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「車体整備の基本」の紹介(1) <エンジン マウント編>その2

2023-12-01 01:07:44 | 基本講座・車両整備

オートバイが備えている能力を適切に発揮させる為、私が年に数回、機会がある度に必ず行なっている「車体整備の基本」を、整備する部位別に紹介します。中には、初めて見る整備もあると思いますが、それを行なう理由を基本的な事から分かり易く説明しますので、きっと参考になる事もあると思います。

 

2. 締付けトルク値 と 締付けの順番

エンジン マウントの整備の大切さは色々な車種で体験してきましたが、特に、この VTR250で、その大切を思い知らされた体験があります。それは、購入して間もない頃、エンジン マウントの整備を行なった後の確認走行での出来事でした。

『 変だ! 何かおかしい 』

いつも走り慣れた道を、交通の流れに合せて走っているだけなのに、乗り味が変わってしまったのです。車体全体が変に固くなっている様な感じで、特に フロント側が路面の凹凸を拾って突き上げてくる感触が強くなっているのです。
ただ、変わったと言っても、恐らく、人によっては変化を全く感じられない程度かも知れないのですが、それでも嫌な感触になっているのです。この感触だと、タイヤの接地性能(ロードホールディング)は下がり、操縦性も安定性も、安全性も悪くなる事が確実です。


『 4本(セット)の マウント ボルト 』

VTR250 のエンジンマウントの整備は、下記の画像で記載した通り、(A)から(D)までの4本(左右1セット)のマウントボルトで行ないます。その内、(C)と(D)のボルトは、スウィングアームのピボットを固定するサブフレームをエンジンに固定するためのボルトです。






『 メーカー指定 締付けトルク値 』

そして、マウント用ボルト毎のメーカー指定の締付けトルク値は以下の一覧表の通りです。実は、ここに VTR250 の秘密が隠れているので、みなさんも一度ご覧ください。


ここで、最初に注意が必要なのが ボルト(B)です。車体画像でも分かると思いますが、ボルト(A)と同様に目立つ場所にあって、ボルト(A)の六角部の二面幅と同じ(17mm)、つまり同じ工具が使えるのですが、実は、ボルト径は(A)より細く、当然ですが 締付けトルク値も異なるので注意が必要なのです。
  
しかし、締付けトルク値は何度も確認済み。ボルトのネジ山の状態も、緩める際の “緩めトルク値” を確認をして、締め込む時は最初に指で締め込んで、ネジ山に問題になる損傷は無い事は確認済み。だから、尚更、変化が起きた原因が分からなかったのです。

 ・・・と、色々と考えて、思い当たったのが「締付けの順番」だったのです。



『 締付けの順番 』

エンジンマウントのボルトを締付ける順番は、色々な車両で整備をしていますが、さほど難しくありません。車体中央部(スウィングアームのピポット近く)のマウントボルトから始めて、ボルトの太さと指定トルク(値)が大きい順に、車体前方のボルトへと、左右のボルトを一セットとして、順番に締付けていく方法で良い結果を出していました。
  
しかし、VTR250の場合はそうではなかったのです。と言うのも、VTR250の場合は、一般的な車両とは異なり、後輪サスペンションのスウィングアームはフレームに固定されず、固定用の部品( ブラケット)を介して、エンジンに固定する設計なので、そのブラケットをエンジンに固定しているボルト(図中の C と D)も緩めます。なお、この記事の本題とは関係ありませんが、その C と D のボルトを緩める為に、スウィングアームのピボットシャフトも緩めて、左右のステップホルダーを回転移動させる必要があります。
  
前回、乗り味が変わってしまったマウントボルト整備ですが、その締付け順番が 最初にボルト(B)で始まり、ボルト(A)、(C)、(D)の順番でした可能性が高いという結論に至ったのです、そして、ボルト(B)に始まり、次に ボルト(C)、(D)と進み、最後にボルト(A)として、確認走行して、これが正解でした。僕にとって VTR250 ならではお気に入りの接地艦・操縦性が得られているのです。

「 何故、マウントボルトの締付け順番 と 締付けトルク設定で、こんな変化が出たのか? 」と、理由を考えてみました。すると、そこには、設計エンジニアとテストライダーによる緊密で妥協の無い仕様設定があった事に気付きました。そして、それが VTR250 の最大の美点になっていると強く確信しています。

       ・・・ 次回は、【 VTR250 最大の美点 】を紹介します




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内装変速自転車、オートバイの未来

2023-11-26 01:34:32 | 日記

  
今日は、朝の冷え込みも厳しくなく、日中は陽射しもたっぷりで、気温も15℃、
引越しをしてから 4ヶ月が経ち、街の買い物先のレパートリーを増やす為に、自転車で街を散策する事にしました。


『 ワシは昔、内装式に乗っていたんや 』

そして、立ち寄った店の前で、停めた自転車に施錠をしていると、通りすがりの年輩の人に「軽そうなバイクに」と、声を掛けられたのです。「やっぱり、外装式(変速機)の方が軽いだろうな」「ワシは、昔、パナソニックの自転車に乗っていて、お金が無かったから、内装式(内装式変速機の自転車)に乗っていたんや」と、いかにも自転車に興味がある事が分かる話しぶりでした。
 


その時、“内装式変速機” と聞いて、うかつにも、僕はママチャリ(通称)を頭に浮かべてしまいました。しかし、それは全く違ったのです。「後が内装式変速機の 6段で、前が 3段、合計18段の自転車で、40年前、46歳の時、長距離を走ったんや」「国道29号の志戸坂峠に登って鳥取県の智頭に行って、そこから国道53号で黒尾峠に登って岡山県に入ってから戻る、距離190㎞、13時間の旅で、しかも雨やったんや」と、僕にも馴染みのある峠や地名に聞き入りつつ、40年も前、後が内装式で 6段(速)の自転車が販売されていた事がとても印象に残ったのです。


『 内装式か?  外装式か? 』

そこで、自宅に戻ってから、40年以上も前の、ロードスポーツ タイプではないのに、前3段、後が内装式変速機で 8段の 自転車の画像や資料を検索したのです。それが、10年後の自転車の姿、或いは オートバイのあるべき姿を考えるきっかけにもなったのです。
 
自転車の変速機と言えば、現在、ロードスポーツタイプの自転車で主流の 変速機(後)は「外装式」です。そして、様々な走行場面での最適な変速比を求めて、その段数は増え続けて、今では 11段(速)が一般的になっています。しかし、装着するフレーム側の寸法は変わらないので、ギアユニット(重なったギア全体)の厚みは変えられず、ギアとチェーンの幅を狭くする為に材質と製作技術の改良が続けられているのです。


僕も、多分に漏れず、そんな 他段数化へ進歩(?)した姿に憧れ、自転車を作った時は、可能な限りギア数の多いユニットを選んだものですし、多くの自転車ライダーにとっても自転車選択の際の注目ポイントでしょう。しかし、内装式(変速機)の凄さを知るにつれて、外装式変速機に未来は無いかも知れないと思うようになったのです。


『 内装式の凄さ 』

そのきっかけになったのが、検索で見つけた、下の内装式変速機のカット図です。


サンギアとピニオンギアなどを組み合わせた「プラネタリーギア」を数セット組み合わせた緻密な構造になっていて、この図の場合、恐らく 4 × 2 で 8段(速)か、もしかすると、14段かと思われますが、とても心が惹かれる構造になっています。
そして、内装式だからこそ、外装式には無い数々の特徴も知ったのです。それは、一つ目は変速が瞬時に出来る事。二つ目は 停車時にも変速が出来る事。三つ目は機械的な伝達ロスが少ない事などです。 外装式の自転車ライダーであれば知っての通り、一般的な外装式の場合には、瞬時の変速は出来ず、停車する前に発車用のギア選択を終えておく必要があり、変速時には音とショックが少なからずあって、大きな段差を通過時にはチェーンが外れる覚悟も必要で、変速した段数によってチェーンは車体内側や外側へと曲げられた状態で使われるなど、外装式変速機には駆動力の伝達損失が多くあるのです。そんな機械的損失の多さに気付かされて、外装式の限界を知り、内装式は決してクラシックでもママチャリ用でもないと知ったのです。


『 電動化の時代へ向けて 』
 
そして、次のカット図に出会って、未来の自転車やオートバイは「内装式」しかありえないのでは、と思っています。


ドイツの Rohloff(ローロフ)社の、電動モーターが組み込まれている様に見える、内装式変速機のカットモデルで、その段数は 14段となっています。段数の多さもさる事ながら、僕は、このモーターを組み合わせた姿に心が強く揺さぶられたのです。 ご存知の通り、モーターは無回転状態から回転を始める時に一番大きなトルク、つまり一番大きな力を出しますが、それを受け留めるギアの幅は広く、外装式の薄いギアと較べるまでもなく、その力を損失少なく後輪に伝えられる事は明らかです。しかも、その駆動力を瞬時の変速で無駄なく路面に伝えられ、しかも堅牢で密閉された構造で耐久性も高く長寿命だとはっきり示しています。


『 電動化の時代、内装式の時代 』
 
現在、モーターを装着した電動アシスト自転車の多くは電動モーターをクランク側に装着しています。そして、後輪に「内装式」(多くは3段)の変速機を備えていますが、チェーンやギア(スプロケット)の高くない耐久性を考えれば、モーターの駆動力を制限せざるを得ない筈です。法律上の “電動アシスト” としての制限に守られてから現在の形式が一般的になっていますが、駆動エネルギーの伝達効率や耐久性の低さ、将来の完全電動化などへの発展を考えれば、チェーンを介して後輪を駆動(アシスト)する形式はエコでもなく、サスティナブルでも、スマートにも思えません。

やはり、上記、Rohloff 社 が示している様に、モーターは後輪ハブに組み込む形式こそ未来の姿としか思えません。そして、このモーター組込み型の内装式変速機が一般的になるにつれて、多段化や低コスト化が進み、ロードスポーツ自転車でも モーター無しの内装式変速機が一般的になるでしょう。これは、オートバイや車の場合も同じで、いわゆる【 インホイールモーター 】形式による駆動こそが電動モーター時代の当然の形だと、今回の「内装式」の勉強で改めて確信しました。

自転車で何気なく出掛けるのは、やっぱり、人との近さや出会いがあって、とても面白いですね。だって、今回の様な出会いから、色々な事を知り、未来を考えるきっかけが生まれたのですから。

                                        **********

【 参考資料 】
独・Rohloff 社 公式Webサイト URL
https://www.rohloff.de/de/produkte/speedhub

<上記Webサイトより一部転載> (日本語訳)
新しい Rohloff E-14 では、Speedhub が電動自転車に最適なシフト ユニットになります。 ボタンを押すだけで最高レベルのシフトの快適さと同期したシフトを実現します。 電気ドライブの強力なパワーをこれほど効果的に実現できるギアハブはありません。 そして、それらのどれもより速くシフトしません。 わずか 180 ミリ秒で、電子シフト コントロール Rohloff E-14 が Speedhub の新しいギアにシフトします。 ボタンに触れるだけで、1 つまたは複数のギアを一度に簡単にシフトできます。 比類のない長寿命、526% の幅広いギア範囲、およびすべてのギア ハブの中で最高の効率を備えた Speedhub は、すべてのプレミアム e-バイクの基礎を形成します。 」



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「車体整備の基本」の紹介(1) <エンジン マウント編> その1

2023-11-13 22:25:23 | 基本講座・車両整備


オートバイが本来備えている能力を適切に発揮させる為、私が年に数回、機会がある度に必ず行なっている「車体整備の基本」を、整備する部位別に紹介します。( 使用車両:ホンダVTR250 )中には、初めて見る整備内容もあると思いますが、それを行なう理由を基本的な事から分かり易く説明しますので、きっと参考になる事もあると思います。

 
1. 大切な、エンジンマウント整備


フレームにエンジンを固定している箇所がエンジンマウント部です。そして、その整備をなぜ最初に行なうかと言えば、エンジンマウント部には大きな「ストレス」が掛かる場所で、その「ストレス」によってオートバイ本来の動きが阻害されるからです。

この「ストレス」が生まれる主な原因は、フレームとエンジンの役割と個性が全く異なるからです。フレームはンジンを支える以外に、ステアリング(操舵系)と前輪サスペンション、後輪サスペンションも支えていて、走行中に車体が受ける様々な力に対して、適度に変形して、しなやかに受け止めて、車体全体のバランスが崩れない様にする役割をしています。一方、エンジンは、その内部で精緻な数多くの部品が高速で動いているので、変形を許さない頑丈な作りになっています。


そのため、エンジンマウント部では、フレームとエンジンの異なる特性と個性がぶつかり合い、結果として「ストレス」が生まれるのです。その上、エンジンは車体の中で最も大きく重い部品ですから、一番大きな「ストレス」が生まれ易い箇所なのです。そして、その「ストレス」が溜まると歪(ひずみ)が生まれ、それによって、フレームが本来の変形や “しなり” が発揮できず、ロードホールディング性能の低下、乗り心地の悪化、コーナリング性能の低下などの原因となるのです。

ただ、この「ストレス」による歪を取り除く方法は難しくはありません。それは、エンジンをフレームに固定しているボルト(エンジンマウントボルト)を一旦緩めて、それから決めている締付けトルクで締め直すだけです。

 
この時、注意している点が幾つかありますので紹介します。一つは、車体を直立状態に保つ事です。その理由は、サイドスタンドを利用して、傾いた状態で「ストレス」を取れば、その状態が基準となるので、直立させただけで「ストレス」が生まれ、反対側(右側)へ傾けた時には更に大きくなり、コーナリングの左右差を大きくする原因となり、オートバイ本来の操縦性をスポイルする事になるからです。
二つ目はボルトを緩(ゆる)める時、その ‘緩め’ トルク値に注意を払う事です。その理由は、緩めトルクによって、ボルトの健康状態や加わっている「ストレス」の程度を推測できるからです。そして、‘緩め’ トルク値が締付けトルク値とほぼ同じであれば良好だと判断しています。
三つ目は、マウントボルトを緩めた状態で、エンジン本体に軽い打撃を加えています。プラスチックハンマーや大きなゴムハンマーで、シリンダーヘッドカバー上部やシリンダーブロック下部など、頑丈な箇所に衝撃を与えて、エンジンを本来の最も安定した位置へと下げてやるのです。
そして、四つ目は、特にVTR250の場合は注意が必要な事ですが、適正な締付けトルクを守る事と締めつける順番に特別な注意を払っています。この事は次の項で詳しく紹介します。

   ・・・ 次回は、『 締付けトルク値と締付けの順番 』の紹介になります







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中国の EV戦略、私たちに与える影響

2023-11-10 22:01:21 | コラム・社会

Seizo Trend 発、
https://www.sbbit.jp/article/st/126008?ref=rss&fbclid=IwAR3JsV4HbxMM2-N4H8GOLGuJkKm-bfM1EbJwPdMmEEkBf4PszunYVRyUKMg


2018年、中国政府が打ち出した「NEV」戦略、New Energy Viecle (電動車)戦略は、国内での EV の製造・販売を積極的に推し進めるもの。EV 製造助成金や購入補助金 に積極的に投資して、電動車・EV を全世界に対して中国の経済力を更に伸ばす商品としてきた結果がはっきりとグラフで示されています。
EVは電動車で、ICEは従来の内燃機エンジン搭載車で、輸出金額ベースでは、既にEVが過半数を占めており、鹿も、2023年のデータは 1~6月、上半期の集計である事に注目が必要です。


ただし、これはまだ過渡期です。2023年上半期の輸出台数の内、EV の割合は 1/3に過ぎず、今後はその割合が拡大すると予想されているからです。それは、2023年上半期、自動車輸出の金額の内 52% が EV で占めていますが、中国メーカー製の EV 割合は多くないからです。多くは 欧州や米国メーカーが中国国内で製造した EV が占めています。ただし、そのブランドの多くは中国資本で支配されているメーカーであったり、製造補助金で製造台数を伸ばしている 米・テスラ です。

 
一方、欧米各国では この中国政府主導による「NEV」戦略に警戒感も増しており、今後の展開は更に変化する事が記事に書かれています。


二輪オートバイの件は書かれていませんが、中国バッテリー企業ヤ製造に必要な資源の事を考慮すれば、いづれ 中国製 電動オートバイが、そのブランドがどこであっても、私達の将来の選択に大きな影響を与える事は間違いないでしょう。



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シニア モビリティ を一緒に考えよう

2023-10-31 11:28:43 | 社会や環境との関わりについて

GIGadgets 伝、

「こんなの、欲しいなぁ~」って言うと、多くの人は冗談だと思うかも知れませんが、現実を知る者としては、決して冗談ではないのです。



誰でも、大怪我しなくても、歳をとれば足腰が老いて、長い距離を歩けなくなるもの。そんな時に利用するのが「車イス」だったり「シニアカー」(国交省規格:ハンドル形電動車イス)になるのですが、どちらも難点があり、思ったほど自由に移動は出来ないのです。

通常の「車イス」は大きく嵩張り、筋力が弱い人には少しの坂道さえ登れません。通常型の車イスにモーターを搭載した「電動車イス」ならば、多少の坂道も苦無く登れますが、「車イス」と違って、折り畳む事が難しく、車に積んで移動して、移動先で使用する事が困難です。また、公共交通機関を利用する際は、その重さが原因で、通常型より多くの人の手助けが必要な場合があります。また、「シニアカー」(ハンドル形電動車いす)は高齢者用として多く販売されていますが、実際に利用すれば、その小径タイヤが原因で段差を乗り越え難く、その不安定さと高重心により、路面状況によっては転倒事故が起こり易い事が広く知られています。また、乗用車やタクシーへの積載も不向きで、自宅近所の段差が無く路面が綺麗な場所しか乗れない事になります。
 (以下、国交省の想定するシニアカーの資料を紹介します)


一方、動画で紹介されている「電動式・折り畳み型シニアカー」の優れている点は、折り畳むとコンパクトになり、乗用車に積んで移動が楽で、タイヤ(ホイール)径も路面の凹凸に強く、重心も低く安定している事です。
この製品が日本でも販売される事を期待しています。輸入時に通産省・JISの認定問題や、路上を走行する際の保険問題(保険会社が対応するか否か)などが課題になるとは思いますが、必ず、少なくない需要がある事は間違いありません。




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