顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

暑いのに熱帯植物館…食虫植物展

2023年08月22日 | 季節の花

茨城県立植物園で食中植物展が開催されています。
入り口の券売り場で確認したら、熱帯の植物が植えてあるので会場の冷房はないとやはり予期した通りの返事…気温34℃のなか勇気を出して入場しました。

食虫植物は虫を捕食する植物で、捕虫葉と呼ばれる虫を捕らえるように発達した葉の仕組みにより次の4つに分類されます。

《落とし穴式》

捕虫葉は筒状の袋のようになり、その内側から出る匂いにつられて、虫が袋の中に落ちると、蓋が閉まり、袋の底にたまっている消化液で昆虫を消化します。



この種は約90種ありますが、その総称的な和名はウツボカズラ(靫葛)です。会場ではネペンテス、サラセニアなどの名前でいろんな品種が展示されていました。

《挟み込み式》

捕虫葉の内側に「感覚毛」という組織があり、昆虫が触れるとわずか0.5秒で挟み込みます。閉じ込められた昆虫は1週間程度で消化されてしまいます。

代表的な品種は、ハエトリソウです。YouTubeで葉がパタンと閉じるこの捕獲の様子がいろいろ出ています。

《粘着式》

捕虫葉の裏側に、腺毛という細い毛がびっしりと生え、そこから出る粘着液で虫を捕獲し、葉の内側に巻き込まれる仕組みになっています。この粘着液には消化酵素が含まれていて、昆虫は消化されてしまいます。

仙人の少年時代には、この粘着式のモウセンゴケを湿地でよく見かけましたが、いつの間にか消えてしまいました。これも昆虫が捕まる動画がYouTubeで見られます。

《吸い込み式》

水中の葉や茎に付いている小さな袋状の捕虫葉に、プランクトンなどの微生物が触れると口が開き水と一緒に袋の中に吸い込まれます。このムジナモは牧野富太郎博士が28歳のとき、江戸川河川敷で見つけ、ムジナ(貉)の尾に似ていることから名付けました。

食虫植物は、基本的には光合成能力で自ら生育できますが、荒野や湿地など栄養分が足りない土地では虫を捕食することでそれを補い、成長と繁殖に役立てているそうです。
いずれも捕虫する様子がYouTubeで見られるので面白いですよ。



エアコンの効いた隣室では、朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士関係の資料が展示されていて生き返りました。

茨城にも何度か足を運んだ博士の、茨城県に関係のある標本を東京都立大学牧野標本館からお借りしたものも展示されていました。その中のひとつ、ツクバネは、実の形が羽根つきのツクバネ(衝羽根)に似ているので命名されたビャクダン科ツクバネ属の落葉低木です。

真夏の熱帯植物館…、暖房経費はかからない時期でしょうが、夏休みでもさすがに人影はほとんどありませんでした。