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「トラクションコントロール」について / About ’Traction Control'

2024-04-12 12:37:49 | オートバイの未来

MotorTrend 発、Why Do Modern Car Companies Make It So Hard to Turn Off Traction Control?

https://x.gd/wct4u


この記事は、多くの車やオートバイで採用されている「トラクションコントロール」、その作動を解除させる方法が面倒な理由について、多少、懐古的に書かれた記事です。が、電動車が普及すれば、「トラクションコントロール」は標準装備になり、一部の ICE(内燃機)車だけに OFF機能が残るだけになるでしょう。

This is a somewhat nostalgic article about the ``traction control'' used in many cars and motorcycles, and why it is so troublesome to disable it. However, if electric vehicles become popular, ``traction control'' will become standard equipment, and only some ICE (internal combustion engine) cars will have an OFF function.

 

https://x.gd/wct4u



既に、車線逸脱警報装置や自動ブレーキなどが、乗用車だけでなくオートバイやトラックにも標準装備されている時代。「トラクションコントロール」機能も多くの車やオートバイで標準装備されており、同時に “OFF” ボタンも存在していますが、それを多用させない為の様々な儀礼的なペダルやシフト操作を求めている高性能車への反感を、この筆者の様に、持つ人も居るでしょう。

簡単に OFF 出来ない理由は、多用による機械的な故障への保証問題を回避したい事や、事故発生時の保証回避などがあるでしょう。しかし、「トラクションコントロール」の機能自体、空気と燃料、時には AT まで制御しなければ、駆動輪のスリップを抑えられない ICE(内燃機)搭載車での話です。

電動車であれば、駆動輪のスリップを 1/1000 秒単位で検知して、スリップが過大な場合には、同じレスポンスで モーターへの電流を細かく制御を必ず行なう事になります。 だから、現在、高性能車でも軽自動車でも、パワーステアリングの OFF ボタンが無い様に、いずれ、ICE 高性能車であっても、トラクションコントロールに OFF ボタンは付かないのが常識になるでしょう。

If it is an electric vehicle, the slip of the drive wheels will be detected in 1/1000 second increments, and if the slip is excessive, the current to the motor will be fine-controlled with the same response. Therefore, just as there is no OFF button for power steering in both high-performance and light cars today, it will eventually become common sense that even ICE high-performance cars will not have an OFF button for traction control.






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ホンダ “Eクラッチ” に想う / Thoughts on the Honda "E-Clutch"

2024-03-26 22:59:28 | オートバイの未来


ラッチレバーの操作無しで変速が可能で、発進時でさえ不要を謳う、ホンダ「Eクラッチ」について解説と想いを書きます。

Commentary and thoughts on the Honda "E-Clutch", which claims to allow gear shifting without operating the clutch lever, even when starting off.

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先ず「Eクラッチ」の制御に使われる入力信号とアクチュエーター(モーター駆動)の概略図を紹介します。この制御を行なう為に、新たに「シフトペダル荷重」とトランスミッション内部に「カウンターシャフト回転数」センサーが加わえられ、更に「クラッチ切断信号」も従来とは異なるセンサーになっている可能性があります。これら、数多くのセンサーからの信号を同時にコントロールユニットへ伝え、その走行状況を判断して、クラッチ制御ユニット(MCU)を制御している様です。

  
クラッチ(エンジン側)は、クラッチレリーズシャフト(クラッチレバーシャフト)を 2分割にして、中間部分にモーターで制御された “カム” が介入してクラッチ操作を代行する仕組みです。そして、モーターが二つあるのは、恐らく、ギアのバックラッシュを考慮して、逆方向への制御を担わせて、作動不良や違和感を排除する為でしょう。また、カウンターシャフトの回転数まで検知させているのは、エンジン回転数とギアポジション信号だけでは正確な操作が実現しなかったからでしょう。
     
確かに技術の実用化という意味では価値があるかも知れませんが、“統合制御” へと進む中での過渡的技術で、現段階ではメリットは小さいと思われます。
“統合制御” とは、電子制御のスロットルとインジェクター(燃料)、そしてこの「Eクラッチ」を連動させて、あたかもライダーを助けるかの様に、オートバイの駆動操作系全般をコントロールする考えです。そこでは、発進時にアクセル全開にするだけで全力加速と自動変速を自動で行なったり、ハーフスロットル(アクセル)のままでも、道路の勾配やコーナリング走行に応じて、自動でスロットルと変速を制御して、何事もなく走り続けられる様になります。
  
この “統合制御” は 四輪車では常識となっている技術ですが、電動車(EV)の制御よりも明らかに複雑で、燃料と空気を媒体として制御を行なう内燃機関の為、必ずタイムラグがあります。その上、仮に、オートバイも電動化へと進むならば、基本的には変速機は無いので、”あだ花”的な技術に終わるでしょう。
    
現在クラッチ操作に一切の不便を感じず、また、走り始めたらクラッチレバーは使わず、エンジン回転数を合わしてギアチェンジを行なっている人にとっては、「Eクラッチ」は重く、高額になり、損耗や壊れる箇所が多くなり、直すのが面倒になるだけのシステムで、メリットを感じません。 また、「Eクラッチ」は安全装備でもなく、環境対策の技術でもなく、時流に沿わない事に技術と資源を使っていると言えます。
   
僕としては、オートバイはシンプルな構造のままでいて欲しいと思います。


 

 
The following is a schematic diagram of the input signals and actuators (motor drive) used to control the Honda 'e-clutch'. In order to perform this control, a new "shift pedal load" and "countershaft speed" sensor have been added, and the "clutch disengagement signal" may also be a different sensor than before. These numerous sensors seem to work together at the same time to convey the driving status to the control unit, which in turn controls the clutch control unit (MCU).
   
The clutch (engine side) has a clutch release shaft (clutch lever shaft) that is split into two parts, with a motor-controlled "cam" intervening in the middle part to operate the clutch on its behalf. The reason there are two motors is probably to take into account the backlash of the gears and to eliminate any malfunctions or discomfort by having them control the clutch in the opposite direction. The reason why even the countershaft speed is detected is probably because accurate operation could not be achieved with engine speed and gear position signals alone.
  
 As for me, I would like motorbikes to remain simple in construction.




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オートバイ、ステアリング制御への懸念 / Motorcycles, concerns about steering control

2024-02-13 12:25:57 | オートバイの未来


CYCLE WORLD MAGAZINE 伝、
https://www.cycleworld.com/motorcycle-news/honda-crosswind-assist-and-lane-warning-systems/?fbclid=IwAR3PwQRj293kcGHiDV8mS1SwQl_ZuZnc-rFZdZ_J-p7SlkUWGi9GDGkW4OQ


ホンダが出願した特許、走行ライン維持制御システムですが、これには大きな懸念を感じます。
I have a major concern about a patent filed by Honda, a driving line maintenance control system.

        *******

 .
この記事で解説されている事は、オートバイの走行ラインを道路に沿った形に制御するシステムの特許についてです。つまり、図で示されている様に、走行している 一つの車線を複数の「仮想車線」に分割して、その「仮想車線」から逸脱する ”動き” を検知した場合、それをステアリングに取り付けられた装置・アクチュエーターによってステアリングを制御して「仮想車線」に留めるシステムです。


既に、自動車では同様なシステムは一般的になりつつあり、有効性に疑問を持たない人も多いと思いますが、それは、自動車とオートバイのステアリングの役割の違いの理解が不足していると思います。自動車の走路修正ではステアリングの主体的な操作で行ないますが、オートバイの場合はステアリングは従属的であって、ライダーによる左右の加重コントロールが主体的な操作です。つまり、オートバイのステアリング(前輪の向き)は、路面に対するキャンバー角の僅かな変化に即応して、路面とタイヤとの最適な関係を保つ様にステアリング角度を常に従属的に修正を行なっています。この関係を無視してステアリング角度を修正すると、タイヤと路面との最適な関係を阻害し、グリップ力を減少させる結果を生み、路面状況によっては転倒など危険な事態に繋がり易いのです。
  
ライダーの安全を高める為に様々な装置が考案される事は歓迎です。また、今回の特許申請が、車線を無視して、自動車の間を縫う様に走る無謀なライディングの防止用として機能するのであれば更に歓迎します。しかし、ライディングの楽しさをスポイルさせたり、その制御システムで想定されていない状況で危険性が増す可能性があるシステムには全く歓迎できません。
  
オートバイメーカー各社の自動運転制御の多くで、ステアリングを主体的に制御するシステムが考案されていますが、それは便法的な処置であり安易に過ぎます。ライダーが行なっている本来の進路制御方法に沿い、それを補助的にアシストする制御を開発するべきです。

I am open to various devices being devised to enhance rider safety. I also welcome the patent application if it will prevent reckless riders from ignoring lanes and weaving in and out of cars. However, we do not welcome any system that would spoil the fun of riding or increase the danger in situations where the control system is not designed for.
 
Many of the automated controls from motorcycle manufacturers are designed to control the steering in a proactive manner, but this is a convenient and overly simplistic approach. Controls should be developed that follow the rider's original method of control and assist it in a supplementary manner.





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