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パンダ好きな私のある日の出来事

パンダが好きです。
そんな私の毎日の中で・・・
起こったこと。行ったところ。

国立劇場12月歌舞伎公演(忠臣蔵外伝)

2013年12月14日 22時53分01秒 | 芝居
国立劇場に歌舞伎を見に行ってきました。
今月は吉右衛門で、忠臣蔵外伝みたいなお話を3本。

全体としてテーマがある企画である点、結構ニンにあった配役である部分が多かった点などなどから、2013年の締めくくりに見る芝居として満足しました。

「主税と右衛門七」

歌昇、米吉、隼人の若手ががんばる、お芝居です。
新作歌舞伎の分類にはいるもので、討ち入り前夜の葛藤を描いています。
15歳、17歳で討ち入りに参加する子たちが、淡い恋心をいだいたり、この世の中に未練があったり、そういう人間らしい姿が見られます。
そういう点で、若手の子たちのがんばりがほほえましくて、役にはまっているように思いました。
歌六が、大石でしっかりしめてるし。
歌六は、最後の幕でも、踊りで定九郎もしてるんだけれど、大石のがそりゃ、ニンです。

「弥作の鎌腹」

これは、初代吉右衛門の得意のお芝居で秀山十種にもなっているものです。
おそらく、初代が亡くなってからはやられてなかったんじゃないかなぁ?
この吉右衛門のお芝居がよかった。
いやぁ、これは難しいお芝居で・・・。
人のいい農民の弥作は、6段目で有名な千崎弥五郎で、弟の討ち入りの決意を聞いて、弟のために、主人を殺し、自分も自害する。
なんだか深刻だけれど、弥作自信が人のいい小市民な感じで、笑いの中で悲惨な最期という、難しいもっていきかたなのです。
切腹の作法を守ろうとして、大根を「しきみ」がわりにしたり、おなかをさすことができなくて、はずみをつけて鎌をおなかにつきさしたり。
そのいちいちがおもしろいけど、でも、最後には観客を泣かせるんだなぁ。
「佐倉義民伝」におもしろさを加えた感じでしょうか。

お話自体は後味が悪いし、なかなかやられなかったのはよくわかりました。
やってくれてよかった。見られてよかった。

「忠臣蔵形容画合」

黙阿弥が作った作品のようです。
忠臣蔵の7段目までを踊りで再現したものなのだけれど、ところどころ後日談的な話も入り、おもしろい。
黙阿弥のしゃれっ気というか、江戸の人のしゃれってのを味わえます。
が・・・現代の人は、もとの忠臣蔵の話をしっかりは知らない人が多いので、どれほどしゃれっ気がわかるのか?そこが難しいところ。
大序から、三人上戸の清元の踊りになるとか。
二つ玉の場面で、イノシシが殺された親父の亡霊として出てきたり。
6段目は、もう勘平さんが死んだあとの話で、おっかさんが近所の人に、盆踊りを教えていて、最後は目をまわして勘平のような形で死ぬとか。
あぁ、これあそこのパロディーだぁって思いながら楽しむ踊りのようです。

7段目で、ちょこっとだけ吉右衛門が大星として出てくるんだけれど、これが本役の大星という感じで、大きくて、ほんの少しの出番でも、お芝居がしまるように感じました

ちょっと長い気はしつつ、場面場面は楽しい踊りに仕上がっていたようです。

そういえば、「弥作の鎌腹」でも、最後弥作が鉄砲で主人を殺すんだけど、そこの三味線は二つ玉の場面と同じだったり。
踊りも含めてところどころにそういう楽しさがありました。

吉右衛門の「弥作の鎌腹」だけでもいいお芝居です。
ちょっと空いているような気がしてもったいないなぁ。