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懲戒解雇事由に該当し得る場合であっても普通解雇できますか?

2011-05-19 | 日記
Q19  懲戒解雇事由に該当し得る場合であっても普通解雇できますか?

 高知放送事件最高裁昭和52年1月31日判決は,「就業規則所定の懲戒事由にあたる事実がある場合において,本人の再就職など将来を考慮して懲戒解雇に処することなく,普通解雇に処することは,それがたとえ懲戒の目的を有するとしても,必ずしも許されないわけではない。」と判断しており,懲戒解雇事由がある場合であっても,就業規則の普通解雇事由に該当するのであれば,普通解雇できることに争いはありません。
 この場合の普通解雇の有効性は,普通解雇の要件を具備しているかどうかにより判断されます。
 就業規則の普通解雇事由のいずれにも該当しない場合に普通解雇できるかについては争いがありますので,就業規則の普通解雇事由に包括条項を入れておくなどして,懲戒解雇事由が普通解雇事由にも該当することを明示しておくべきでしょう。
 ただし,新たな懲戒事由判明後に,別途,予備的解雇をする場合の解雇理由とすることはできます。

弁護士 藤田 進太郎

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