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顎鬚仙人残日録

日残りて昏るるに未だ遠し…

偕楽園の入園が有料になりました

2019年11月16日 | 水戸の観光
天保13年(1842)水戸藩9代藩主徳川斉昭公によって開園された偕楽園は、孟子の「古の人は民と偕(とも)に楽しむ、故に能く楽しむなり」から命名され、斉昭公撰文の偕楽園記にも「是れ余が衆と楽しみを同じくするの意なり」とあり、藩主や藩士ばかりでなく庶民にも開放する目的を掲げた近代の公園に近い性格を開園当初から持っていました。

このためか、日本三名園ながらずっと入園無料で通してきましたが、昨年から有料化の話が持ち上がり、開園当初の精神や無料というのが偕楽園の魅力であるという意見も多くありましたが、管理者である県議会ですんなりと議決され、11月1日から有料になってしまいました。
面積12.7ha、東京ドームの約3.7倍の広さを持つ偕楽園には今まで5箇所の入り口でしたが、今回の有料化に伴い4箇所の料金所が設けられました。

東門料金所
東門は、観光バスやJR偕楽園臨時駅の利用者が利用する、売店なども揃ったメインの入口です。

表門料金所
正門にあたる表門は、創立当時の黒門が建っていて、ここから入ることで斉昭公が意図した陰と陽の世界を体感できます。

表門入り口には、十月桜が申し訳無さそうに咲いていました。

南門料金所
斉昭公は水戸城下から船に乗り、当時は船着き場があった南門から入ったといわれています。この料金所から南門をくぐり、櫟門を上って見晴広場に出ます。

吐玉泉料金所
偕楽園は洪積層台地に位置するため、地形上と園内の回遊コースの都合上この料金所が必要になったと思われます。吐玉泉から竹林、表門に向かう通路になります。

西門は隣接する茨城県歴史館との回遊性を高めるために、岩間街道の下をトンネルでつなぎ、平成18年に開通しましたが、ここは有料区域外にして、従来どおり梅桜橋を経て桜山、田鶴鳴梅林、千波湖方面に行き来できるのは嬉しい限りです。



隣接の茨城県歴史館では、人気の銀杏並木や水車小屋の紅葉がちょうど見頃でした。



入園料は一般300円、小人と70歳以上150円、県内在住者は梅まつり期間以外は無料とややこしい設定ですが、いずれにしても入園料を払っていただいたお客様に満足いただけるような歴史や景観に考慮したソフト、ハード面の整備をしていかねばなりません。
向学立志の像のマント姿の旧制水高生も、そんな思いの顔をしているようにも見えました…。