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リストラから教えられる人生 その1

2010-06-10 11:27:57 | リストラから教えられる人生
どう書いてよいのか分からないが、自分の記録のために、また私たちの歩みが同じ経験をしている回りの人の少しでも助けになれば(といったらおこがましいかもしれないが)、正直に書いてみようと思う。

昨日の朝、10日間の学会から帰ってきたばかりのダンナのオフィスに、彼の新しいボス(2週間前に赴任したばかり)がやってきて、解雇を言い渡された。悪い夢を見ているかと今でも思うくらいの出来事だった。

私たちの大学は、州立大学ということもあり、去年から州の財政危機で学科やプログラムを廃止したり、自主退職を促したり、かなりの人員削減に取り組んできた。さらに新しい大学総長の方針で、過去3年間学長を初め、様々な部署のトップが左遷、降格、解雇を言い渡され、反面外から大学総長の目にかなった人が高額なサラリーで外部から雇われてきたことなど、その非人道的な人事にはダンナも不平不満を抱いてきた。

解雇の理由はリストラということで、ダンナの部署ともう一つの部署を統合し、もう一つの部署のディレクターがダンナの役職を兼務するという筋書きらしい。詳しい事情はここでは控えるが、新しいボスは何も説明してくれなかったらしい。

突然の出来事に、目の前が真っ暗になった私たちで、どうしたらよいのか、何から始めたらよいのか、動揺しながら一日過ごした私たちだった。

この時期というのはアメリカの大学では採用がほとんど終わっているため(新学期は8又は9月に始まる)、オットの専門分野で同じようなレベルの仕事は全くないし、家を売るピークの時期(1-3月)を逃してしまったし、引越しするには非常に時期が悪い。

3年前、ミズリー州からワシントン州へ嫌がる娘を引っ張って引越しした私たち。娘は不安やストレスのため、しばらくトイレが非常に近くなり、1年間カウンセラーのお世話になった。そういう娘は、今では信じられないくらい溶け込み、たくさん友達を作り、秋に地元の中学に行く日を指折り数えて待っている。

息子もこの地域で、ずいぶん成長した。ジャズバンドに入ってコンサートを頻繁に経験し、学業は目覚しい成績を治め、しかも学校の先生たちや学校が気にいっている。そして昨年には、特殊教育を卒業するまでに至った。この二人の子どもたちは、引越しによってまた振り出しに戻ってしまうのではないかと非常に不安になる。

昨日は、何人かの人たちと電話や直接会って話をした。事情を語り始めると、すぐ涙に詰まってしまったが、みな慰めながら、自分にできることがあれば何でも言ってねと声をかけてくれる。隣の副学長の奥さんは一緒に泣きながら、「今はその理由が変わらないかもしれないけど、きっと神様が備えてくださるから大丈夫よ。明日のことを心配しないで、1日ずつ考えていきましょう」と慰めてくれる。

神様がきっと備えてくださると自分に言い聞かせながら、心は怒りと不安と絶望感の入り混じった気持ちで一日を過ごす。親である私がしっかりしないと、子どもたちまでストレスで押しつぶされてしまうので、いまこそ信仰が試される時だと痛感する。

全ての経験や出来事が無意味に存在するのではなく、人の思いを超えた方のなせる業であると信じ、そういう願いをこめて、タイトルを「リストラから教えられる人生」と書いてみた。


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