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フロントフォークは、二人三脚の如し

2015-10-30 20:30:52 | 基本講座・車両整備
市販されている殆どのオートバイは、フロントタイヤ(前輪)を支える装置(サスペンション)として“ フロントフォーク ”が装着されている事はライダーの多くは知っているでしょう。(下図参照)

今回は、そのフロントフォークが人知れず抱えている「悩み」を紹介します。




「 フロントフォークはフロントタイヤのために 」

“ フロントフォーク ”は、円柱状の長いパイプで構成されている装置です。 家具の“つっぱり棒”の様に伸び縮みする“ パイプ ”が2本で一組となって、“ フロントフォーク ”が構成されています。

そして、“ フロントフォーク ”の一番下の部分にフロントタイヤ(ホイール)が装着されていて、フロントタイヤの上下動をフォークの伸び縮みで支え、タイヤが地面から離れないように働いているのです。

それは、ちょうど“ 二人三脚 ”と同じです。 二人が息を合わせて足を動かしているのと同じです。



「 二人三脚のコツとオートバイ 」

二人三脚の“ コツ ”は、二人が歩幅を合わせて、同時に足を動かす事です。 オートバイのフロントフォークも同じで、左右 2本のフロントフォークが同時に、同じ方向に、同じ量だけ伸び縮みするのが大切です。

しかし、意外でしょうが、殆どのオートバイ(フロントフォーク)はきちんと出来る状態ではないのです。



「 見た目は仲良しそうでも ・・ 」


フロントフォークは伸び縮みする装置ですから、2本のフォークの伸び縮みする方向は完璧に同じ(平行)になっている必要があります。 2本のフロントフォークの伸び縮みする方向が少しでもズレていると、お互いに動きに干渉し合って、スムーズに伸び縮みできません。

どんなオートバイでも、そのフロントフォークを一見した限りでは平行に見えても、実際には平行ではなくズレているのが普通です。 メーカーの組立て時の平行チェック作業は無く、車両(オートバイ)運搬時にはズレが発生する方法で車両を固定し、オートバイ販売店は平行チェックの概念も無いのが普通だからです。

けれど、そのズレがあっても、ほとんどのライダーは気にせず(感じず)走っているし、安全性にも大きな問題にはなっていない様ですが、機械(オートバイ)にとっては大きなストレスの原因なのです。

フロントフォークが動く度に、そのズレが原因で、フロントタイヤの上下動が阻害されたり、勝手に左右どちらかにタイヤの向きが変わっているのです。

そのため、右と左ではコーナリングの安心感が異なったり、走行ラインが左右のターンで違い、タイヤの減り方が右側と左側で違うという結果になるのです。



「 より良きオートバイライフのために 」

私は、オートバイで走行するイベントを数多く主催してきました。 そこで出会った数多くのオートバイを診てきた経験から言うのですが、フロントフォークは正しく平行に整える事を勧めます。

特に、ライディングテクニックを向上させたい人や、より良い状態のオートバイでツーリング等を楽しみたい人に勧めます。

フロントフォークが“ズレ”たままだと、それが原因によるオートバイのギクシャクした動きや、右と左とでターンの感覚(コーナリングの感覚)の違いなどを、ライダー側で補正しようとする操作を行ない、やがてはその操作が“ 悪い癖 ”として身についてしまうのです。

オートバイは無理やり操作するものではなく、最小限の操作で最大限の能力を発揮させてこそ、安全で愉しめるライディングになるのです。 そのためにも、フロントフォークを正しく平行に整備しましょう。



「 二つの平行、二つのズレ 」

フロントフォークの“ 平行 ”は二つあります。 一つ目は、フロントフォークを前方から見た時の“ 平行 ”で、二つ目は、真横から見た時の“ 平行 ”です。

一つ目のズレは、レースなどのメカニックなどでも良く知られているもので、フロントタイヤを固定している部分のボルトを緩めてから、フロントフォークを上下動(伸び縮み)させるとほぼ解消します。


しかし、二つ目のズレはその作業では解消しません。
ここで、いよいよ、私が長年推奨している“ 妖怪棒 ”を紹介しましょう。



「 妖怪棒のススメ 」

その“ 妖怪棒 ”を使って、フロントフォークのズレをチェックしている様子を紹介しましょう。



フロントフォークを真横から見ても判断し難いズレでも、“ 妖怪棒 ”さえあれば、ズレを拡大して簡単に確認できるので、正確に調整ができるのです。









この調整方法については、後日改めて GRA の Webサイト・「 オートバイの基本講座 ・メンテナンス編」で紹介の予定なので、興味のある人はお待ち下さい。
または、GRA が開催するイベント・『 自由練習会 』に参加か見学に来れば、希望者には詳しく説明をしています。


GRA イベント『 自由練習会 』の案内
http://gra-npo.org/schedule/free-prac/free-prac_top.html

きっと、ライディングに悩んでいる人であればある程に大きな助けの一つになるでしょうし、これから変な癖をつけずに上手になりたいと願っている初心者・初級者にとっても大切な事の一つになります。

どうぞ、フロントフォーク(オートバイ)には「 悩み 」がある事だけでも覚えておいて下さい。


* * * * *

※ 『GRAのセッティング講習』 の開催案内を下記の通り紹介します
ぜひ、ご利用ください

『 GRAのセッティング講習 』

http://gra-npo.org/schedule/setting/setting_top.html




『 自由練習会 』、一般の講習会との違い

2015-10-26 21:34:33 | 開催イベントの案内
私は、長年に亘り、全国各地で開催されるオートバイ講習会を受けてきました。メーカー主催の講習会は、鈴鹿で飽きるほど、桶川や浜松、九州でも受講してきました。

そんな経験から、『自由練習会』こそがオートバイの基本を学ぶ最高の機会だという事を伝えたいのです。


【 通常の講習会・練習会は 】


通常の講習会の特徴は、多くの受講者を受け入れて、毎回同じ様な幾つかのカリキュラムを順番にこなしている事です。
オートバイの運転技術を上達させたいと願う人にとって、気軽に練習ができる良い機会になりますが、その反面、全員が同じカリキュラムを同様にこなす方式のため、各個人毎に必要な練習やレッスンを受ける機会はありません。

まるで、学校教育の様に、その人が必要とする科目を、その人の理解レベルに合わせて勉強できる環境ではなく、全員が数学から保健体育までそつ無くこなす事が求められ、個々人の適切な上達には充分な環境ではありません。


【 自由練習会は 】

『自由練習会』は、自習(練習)ができる環境です。

学校の勉強であれば、自宅や図書室などでの自習などで補えますが、オートバイの場合には“自習(練習)”できる環境は大変に限られているのが実情ですから、「 必要な練習をしたい! 」と願っている人にとって、“自習”がたっぷりできる絶好の環境と機会になのです。

その上、知りたい事や聞きたい事があれば、専属の講師に知識や知恵を尋ねる事ができるので、しっかりとオートバイを学びたい人にとっては最適な機会と言って間違いありません。


【 お勧めの練習 】

勧める練習は、「簡単な事を一つひとつ確実に身に着ける」です。

と言うのも、ほとんどの人は基本をきちんとマスターせず、応用練習ばかりしているからです。
基本技術のレベルを磨き上げずに、パイロンスラロームやコーススラロームなどの応用練習ばかりに目を奪われているので、技術向上が遅く、壁にぶつかっているのです。

「いや、俺は長年の運転経験があって、一般の講習会や練習走行会も数多く受講したし、競技大会へもよく参加していて、スラローム中心の練習をしているけど、インストラクターより上手だ!」 と言う人もいるでしょう。

私は、トップクラスの運転競技参加者の方々を多く見てきたし、インストラクターの知り合いも多くいますが、そんな方々でも基本をマスターできている人は決して多くはありません。
それは、歴史の勉強で、年号などを丸暗記してテストの点が良い人が、決して歴史的な考察力を身に着けているとは限らないのと同じです。

初心者や初級者の内から、きちんとマスターする事が大切な“基本”は、改めて「オートバイの基本講座・ライディング編」で解説する予定ですから、楽しみにお待ち下さい。


『 自由練習会 』の説明と「開催予定」は ・ ・ ・
http://gra-npo.org/schedule/free-prac/free-prac_top.html





セッティングの イ・ロ・ハ

2015-10-03 23:10:51 | 基本講座・車両セッティング
セッティング
・・ それは、密林の禁断の果実の香りする世界。
・・ 正しい知識と感覚が無ければ迷宮の人になる。

ここで言う「セッティング」とは、もちろん(?)舞台作りや会談の段取りの事ではない。
オートバイ(車両)の各部を調整して、乗り味や切れ味(?)を変更する作業の事だ。
簡単に行なえる作業で馴染みのある世界だけど、意外にもその理論を正確に語れる人は少ない。



【 セッティングの迷路世界 】


オートバイは四輪車とは違い、簡単にセッティング作業ができる箇所が数多くあるから、セッティングを少し施すだけで、乗り味や安定感、操縦性に大きな変化が現われるのが特徴だ。

だから、オートバイに乗る事を愛するライダーには関心の高い世界だろう。
しかし、セッティング理論を教える講習会は殆ど無く、あるのは調整箇所の調整方法だけが簡単に書かれた書籍などがあるだけだ。
それでセッティングを正しく行なえるのだろうか。

いや、調整方法を知っているだけではセッティング作業はできない。
なぜなら、セッティング作業で一番大切な事は “ バランス ” を取る事だからだ。
調整を行なって乗り味が変化したとしても、車両のバランスを取る調整になっていなければ、オートバイの走行性能の限界が低くなり危険だけだ。

ここで言う“バランス”とは、オートバイとライダーとのバランスであり、オートバイをバンク(傾斜)させた時にハンドル(フロントタイヤ)が自動的に切れ込むタイミングと角度のバランスであったり、アクセルを開けて加速する時のタイヤと路面とのバランスなどで、それら様々な “ バランス ” をきちんと取る事が「 セッティング 」で一番大切な事だ。

でも、“ バランス ”を取る事の大切さは伝えられず、セッティング作業に欠かせない “ バランス ” 感を体得する機会が極めて少ないため、ほとんどのライダーはセッティングの世界で迷い続けている。


【 紹介されているセッティングデータはお勧めか? 】

よく雑誌やWebサイトの記事で、「 ○○○車のセッティングはこうだ! 」などときめ細かく「 セッティングデータ 」が書いてあるのを目にする。時には、“ 市街地走行用 ”“ 高速道路用 ”“ 峠道用 ”などと懇切丁寧にデータが書いてあったりするが、それらをそのまま真似て良いのだろうか?

そのまま真似て良い筈はない。

なぜなら、新車状態の同じオートバイでも一台一台で個体差があるから、例え同じオートバイであっても必要なセッティングの調整が違ってくる。
その上、ライダーが違うから体重や体格も違うので、オートバイとライダーとのバランスを取るのがセッティングだから、必要な調整量が異なるのが当然だ。

さらに、走行距離を重ねている車両では、車両のコンディションが変化しているのでセッティングで必要な調整量は変化するのは当然だし、オートバイで一番重要なパーツ、タイヤを変更していれば必要なセッティングが大きく変化しても不思議ではないのだ。

だから、雑誌やWebサイトなど書かれている事や「言い伝え」をそのまま信じて真似ていては、正しいセッティングは得られないのだ。


【 セッティングのイ・ロ・ハ 】

NPO法人GRAでは、1995年に『 セッティング講座 』を全国に先駆けて始めました。


それから毎年の様に、セッティング講習をあらゆる機会に設けるなど、積極的に取り組んできて、セッティングのノウハウや知識、経験を数多く蓄えているので、それらを体系的に伝える実践的な能力も備えています。



そんなセッティングの知識を、Webサイトなどを通じて広く全国のライダーへと伝えていく予定なので、どうぞ興味のある人は期待してください。

また、NPO法人GRAが企画開催するイベントに参加すると、セッティングのノウハウをその場で得られるので、悩んでいる人にとっては良い機会になるでしょう。
現在、開催を予定している『 自由練習会 』であれば、個人練習が基本のイベントだから、安全な会場で専用のセクションを使い、とことんセッティング技術を磨くのには最適な一日になる事に間違いありません。

<自由練習会の案内>
http://gra-npo.org/schedule/free-prac/free-prac_top.html


【 基本的なセッティングの進め方 】

セッティングの基本的な進め方や考え方について、1998年当時から講義用資料として配布している資料を紹介します。

セッティングというと少し特殊な事を施す様なイメージがあるかも知れないが、その基本条件として正しいメンテナンス(整備)がされている事が大切です。
メンテナンスと言ってもオイル交換やタイヤの空気圧調整だけてはありません。
車体各部、部品各部でのメンテナンスが不十分だとセッティングに悪い影響を与えてしまうもの。

だから、資料の最初半分はメンテナンスの必要な箇所を表にしているので、ぜひ参考にして欲しい。



<以下、セッティング講習会用の講習資料です>



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※ 『GRAのセッティング講習』 の開催案内を下記の通り紹介します
ぜひ、ご利用ください

『 GRAのセッティング講習 』

http://gra-npo.org/schedule/setting/setting_top.html