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パンダ好きな私のある日の出来事

パンダが好きです。
そんな私の毎日の中で・・・
起こったこと。行ったところ。

歌舞伎座10月夜の部(2014)

2014年10月25日 00時55分22秒 | 芝居
歌舞伎座の夜の部を見てきました。
今月(10月)は、17代目と18代目の勘三郎の追悼として、興行されています。
17代目は27周忌。
18代目は3回忌。

先々代(もしほの勘三郎)は、ちょうど私が歌舞伎を見始めたころに具合が悪くて、すぐに亡くなったので、数えるほどしか実際の舞台は見ていません。
今の勘九郎(勘太郎)と七之助兄弟が初舞台を踏んだ年より、2年ぐらい前から見始めているはずなので・・・。
父がいちばん元気なころの先々代を見ていて、気分屋で芝居を投げるところがあったのと、松緑にくらべて芸が暗かったという話を聞いたことがありました。

そして、先代(勘九郎の勘三郎)は、どちらかというと、いろいろな実験的な歌舞伎をやるのが、どうも好きになれなくて、大歌舞伎に出るとき以外はあまり積極的にはみなかった俳優でした。
実は、小学校のころ、年に1回だけ見に行ってた歌舞伎(歌舞伎鑑賞教室)で勘九郎の勘三郎を見た記憶が強く残ってます。
たしか、弁天小僧だった気がするんだけど。
う~ん?今になってあいまいに。油地獄だったかな?
あれ?でも、勘九郎だったんだな。

独自の座組でやる中村座とか、地方での舞踊公演じゃなくて、もうそろそろ大歌舞伎のほうに戻るんだろうと思っていたところで、亡くなったので、本当にもったいないと思います。
そう、亡くなったときに、まずはもったいないと思ったんでした。
団十郎のときは、歌舞伎の一部が終わったと思ったけど、勘三郎は、名前はうれて人気はあったし、実力もあったけど、まだまだこれからの人だったから、もったいなかった。

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追悼ということで、生前の2人の得意役が並びます。
子どもの勘九郎と七之助が大奮闘です。

夜の部最初は、寺子屋。
源蔵に勘九郎、戸浪に七之助。対するは、仁左衛門の松王、玉三郎の千代。
いやぁ、松王と千代がなにしろいい!!
幸四郎のようなうたってしまう雄々しい感じの松王と違って、うちに悲しみを秘めて、そして、何しろやさしい松王でした。
子どもの死を悲しむ普通の親としての松王で、悲しみがよく伝わります。
玉三郎もていねいに演じていました。
松王が千代に泣くなというところも、そんなに強くなく、千代の悲しみを理解している松王でした。

今回見ていて、菅原伝授手習鑑では、松王、梅王、桜丸の三つ子が中心に出てくる場面が多いんだけど、この家族が一気に悲しみに襲われるドラマなんだなとふと思いました。
三つ子に恵まれたというだけで、幸せ者だった父親が、賀の祝いをするような幸せのときに、主人筋が自分の息子の桜丸のせいで、都を追われる身になる。
仲が良かった兄弟は親の前でもいがみあい、
そして、その責任を負って、賀の祝いの場で桜丸が切腹。
松王は、子どもを失う。
せめてもの救いは、松王が主人を救おうとしてくれたということ。

松王が、小次郎を思って「桜丸が不憫でござる」と泣くところは、ずっと子どもを思って泣くのをかくすためなんだと思ってたけど、今回、家族をおそったいろいろな悲しみを思っての涙でもあるんだなぁって感じました。

いやぁ、いいお芝居を見ました。

この松王と千代に対して、源蔵と戸浪は若すぎる気がしました。
もちろん、ていねいに演じているんだけれども、型が型のままで、若さが全面に出ている気がします。

中幕は、藤十郎と梅玉の吉野山。

最後は、七之助、勘九郎兄弟の鰯売。
勘九郎の声が先代の声にあまりにもよくにていて、驚きました。
ただ、似ている分、先代との違いというのも見えた気がします。
やっぱり・・・愛敬の問題なのかな?
勘九郎はまじめなところがいい部分なんだけど、その分、愛敬が先代よりもない。
いや、先代の愛敬がありすぎたんだろうなぁ。

七之助はこれからが楽しみな女形です。