キキ便り

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アメリカで子育てしながら博士号取得を目指している人のために:その5

2008-01-04 06:02:15 | 博士課程で学んで
私の経験からですが、ある程度社会人になって世の中を経験してから、院に戻ると勉強の面白さが倍増します。

20代の大学生と席を並べて授業を受けるのは、違和感がある場合も多いのですが、社会でいろいろなことを経験した視野から授業に出ると、発言したいという思いも高まってきます。

たとえば、テキストを読むという行為でも、自分の体験や普段考えていることオーバーラップしながら読めるので、歯ごたえがあります。(20代の時の私は、何を読んでもちんぷんかんぷんだったような気がします)。納得したり、反発したり、思い巡らしたり。。。。自分の中で対話を形成していくのです。そういう経験をすると、授業で交わされる議論にもついていけますし、新鮮な意見を出すことも可能です。確かに、英語を母国語としていないというハンディから理路整然と述べることは難しいかもしれませんが、アイディアのキャッチボールくらいなら年数とともに出来るようになってきます。

アメリカ人の学生は、一般的に非常に忙しく生活しています。日本よりも親からの金銭的な援助を受けている場合が少ないため、バイトを複数かけもちしながら生活しているのです。そういう学生たちは、意外とテキストを読んでいなかったり、斜め読みにしたり、手抜きしているものです。

しかし、留学生の存在では、うまく手抜きしながら授業に参加するのは、難しいと思います。私もそうですが、どこで手を抜いたらいいのかわからないのです。自分の勉強になると思って、出された課題の本や論文などは、やはり全部読むつもりでいた方が無難だと思います。

極端な例ですが、ある社会学部の授業で、学期中に本10冊以上テキストとして買わされ、論文も20本以上読まされました。それ以外に参考図書もありました。そして、毎週10ページ以上のフィルドノートを書かされました。あまりの課題の過酷さに、当初の半分くらいの学生が去っていきました。

私がサバイバルできたのは、授業で使った本や論文が面白くてためになったからです。読んでいくうちに、こういう研究ぜひやってみたいとか、アイディアがどんどん沸いてきて、知的充実感みたいなものを毎回感じさせてくれました。そういう私のやる気みたいなものを、この授業のインストラクターは理解してくれたようで、授業の最終日に、よくがんばってくれたわね、と感謝してもらえました。

以上述べたことは、全ての人の例にあてはまらないかもしれないのですが、授業の内容やテキストが面白い、と感じられるようなレベルになって、大学院にいくのが成功の秘訣かもしれません。生涯教育や社会人大学が流行している理由も、ここにあるのかもしれません。
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