了するかの様に思わせる国・行政の欺瞞があると思います。
「 欺瞞 」として指摘するべき点は主に二つあります。
一つは、ワクチン接種導入を国行政として決めた昨年から先日まで、国は各自治体に対して 高齢者から優先接種する様に指示した他は、「 住民の何割に接種を行なうのか 」という「 接種率 」の具体的な指針を一切行なっていなかった点です。それによって、高齢者割合が高くて住民数の少ない地域・自治体では、100% 全員の住民に接種を行なう方針で 様々なキャンペーン的活動を行なっていたのです。
ただ、その様な地域に限って、身近で接種に対応できる医療施設に乏しく、副反応が出た場合に備えて自家用車で接種会場へ行く事を抑制され、医療従事者の確保と充分な広さの会場の確保の為に 自治体は翻弄されつつ、住民 100% 全員に接種目標を掲げて数か月以上活動を行ない、多くの自治体で 8月や 9月までかけての無理のない計画を完了していました。
しかし、五輪開催への国際社会からの懸念発表と、異様に低い接種率への国民の不満を抑える為、7月末までに 高齢者だけでも接種完了させたい国は、最近になって 「7月末までに・・」と言い出した形です。当然ですが、数か月に亘って計画を亘っていた活動を否定された自治体が全国に数多く出て、当初は 93% にも及ばない 低い回答結果になった訳です。
そして、二つ目の欺瞞の登場です。
住民に占める高齢者の割合が高く、高齢者への接種が一番多くの期間が必要になる自治体ほど、8月とか 9月に掛けて、より多くの人々に満足のいく接種計画を立てていたにも関わらず、国・行政は 「7月末までに!」と 急に言い出したのです。
国は慌てて追加指示を行なって、「7月末」を至上命題にした事を伏せ、その圧力に応じる 自治体側も 7月末の指示に応える為に、100% を目指していた目標を 70% とか 60% に敢えて下げて、無理に 7月末までに接種の回答を行なっています。
この様な、後になってから 急に国行政側の指示によって困るのは、決して自治体ではなく、医療や住民サービスを受ける国民側の負担になる事は明らかです。もし、新たに国民の負担になる様な指示を行なうならば、国行政の担当者はその事を認識して、広く国民に対して発信をするべきです。
という話題を書いても、多くの人は 「高齢者ではないからだいじょうぶ」などと 関心は持たないでしょう。
しかし、最初に目標設定を明確にせず、都合に合わせて後になって 自治体などに負担を強いる国・行政が変わらない限りは、ワクチン接種だけの問題ではなく、国民多くに、特に社会的に置き去りになっている 多くの人々に 更なる負担を強いる事は間違いない事だと理解しておく必要があります。
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