最近、今とりくんでいる研究の関係で、日本の「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)」憲章」を一通り読んでみた。
読みながら、ライフコース関係の授業で学んだRileyの「Age differentiated」to「Age integrated」の社会構造の違いを思い浮かべる。
Age Differentiatedというのは、人生始めに「教育」、半ばには「仕事」、老後には「余暇」というように年齢ではっきり社会的役割が決められている社会。現在の日本にあてはまる。
Age Integratedというのは、「教育」「仕事」「余暇」が同時並行で人生の始まりから終わりまで進められていく構造社会。これからの社会は「生涯学習」や定年退職の延長、労働時間の減少(たとえば週4日労働)など、ライフコースがフレキシブル化されることが予想される。日本政府が今回の政策で目指すのもこの線なのかもしれない。
ところが、本当に仕事と生活をバランスよく進めていくことは、アメリカのようにジェンダー研究が進んでいる国においても、意外と難しい。
この前、小さいお子さんがいるアメリカの大学で働く日本の女性研究者の話を聞くと、彼女は子どもを残して学会へ行くために非常に苦労して時間のやりくりをしているとらしい。ぎりぎりまで子どもの面倒を見てから夕方家を経って、学会開催地のホテルについたのが夜中の1時。次の日は朝6時に起きて、朝一に始まるシンポジウムの司会の準備をし、ポスター発表をし、会議をこなしという強行スケジュール。学会2日目を終えて、夜遅く自宅に帰宅すると、家事・子育てが待ち構えていたとのことで、お茶を飲んで一服する暇もなかったらしい。。。ちなみに彼女の夫はカナダ人。
私の場合、現在、フルタイムで仕事をしているわけではないので、そこまで大変な思いをすることはない。けれども、いくらアメリカ人のオットを持つとはいえ、仕事を家に持ち帰ると非常に機嫌が悪くなってしまう。家事の合間にメールをチェックしたり、学生のレポートを採点すると、だんだんいらいらしてくるオットの様子が手にとるようにわかる。ということで、子どもが学校に行っている間の8時から3時までの間に、集中して仕事をしないと、家族がぎくしゃくしてしまう。
アメリカの映画の中には、仕事と生活のバランスが崩れて夫婦関係が悪くなっていくストーリーを取り上げたものが意外と多い。また妊娠や出産を契機に仕事を続けるのは、経済的理由が大きいためで、本音では子育てに専念したい女性も多い。
いろいろな落とし穴を想定しながら、日本の政策が、家族生活のクォリティーの向上につながればと願う。
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