前も簡単に紹介したシェリル・サンドバーグ、アダム・グラント著『OPTION B』
昨日、図書館で借りたオーディオブックを聞き終えた。
突然夫を失ったフェイスブックのCOOの著者が、いかにその逆境から立ち直ったか、卒直な語りでそのプロセスをわかりやすく説明している。
オプションBの説明として、
「最良の選択肢(オプションA)」ではなく、オプションBを選ばざるを得なくなったとき
その逆境からどう回復すればよいのか。
回復力(レジリアンス)がテーマであり、サンドバーグ氏の体験談以外にも、様々な人が経験する逆境がストーリーとして織り込まれているので、読み応えのある本。
アマゾンに、いろいろな人たちのレビューが紹介されているので、これらを読むと大体の内容は想像つくのではないかと思う。
https://www.amazon.co.jp/dp/B073WQ4ZGF/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1
私が特に印象に残ったのは
1.大変な不幸や悲劇を経験した周りの人に対して、よく”Please let me know if there is anything I can do to help you"(何か私でお力になることがあれば、遠慮なくおっしゃってください)のようなフレーズを使うことが多いが、これは、相手にボールを投げてしまうことになり、それよりも自分がこんなことできるけど、と言った方がいいのかもしれない、とのこと。お悔みの決まり言葉がそれ以外にもあるが、自分はいかにも形式的に使っていて、結果的に何も相手にしてあげていない、ということに気づかされた。悲しみにあった人は、悲しみそれ自体だけでなく、ソーシャルサポートを受けられない(周りから放っておかれて孤独)ことで、二重の苦しみを受けている可能性を教えられる。悲劇の真っただ中にいる人に、適切な言葉や行動をかけるのは難しく、相手の気を悪くしてしまうかもしれない、そっとしてほしいと思っているのかもしれない、ということで回りは距離を置きすぎる、ということに気づかされる。
2.日記について。回復力のきっかけになるのは、自分の気持ちを毎日日記に綴っていくこと、というのは、よく聞く話だったが、サンドバーグ氏がご主人の死から6カ月目にさしかかった日に、次の人生に向かって歩もうという意思とともに日記をつけることをやめる。日記をつけること、やめること、考えさせられた。
3.自分に対する批判を恐れない=回復力。Public Speaking (人前で話すこと)が苦手なビジネススクールの教員が、いかに学生からの辛辣な批評を積極的に求め、それらに向き合って、自分のTeaching Skillを磨いていったかという事例に感動する。まず、いろいろなクラスでGuest Lectureをすることを申し出て、その一発勝負の授業の後に評価を書いてもらう。「先生がナーバスなので、それが自分たちにも伝わって僕たちもナーバスになってしまう」などの心痛い意見もあったらしい。その後自分が担当している授業の学生たちに教員評価を匿名で書いてもらい、その中で4つのもっとも手厳しい意見をEmailで他の学生たちにも紹介する。さらに授業で、自分はこれらのマイナス評価に対してどういう風に改善していきたいか、自分は学生たちからどのように学んでいきたいかということをクラスで話しあったらしい。その後、この先生は教員評価の高い先生の一人としてランクづけられるくらいになったらしい。相手の評価を糧として、自分を高めていくというレジリアンスは見習いたい。なかなかできないことである。
次に図書館で借りたオーディオ本は、ジャーナリストAmanda RipleyのThe Unthinkable: Who Survives When Disaster Strikes - and Why である。
Today, nine out of ten Americans live in places at significant risk of earthquakes, hurricanes, tornadoes, terrorism, or other disasters. (今日、アメリカ人の10人に9人は、地震、ハリケーン、竜巻、テロ、その他の災害にあう危険地帯に住んでいる)と書いてある。
この本の感想は後日に。彼女の本、The Smartest Kids in the World: And How They Got That Wayがとっても面白かったので楽しみ。PISAの学力調査でスコアが高かった3つの国の教育事情が紹介されていて、教育関係者だけでなく親、行政や研究者にも必読の本。