立春過ぎても寒さは続いていますが、少しずつ日照時間も増え、畦道にも小さな花が顔を出してきました。めっきり距離の短くなった散歩道など身の回りで春の兆しを探してみました。

今はほぼ一年中顔を見せるホトケノザ(仏の座)でも、これから咲きだす花の色はより鮮やかになります。葉の出方から付いた名前ですが、春の七草のホトケノザはキク科の別種です。

花の形がよく似ているヒメオドリコソウ(姫踊り子草)、傘を被って手を叩きながら踊る姿は、小さくてよく分かりません。

春の七草のナズナ(薺)は、別名ペンペン草の方が馴染みのアブラナ科の越年草、実の形が三味線の撥(ばち)に似ているので名付けられました。

これも春の七草のハコベ、昔から食用植物として知られ、お浸しなどにして食べたそうですが、手乗り文鳥を飼っていた時には貴重な餌になりました。

ヒメオドリコソウの葉の間から顔を出したのはイヌフグリ(犬陰嚢)の仲間の外来種オオイヌノフグリ…イヌフグリの名前は牧野博士が二つ並んだ小さな実が犬の陰嚢に似ているので思い切って?付けましたが、外来種の方はハート形をしているそうです。

太陽が地面に降りたようなタンポポ(蒲公英)、この時期の花は花茎が伸びず地面に張り付いていますが、総苞片が反り返ったセイヨウタンポポでした。

農家の土手の梅の花は、もう花期が終わりを迎えていました。あまりに早すぎると触媒昆虫が活動しないうちに受粉時期が終わってしまいそうです。

家庭菜園の菜花は早咲きの品種で、正月頃から蕾を食してしまうのが可哀そうなようでしたが、やっと花が見られるようになってきました。

フキノトウ(蕗の薹)も芽を出しました。ちょうど落ちていた空蝉を添えて、「早く起きろよ」と揺さぶっているような写真になりました。

フクジュソウ(福寿草)とリュウキンカ(立金花)…どちらも競うように春一番に顔を出します。同じキンポウゲ科の多年草です。

サンシュユ(山茱萸)の蕾にも黄色が見え始めました。
早春の花に「黄色」が多いのは、いち早く活動を始めるアブやハエの仲間は黄色い色に敏感なためといわれます。虫媒花にとっては黄色が子孫を残す大きな利点になっているようです。
蒲公英の一番花の茎短か 瀬戸十字
たんぽゝや生れたまゝの町に住み 五所平之助
たんぽぽの皆上向きて正午なり 星野立子
湯たんぽを蹴飛ばす朝のたんぽぽ黄 顎鬚仙人