弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログです。

注意するとパワハラだなどと言って,上司の指導を聞こうとしない。

2012-01-31 | 日記
Q4 注意するとパワハラだなどと言って,上司の指導を聞こうとしない。

 「パワーハラスメント」とは,一般に,「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」をいいます(『職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告』)。

 『職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告』では,パワハラの行為類型として,以下のようなものが挙げられています。
① 暴行・傷害(身体的な攻撃)
② 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③ 隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④ 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
⑤ 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
⑥ 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
 まず、①については、業務の遂行に関係するものであっても、「業務の適正な範囲」に含まれるとすることはできない。
 次に、②と③については、業務の遂行に必要な行為であるとは通常想定できないことから、原則として「業務の適正な範囲」を超えるものと考えられる。
 一方、④から⑥までについては、業務上の適正な指導との線引きが必ずしも容易でない場合があると考えられる。こうした行為について何が「業務の適正な範囲を超える」かについては、業種や企業文化の影響を受け、また、具体的な判断については、行為が行われた状況や行為が継続的であるかどうかによっても左右される部分もあると考えられるため、各企業・職場で認識をそろえ、その範囲を明確にする取組を行うことが望ましい。

 近年では,上司の言動が気にくわないと,何でも「パワハラ」だと言い出す社員が増えているように思えます。
 そのような社員は,勤務態度等に問題があることが多く,むしろ,注意,指導,教育の必要性が高いことが多いという印象です。
 『職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告』でも,「個人の受け取り方によっては、業務上必要な指示や注意・指導を不満に感じたりする場合でも、これらが業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントには当たらないものとなる。」とされていることからも分かるように,部下にとって不快な上司の言動が何でもパワハラに該当するわけではありません。

 上司の部下に対する注意,指導,教育は必要不可欠なものであり,上司に部会の人材育成を放棄されても困りますから,パワハラにならないよう神経質になるあまり,上司が部下に対して何も指導できないようなことがあってはなりません。
 『職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告』でも,「なお、取組を始めるにあたって留意すべきことは、職場のパワーハラスメント対策が上司の適正な指導を妨げるものにならないようにするということである。上司は自らの職位・職能に応じて権限を発揮し、上司としての役割を遂行することが求められる。」とされています。

 違法なパワハラに該当するかどうかは,行為のなされた状況,行為者の意図・目的,行為の態様,侵害された権利・利益の内容,程度,行為者の職務上の地位,権限,両者のそれまでの関係,反復・継続性の有無,程度等の要素を総合考慮し,社会通念上,許容される範囲を超えているかどうかにより判断されることになります。
 部下に問題がある場合であっても,やり過ぎは良くありません。
 指導教育目的であっても,やり過ぎると違法と判断されることがあります。
 皆の前で叱責することや,大勢の社員が読むことができる電子メールで叱責することは,裁判所受けが良くありません。
 パワハラでなくても,名誉毀損となることもあります。
 電子メールにより部下を叱責する場合は,主に,メール送信の目的,表現方法,送信範囲等の要素をチェックする必要があります。
 最近では,訴訟で電子メールが証拠として提出されることが多くなっています。

 パワハラにより精神障害を発症した場合,労災となり,会社が安全配慮義務違反又は使用者責任を問われて,損害賠償請求されることになりかねません。
 パワハラを行う原因が上司のマネジメント能力の不足にある場合は,上司の懲戒処分だけ行うよりも,研修,降職,配置転換等により対処した方が有効な場合もあります。

 パワハラの状況は,部下により無断録音されて,証拠として提出されることが多く,訴訟では,無断録音したものが証拠として認められてしまいます。
 部下が上司をわざと挑発して,不相当な発言を引き出そうとすることもあります。
 無断録音されていても問題が生じないよう指導の仕方に気をつける必要があります。

弁護士 藤田 進太郎

四谷麹町法律事務所 サービス内容 平成24年1月30日(月)

2012-01-30 | 日記
サービス内容

1 労働問題の予防解決労働相談(経営者側限定)
 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っており,経営者側専門弁護士の立場から,
① 解雇に関する紛争の予防・解決
② 残業代に関する紛争の予防・解決
③ 問題社員の対応
④ 労働審判・労働訴訟の対応
⑤ 労働組合との団体交渉・労働委員会における不当労働行為救済申立事件の対応
⑥ 長時間労働,うつ病,セクハラ,パワハラ,石綿吸引,じん肺等に関する損害賠償請求の対応
等の労働問題の予防解決や労働相談に特に力を入れています。
労働問題の予防解決労働相談を中心業務としている経営者側専門弁護士をお探しでしたら,弁護士藤田進太郎にご相談下さい。

2 企業法務・訴訟対応
 顧問先企業の法務全般・訴訟対応を行っています。

3 その他
 経営者・人事労務担当者向けに,労働問題に関するセミナー講師等(所長ご挨拶ページ「主な講師担当セミナー・講演・著作等」参照)を行っています。
 顧問先企業関係者からの様々な相談に応じています。

弁護士 藤田 進太郎

四谷麹町法律事務所トップページ 平成24年1月30日(月)

2012-01-30 | 日記
 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎(東京)は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っており,使用者・経営者側専門の弁護士として,労働問題の予防解決や労働相談に力を入れています。
 労働審判を申し立てられたり,団体交渉を申し入れられたりするなど,労働問題でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎(東京)にご相談下さい。

 近年,労働問題が急増し,弁護士に対する相談件数が増加しています。
 しかし,労働問題に関するリスク管理が不十分な会社がまだまだ多く,無防備な状態のまま,労働者から労働審判を申し立てられたり,労働者が加入した合同労組から団体交渉を申し入れられたりして多額の解決金の支払を余儀なくされて初めて弁護士に相談し,対応を検討し始める会社経営者が多いというのが実情です。
 会社経営者が,労働問題に対して適切に対応することができなかったために大きなダメージを被り,社員に裏切られたとか,詐欺にあったようなものだとか,社員にも裁判官にも経営者の苦労を分かってもらえないだとか,法律が社会の実情に合っていないだとか嘆いてがっかりしている姿を見ていると,本当に残念な気持ちになります。
 せっかく一生懸命育ててきた会社なのですから,労働問題で大きなダメージを被って取り返しがつかない結果になる前にしっかり対応しておかなければなりません。

 弁護士藤田進太郎東京)は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っており,経営者側専門弁護士の立場から,労働問題の予防解決や労働相談に特に力を入れています。
労働審判や団体交渉の対応等のため,労働問題の予防解決や労働相談を中心業務としている経営者側弁護士をお探しでしたら,弁護士藤田進太郎東京)にご相談下さい。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

四谷麹町法律事務所 サービス内容ページ 平成24年1月28日(土)

2012-01-28 | 日記
サービス内容

1 労働問題の予防解決労働問題の相談
 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っており,経営者側専門弁護士の立場から,
① 解雇に関する紛争の予防・解決
② 残業代に関する紛争の予防・解決
③ 問題社員の対応
④ 労働審判・労働訴訟の対応
⑤ 労働組合との団体交渉・労働委員会における不当労働行為救済申立事件の対応
⑥ 長時間労働,うつ病,セクハラ,パワハラ,石綿吸引,じん肺等に関する損害賠償請求の対応
等の労働問題の予防解決労働問題の相談に特に力を入れています。
労働問題の予防解決労働問題の相談を中心業務としている経営者側専門弁護士をお探しでしたら,弁護士藤田進太郎にご相談下さい。

2 企業法務・訴訟対応
 顧問先企業の法務全般・訴訟対応を行っています。

3 その他
 経営者・人事労務担当者向けに,労働問題に関するセミナー講師等(所長ご挨拶ページ「主な講師担当セミナー・講演・著作等」参照)を行っています。
 顧問先企業関係者からの様々な相談に応じています。

弁護士 藤田 進太郎

残業代計算の基礎賃金

2012-01-28 | 日記
Q78 当社では,基本給のほか様々な手当を支給していますが,残業代の計算に当たっては,基本給のみを残業代計算の基礎賃金としています。これで大丈夫でしょうか?

 基本給のほか,家族手当,通勤手当,住宅手当等,様々な名目で月給が支給されている場合,残業代(割増賃金)の算定に当たって,諸手当を除外することはできるのでしょうか?
 労基法は,原則として全ての賃金を残業代(割増賃金)算定の基礎となる賃金とした上で,労基法37条5項及び労基則21条において,残業代(割増賃金)の基礎に算入しない賃金(除外賃金)を制限列挙するという態度を取っており,「(月給額-除外賃金)」が残業代(割増賃金)算定の基礎となる賃金となります。
 したがって,諸手当全てが除外賃金に該当すればいいのですが,除外賃金に該当しないものがある場合には,残業代(割増賃金)額を計算し直し,不足額を支払わなければならなくなってしまいます。

弁護士 藤田 進太郎

賃金が残業代(割増賃金)込みの金額である旨納得して入社したにもかかわらず,残業代の請求をしてくる。

2012-01-28 | 日記
Q19 賃金が残業代(割増賃金)込みの金額である旨納得して入社したにもかかわらず,残業代(割増賃金)の請求をしてくる。

 残業代(割増賃金)の支払は労基法37条で義務付けられているものですが,労基法で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は,労基法で定める基準に達しない労働条件を定める部分についてのみ無効となり,無効となった部分は労基法で定める労働基準となりますので(労基法13条),労基法37条に定める残業代(割増賃金)を支払わないとする合意は無効となるため,残業代(割増賃金)を支払わなくても異存はない旨の誓約書に署名押印させてから残業させた場合であっても,使用者は残業代(割増賃金)の支払義務を免れることはできないことになります。

 割増部分(残業代に相当する金額)を特定せずに,基本給に残業代(割増賃金)全額が含まれる旨合意し,合意書に署名押印させていたとしても,これを有効と認めてしまうと,残業代(割増賃金)を支払わずに時間外労働等をさせるのと変わらない結果になってしまうため,残業代(割増賃金)の支払があったとは認められません。
 この結論は,年俸制社員であっても,変わりません。
 モルガン・スタンレー・ジャパン(超過勤務手当)事件東京地裁平成17年10月19日判決では,割増部分(残業代に相当する金額)が特定されていないにもかかわらず,基本給に残業代(割増賃金)が含まれているとする会社側の主張が認められていますが,基本給だけで月額183万円超えている(別途,多額のボーナス支給等もある。)等,追加の残業代(割増賃金)の請求を認めるのが相当でない特殊事情があった事案であり,通常の事例にまで同様の判断がなされると考えることはできません。

 残業代(割増賃金)が賃金に含まれている旨の合意が有効であるというためには,通常の労働時間の賃金に当たる部分と残業代(割増賃金)に当たる部分とを判別することができる必要があります。
 割増部分(残業代に相当する金額)が特定されていない場合は,残業代(割増賃金)が全く支払われていない前提で残業代(割増賃金)が算定され,その支払義務を負うことになります。
 一般的には,支給した残業代(割増賃金)の額が労基法37条及び同法施行規則19条の計算方法で計算された金額以上となっているかどうか(不足する場合はその不足額)を計算できる定め方であれば,通常の労働時間の賃金に当たる部分と残業代(割増賃金)に当たる部分とを判別することができると評価することができるものと思われます。
 労基法上の計算方法で残業代(割増賃金)の金額を計算した結果,残業手当等の金額で不足する場合は,不足額を当該賃金の支払期(当該賃金計算期間に対応する給料日)に支払う法的義務が生じることになります。

 小里機材事件東京地裁昭和62年1月30日判決が「傍論」で,「仮に,月15時間の時間外労働に対する割増賃金を基本給に含める旨の合意がされたとしても,その基本給のうち割増賃金に当たる部分が明確に区別されて合意がされ,かつ労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払期に支払うことが合意されている場合にのみ,その予定割増賃金分を当該月の割増賃金の一部又は全部とすることができるものと解すべき」判断し,控訴審判決である東京高裁昭和62年11月30日判決はこの地裁判決の判決理由を引用して控訴を棄却し,上告審の最高裁第一小法廷昭和63年7月14日判決も高裁の認定判断は正当として是認することができるとして上告を棄却していることから,労働者側から,割増部分が「明確に」区別されていないから残業代(割増賃金)の支払がなされていると評価することはできないとか,労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払期に支払うことが合意されていないから固定残業代部分を残業代(割増賃金)の弁済と評価することはできないとかいった主張がなされることがあります。
 この論争を回避するためには,固定残業代の「金額」を明示して給与明細書・賃金台帳の時間外手当欄等にもその金額を明確に記載しておくとともに,賃金規定に労基法所定の計算方法による額が固定残業代の額を上回る場合にはその不足額を支払う旨規定し,周知させておくとよいでしょう。

 労働条件通知書等において基本給と時間外手当を明確に分けて「基本給○○円,残業手当○○円」と定め,給与明細書や賃金台帳でも項目を分けて金額を明示しているものについては,支給した割増賃金の額が労基法37条及び同法施行規則19条の計算方法で計算された金額以上となっているかどうかを容易に計算できるのが通常のため,通常の労働時間の賃金に当たる部分と残業代(割増賃金)に当たる部分とを判別することができるものといえ,有効性が否定されるリスクは低いと思われます。
 ただし,「基本給15万円,残業手当15万円」といったように,残業手当の比率が極端に高い場合は,合意内容があまりにも労働者に不利益なため,合意の有効性が否定されるリスクが高くなりますので,避けるべきです。
 やり過ぎはよくありません。

 「基本給には,45時間分の残業手当を含む。」といった規定の仕方も広く行われており,一応,通常の労働時間の賃金に当たる部分と残業代(割増賃金)に当たる部分とを判別することができるといえなくもありませんので,一般には有効と考えられています。
 しかし,給与明細書・賃金台帳の時間外手当欄が空欄となっていたり,0円と記載されていたりすることが多く,一見して残業代(割増賃金)が支払われているようには見えないため,紛争となりやすくなっています。
 また,「45時間分の残業手当」が何円で,残業手当以外の金額が何円なのかが一見して分からず,方程式を解くようなやり方をしないと,残業代(割増賃金)に相当する金額と通常の賃金に相当する金額を算定できなかったり,45時間を超えて残業した場合にどのように計算して追加の残業代(割増賃金)を計算すればいいのか分かりにくかったりすることがあるため,有効性が否定されるリスクが残ります。
 労基法上,深夜の時間外労働(50%増し以上),法定休日労働の割増賃金額(35%増し以上)等は,通常の時間外労働の割増賃金額(25%増し以上)と単価が異なるが,どれも等しく「45時間分」の時間に含まれるのか,あるいは時間外勤務分だけが含まれており,深夜割増賃金や法定休日割増賃金は別途支払う趣旨なのか,その文言だけからでは明らかではないこともあります。
 支給した固定残業代の額が労基法37条及び同法施行規則19条の計算方法で計算された金額以上となっているかどうか(不足する場合はその不足額)を容易に計算できるような定め方にしておくべきでしょう。

 営業手当,役職手当,特殊手当等,一見して残業代(割増賃金)の支払のための手当であるとは読み取れない手当を残業代(割増賃金)の趣旨で支給する場合は,賃金規定等にその全部又は一部が残業代(割増賃金)の支払の趣旨である旨明記して周知させておく必要があります。
 労働条件通知書や賃金規定等に残業代(割増賃金)の趣旨で支給する旨明記されていないと,裁判所に残業代(割増賃金)の支払であると認定してもらうのが難しくなります。
 これに対し,「残業手当」「時間外勤務手当」等,一見して残業代(割増賃金)の支払のための手当であることが分かる名目で支給し,給与明細書にその金額の記載がある場合は,リスクが小さくなります。
 営業手当,役職手当,特殊手当等,一見して残業代(割増賃金)の支払のための手当であるとは読み取れない手当の「一部」を残業代(割増賃金)の趣旨で支給する場合にも,割増部分(残業代に相当する金額)を特定して支給しないと,残業代(割増賃金)の支払とは認められません。
 例えば,役職手当として5万円を支給し,残業代(割増賃金)が含まれているという扱いにしている場合,役職者としての責任等に対する対価が何円で,残業代(割増賃金)が何円なのか分からないと,残業代(割増賃金)の支払が全くなされていないことを前提として残業代(割増賃金)額が算定され,支払義務を負うことになります。
 管理監督者についても,深夜割増賃金の算定,支払が必要となるため,同様の問題が生じ得ます。

 固定残業代の比率が高い会社は,長時間労働が予定されていることが多く,1月あたりの残業時間が80時間とか,100時間に及ぶことも珍しくありません。
 長時間労働を予定した給与体系を採用し,長時間労働により社員が死亡する等した場合は,会社が多額の損害賠償義務を負うことになるだけでなく,代表取締役社長その他の会社役員も高額の損害賠償義務を負うことになるリスクもあります。
 固定残業代の金額は,1月当たり45時間分程度の金額に抑えることが望ましく,月80時間分の残業代を超えるような金額にすべきではありません。
 固定残業代の比率が高い会社は,賃金単価が低いことが多く(極端な場合は時給1000円を下回り,賞与を考慮しないとパート・アルバイトよりも時給単価が低いことさえあります。),優秀な社員が集まりにくく,社員の離職率も高くなりがちで,有能な社員ほど,すぐに退職してしまう傾向にあります。
 固定残業代の比率が高い会社は,体裁が悪いせいか,採用募集広告では,固定残業代の比率が高いことを隠そうとする傾向にあります。
 その結果,入社した社員は騙されたような気分になり,すぐに退職したり,トラブルに発展したりすることになりがちです。
 採用募集広告に明示できないような給与体系は採用しないようにする必要があります。

弁護士 藤田 進太郎

月給制の正社員に関する残業代(割増賃金)の計算方法

2012-01-27 | 日記
Q77 労基法上,月給制の正社員に関する残業代(割増賃金)の金額は,どのように計算すればいいのですか?

 労基法上,月給制の正社員の通常の労働時間の賃金は,「(月給額-除外賃金)÷一年間における一月平均所定労働時間数」で算定されることになるのが通常です(労基則19条1項4号)。
 例えば,月給24万円で除外賃金がなく,一年間における一月平均所定労働時間数が160時間であれば,24万円÷160時間=1500円/時が通常の労働時間の賃金となります。
 労基法上の割増率は,法定時間外労働については通常の労働時間の賃金の25%増し(中小企業を除き60時間超の場合は50%増し),法定休日労働については通常の労働時間の賃金の35%増し,深夜労働については通常の労働時間の賃金の25%増しですので,上記の例では,原則として,
法定時間外労働については1500円/時×1.25=1875円/時
法定休日労働については1500円/時×1.35=2025円/時
法定時間外の深夜労働については1500円/時×1.5=2250円/時
法定休日の深夜労働については1500円/時×1.6=2400円/時
で計算した残業代(割増賃金)を支払わなければならないことになります。

弁護士 藤田 進太郎

就業時間外に行われる研修,講習,自主活動等の時間と残業代支払の要否

2012-01-25 | 日記
Q70 就業時間外に行われる研修,講習,自主活動等の時間について,残業代を支払う必要があるかどうかは,どのような基準で判断すればいいのですか?

 まず,
① 就業規則や労働契約において,就業時間外に行われる研修,講習,自主活動等の時間について,残業代を支払う旨定められているなどして,残業代を支払うことが労働契約の内容となっている場合
には,当然,残業代を支払う必要があります。
 このような定めがない場合であっても,
② 就業時間外に行われる研修,講習,自主活動等の時間が,労基法上の労働時間に該当する場合
には,1日8時間(週40時間)を超える部分の労働時間については,残業代を支払う必要があります(労基法37条)。
 問題は,研修等の時間が労基法上の労働時間に該当するかどうかですが,その判断基準については,「労働者が使用者の実施する教育,研修に参加する時間を労働時間とみるべきか否かについては,就業規則上の制裁等の不利益な取扱いの有無や,教育・研修の内容と業務との関連性が強く,それに参加しないことにより本人の業務に具体的な支障が生ずるか否か等の観点から,実質的にみて出席の強制があるか否かにより判断すべきものである。」(厚生労働省労働基準局編集の『平成22年版 労働基準法 上』)と考えるのが一般的です。

弁護士 藤田 進太郎

四谷麹町法律事務所 トップページ 改訂 平成24年1月25日(水)

2012-01-25 | 日記
四谷麹町法律事務所ウェブサイトのトップページを若干,改訂しました。
また,事務所映像をクリックすると,事務所の地図が表示されるようにもなっています。

弁護士 藤田 進太郎


 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎東京)は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っており,使用者・経営者側専門の弁護士として,労働問題の予防解決や経営者のための労働問題相談に力を入れています。
 労働審判を申し立てられたり,団体交渉を申し入れられたりするなど,労働問題でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎(東京)にご相談下さい。
 
 近年,労働問題が急増し,弁護士に対する相談件数が増加しています。
 しかし,労働問題に関するリスク管理が不十分な会社がまだまだ多く,無防備な状態のまま,労働者から労働審判を申し立てられたり,労働者が加入した合同労組から団体交渉を申し入れられたりして多額の解決金の支払を余儀なくされて初めて弁護士相談し,対応を検討し始める会社経営者が多いというのが実情です。
 会社経営者が,労働問題に対して適切に対応することができなかったために大きなダメージを被り,社員に裏切られたとか,詐欺にあったようなものだとか,社員にも裁判官にも経営者の苦労を分かってもらえないだとか,法律が社会の実情に合っていないだとか嘆いてがっかりしている姿を見ていると,本当に残念な気持ちになります。
 せっかく一生懸命育ててきた会社なのですから,労働問題で大きなダメージを被って取り返しがつかない結果になる前にしっかり対応しておかなければなりません。

 弁護士藤田進太郎(東京)は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っており,経営者側専門弁護士の立場から,労働問題の予防解決や労働問題の相談に特に力を入れています。
労働審判団体交渉対応等のため,労働問題の予防解決労働問題相談を中心業務としている経営者側弁護士をお探しでしたら,弁護士藤田進太郎(東京)にご相談下さい。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

ダラダラ残業の一番の問題点

2012-01-24 | 日記
Q68 ダラダラ残業の一番の問題点は何だと思いますか?

 ダラダラ残業については,割増賃金(残業代)請求の場面で問題となることが多いことから,割増賃金(残業代)請求の問題を中心にコメントしてきましたが,個人的には,割増賃金(残業代)の問題よりも,長時間労働による過労死等の問題の方が重要な問題と考えています。
 割増賃金(残業代)は所詮,お金の問題に過ぎませんが,過労死等はお金では取り返しがつかない問題です。
 くれぐれも,社員の健康を損ねないよう,十分な配慮をするようにして下さい。
 長時間,元気に働いている経営者の方々もたくさんいらっしゃることと思いますが,自分ができることだからといって,他の人もできると考えるべきではありません。
 精神的に弱い方,体力のない方も多く,元気な方と同じように働いたのでは,鬱病になったり,身体を壊したりしてしまいます。
 一般の社員の残業時間については,休日労働時間込みで,1か月45時間程度までにとどめておくのが適切なのではないかと考えています。
 長時間労働が避けられない場合であっても,せめて,残業時間を休日労働時間込みで,1か月80時間未満にとどめるようにすることを,強くお勧めします。

弁護士 藤田 進太郎

労働時間を記載した社員の日記,手帳へのメモ等によって,残業代の請求が認められることがあるか

2012-01-23 | 日記
Q66 労働時間を記載した社員の日記,手帳へのメモ等によって,残業代の請求が認められることがありますか?

 使用者が労働時間管理を怠っている場合,残業代(割増賃金)の請求をしようとする社員側としては残業時間の正確な立証が困難となりますが,使用者には労働時間の管理を適切に行う責務があること(平成13年4月6日基発339号「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」)もあり,裁判所は,直ちに時間外労働・休日労働の立証がなされていないとはせず,社員の日記,手帳へのメモ等の証拠から,時間外労働・休日労働時間を推認することができるかどうかが審理されるのが通常です。
 使用者としては,タイムカードのない会社で,入社直後から出社時刻と退社時刻の記録をメモ等に残してきた(と労働者が主張している)ケースも多くなっている現状(≒退職したら残業代を請求してやろうと考えながら,在職中は黙ったまま仕事を続け,残業している労働者が増えている現状)を,使用者はよく認識しておく必要があります。
 こういった社員は,在職している限りは残業代を請求してくる可能性が低いのですが,何らかの問題を起こして退職させられそうになったり,経営者や上司に嫌われたと感じて傷ついたりした途端,残業代の請求をしてくることになります。

 社員の日記,手帳へのメモ等は,実際の労働時間に合致した内容で記載されているとは限らず,後になってまとめて適当に作成された可能性もあり,残業代請求をする意図で労働時間を記載したとなると,いきおい労働時間を水増しして記載する動機が働くなど,それだけでは証明力が高いとはいえませんので,社員が作成したメモ等だけから労働時間を推認することができる事例はそれ程多くありません。
 しかし,社員の日記,手帳へのメモ等であっても,その記載内容が詳細なものだったり,全部又は一部が客観的証拠に合致していて矛盾点がないような場合は,そのメモ等により労働時間について一応の立証がなされていると評価できる場合もあります。
 これに対して使用者側が有効かつ適切な反証ができなければ,メモ等によって労働時間が推認され,残業代の支払を命じられるリスクが生じることになります。
 労働時間の管理を怠っていた使用者が,1年も2年も前の社員の時間外労働・休日労働時間について,有効かつ適切な反論をすることは困難なことが多く,手間の割には反論が功を奏しないことも珍しくありません。

 なお,労働者の手帳等の記載の信用性が不十分な事案であっても,民訴法248条の精神に鑑み,割合的に時間外手当を認容することも許されるとして,労働者請求の時間外手当の額の6割を認容するのを相当とした裁判例もあります。
 どのようなイメージかというと,250万円の時間外手当が未払となっていると主張して労働者が訴訟を提起したのに対し,労働者の手帳等の記載の信用性が十分ではないとしつつ,裁判官が諸事情を検討し,150万円の時間外手当の支払を命じたというようなイメージです。

弁護士 藤田 進太郎

精神疾患を発症して欠勤や休職を繰り返す。

2012-01-21 | 日記
Q12 精神疾患を発症して欠勤や休職を繰り返す。

 精神疾患を発症して欠勤を繰り返す社員の対応としては,まずは専門医に受診させて,専門医の助言を求め,専門医の助言を参考にして,対応を検討することが重要です。
 本人が提出した主治医の診断書の内容に疑問があるような場合であっても,専門医の診断を軽視することはできませせん。
 主治医への面談(本人の同意が必要です。)を求めて診断内容の信用性をチェックしたり,精神疾患に関し専門的知識経験を有する産業医等への診断を求めたりして,病状を確認することになります。

 業務により精神障害が悪化することがないよう配慮する必要もあります。
 精神疾患を発症していることを知りながらそのまま勤務を継続させ,その結果,業務に起因して症状を悪化させた場合は,労災となり,会社が安全配慮義務違反を問われて損害賠償義務を負うことになりかねません。
 社員が精神疾患の罹患していることが分かったら,それに応じた対応が必要であり,本人が就労を希望していたとしても,漫然と放置してはいけません。

 所定労働時間内の通常業務であれば問題なく行える程度の症状である場合は,時間外労働や出張等,負担の重い業務を免除する等して対処すれば足りるでしょう。
 しかし,長期間にわたって所定労働時間の勤務さえできない場合は,原則として,休職制度がある場合は休職を検討し,休職制度がない場合は普通解雇を検討せざるを得ません。

 私傷病に関する休職制度は,普通解雇を猶予する趣旨の制度であり,必ずしも休職制度を設けて就業規則に規定しなければならないわけではありません。
 休職制度を設けずに,私傷病に罹患して働けなくなった社員にはいったん退職してもらい,私傷病が治癒したら再就職を認めるといった運用も考えられます。

 精神障害を発症した社員が出社と欠勤を繰り返したような場合であっても休職させることができるように,例えば,「精神の疾患により,労務の提供が困難なとき。」等を休職事由として,一定期間の欠勤を休職の要件から外すか,一定期間の欠勤を休職の要件としつつ,「欠勤の中断期間が30日未満の場合は,前後の欠勤期間を通算し,連続しているものとみなす。」等の通算規定を置くかしておくべきでしょう。
 再度,長期間の欠勤がなければ,休職命令を出せないような規定を置くべきではありません。

 休職制度があるにもかかわらずいきなり解雇するのは,通常は解雇が無効と判断されるリスクが高いので,お勧めできません。
 解雇が有効と認められるのは,休職させても回復の見込みが客観的に乏しい場合に限られます。
 医学的根拠もなく,主観的に休職させても回復しないだろうと思い込み,精神疾患に罹患した社員を休職させずに解雇した場合,解雇が無効と判断されるリスクが高くなります。

 本人が休職を希望している場合は,休職申請書を提出させてから,休職命令を出すことになります。
 休職申請書を提出させることにより,休職命令の有効性が争われるリスクが低くなります。

 「合意」により休職させる場合は,休職期間(どれだけの期間が経過すれば退職扱いになるのか。)についても合意しておく必要があります。
 通常,就業規則に規定されている休職期間は,休職「命令」による休職に関する規定であり,合意休職に関する規定ではありません。
 原則どおり,本人から休職申請書を提出させた上で,休職「命令」を出すのが,簡明なのではないでしょうか。

 精神疾患が治癒しないまま休職期間が満了すると退職という重大な法的効果が発生することになりますので,休職命令発令時に,何年の何月何日までに精神疾患が治癒せず,労務提供ができなければ退職扱いとなるのか通知するとともに,休職期間満了前の時期にも,再度,休職期間満了日や精神疾患が治癒しないまま休職期間が満了すれば退職扱いとなる旨通知すべきでしょう。

 休職と復職を繰り返す社員に対する対策としては,復職後間もない時期(復職後6か月以内等)に休職した場合には,休職期間を通算する(休職期間を残存期間とする)等の規定を置くことが考えられます。
 そのような規定がない場合は,普通解雇を検討せざるを得ませんが,有効性が争われるリスクが高くなります。

 復職の可否は,
① 休職期間満了時までに
② 休職前の職務を通常どおりに行えるか否か
により判断されるのが原則ですが,例外的な事案もあり,判断が難しいことがあります。

 ①の例外ですが,休職期間満了時までに精神疾患が治癒せず,休職期間満了時には不完全な労務提供しかできなかったとしても,間もない時期に完全な労務提供ができる程度に精神疾患が改善する可能性がある場合は,休職期間満了により退職扱いとするか否かについて慎重な判断が必要となります(エール・フランス事件東京地裁昭和59年1月27日判決)。

 ②の例外ですが,職種や業務内容を特定せずに労働契約が締結されている場合は,現に就業を命じた業務について労務の提供が十分にできないとしても,当該社員が配置される現実的可能性があると認められる他の業務について労務の提供ができ,かつ,本人がその労務の提供を申し出ているのであれば,債務の本旨に従った履行の提供があると評価されることになります(片山組事件最高裁第一小法廷平成10年4月9日判決)。
 労務提供があると評価された場合,欠勤扱いにしたり,休職させたり,休職期間満了により退職扱いにしたり,解雇したりしたとしても,これらの扱いは無効となり,会社は賃金の支払義務を免れません。

 休職制度の運用は,公平・平等に行うことが重要です。
 勤続年数等により異なる扱いをする場合は,予め就業規則に規定しておく必要があります。
 休職命令の発令,休職期間の延長等に関し,同じような立場にある社員の扱いを異にした場合,紛争になりやすく,敗訴リスクも高まる傾向にあります。

弁護士 藤田 進太郎

タイムカードに打刻された出社時刻・退社時刻と労働時間の開始時刻・終了時刻との関係

2012-01-20 | 日記
Q65 タイムカードに打刻された出社時刻・退社時刻と労働時間の開始時刻・終了時刻との関係を教えて下さい。

 タイムカードに出社時刻,退社時刻を打刻させている場合であっても,必ずしも出社時刻=労働時間の開始時刻,退社時刻=労働時間の終了時刻とは限りませんので,タイムカードに打刻された時刻が直ちに労働時間の開始時刻や終了時刻になるわけではありません。
 しかし,実際には,出社時刻≒労働時間の開始時刻,退社時刻≒労働時間の終了時刻と事実上推定され,使用者が,出社時刻≠労働時間の開始時刻,退社時刻≠労働時間の終了時刻であること,休憩時間以外にも労働していない時間があることなどを具体的に主張立証できない限り,
労働時間=タイムカードに打刻された出社時刻から退社時刻までの時間-休憩時間
と認定されるリスクが高くなっています。
 したがって,タイムカードに打刻された出社時刻・退社時刻と異なる労働時間の開始時刻・終了時刻を使用者が主張したいのであれば,その立証のための客観的な証拠を残しておく必要がありますが,通常は困難を伴います。
 タイムカードどおりの労働時間(労働時間の開始時刻・終了時刻)を認めることを前提として賃金額を設定し,タイムカードの管理,ダラダラ残業の防止・指導に力を入れた方が現実的なのかもしれません。

弁護士 藤田 進太郎

所長ご挨拶ページ改訂 平成24年1月20日(金)

2012-01-20 | 日記
所長ご挨拶ページを改訂しました。

弁護士 藤田 進太郎


所長ご挨拶

 あなたは労使紛争の当事者になったことがありますか?
 労使紛争の当事者になったことがあるとすれば,それがいかに大きな苦痛となり得るかが実感を持って理解できることと思います。

 会社の売上が低迷する中,社長が一生懸命頑張って社員の給料を支払うためのお金を確保しても,その大変さを理解できる社員は多くありません。
 会社はお金を持っていて,働きさえしていれば,給料日には給料が自分の預金口座に振り込まれて預金が増えるのが当然という感覚の社員が多いのではないでしょうか。
 私自身,勤務弁護士の時は給料日には必ず給料が私の預金口座に振り込まれて預金残高が増えていたものが,自分で事務所を開業してみると,給料日には社員に給料を支払わなければならず,私の事業用預金口座の残高が減るのを見て,経営者にとって給料日はお金が減る日なのだということを,初めて実感を持って理解することができました。
 また,個人事業主や中小企業のオーナー社長は,事業にかかる経費と比較して売上が不足すれば,何百時間働いても,事実上,1円の収入にもならないということになりかねず,それどころか,経営者の個人財産からお金を出して,不足する金額を穴埋めしなければならないこともあるのですから,会社の業績が悪化した結果,収入が減ることはあっても,個人資産を事業継続のために持ち出すことのない一般社員とでは,随分,負担の重さが違うのだということも,よく理解できました。
 このような話は,理屈は簡単で,当たり前のことなのですが,誰でも実感を持って理解できるかというと,なかなか難しいものがあります。
 会社勤めをしている友達に,給料日には会社の預金残高が減るという話をしてみたところ,「そのとおりかもしれないけど,その分,会社はお客さんからお金が入ってきて儲かっているんだから。」という答えが返ってきたことがあります。
 確かに,彼の言うとおり「お金が入ってきて儲かっている」のであればいいのですが,経営者にとっては,実際にお金が入ってくるかどうかが問題なわけです。
 今,売上が上がっていても,将来,どうなるかは誰にも分かりませんし,下手をすると個人資産を事業につぎ込まなければならなくなることもあるのですから,経営者はいつまで経っても気を緩めることはできません。
 実は,私も,勤務弁護士のときは,理屈では雇う側の大変さを理解していても,その理解には共感が伴っていませんでした。
 所長は実際に仕事をこなしている自分よりたくさんの収入があってうらやましいというくらいの感覚だったというのが正直なところで,雇われている人たちのために頑張ってくれてありがとうございます,などと本気で思ったことがあるかというと,一度もありませんでした。
 自分が経営者の立場になってみて初めて,経営者の大変さを,実感を持って理解することができるようになったのです。

 立場が違えば,感じ方・考え方も違ってきます。
 労使紛争でお互いが感情的になりがちなのは,自分の大変さを相手が理解してくれないことに対する苛立ちのようなものが根底にあるからではないでしょうか。
 労使とも,自分ばかりが不当に我慢させられている,譲歩させられていると感じているわけです。
 このような苛立ちを緩和し,冷静に話し合うことができるようにするためには,労使双方,相手のことを思いやる想像力が必要だと思います。
 社員の置かれた状況を鮮明に想像することができ,社員を思いやることのできる優れた会社であれば,会社を思いやる想像力を持った優れた社員との間で労使紛争が生じるリスクは極めて低くなることでしょう。
 仮に,一部の問題社員との間で労使紛争が生じたとしても,大部分の優れた社員は会社の味方になってくれるでしょうし,裁判に勝てる可能性も高くなります。

 私は,あなたの会社に,労使双方が相手の立場に対して思いやりの気持ちを持ち,強い信頼関係で結ばれている会社になって欲しいと考えています。
 そのためのお手伝いをさせていただけるのであれば,あなたの会社のために全力を尽くすことをお約束します。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

経歴・所属等
•東京大学法学部卒業
•日本弁護士連合会労働法制委員会委員・事務局員・労働審判PTメンバー
•第一東京弁護士会労働法制委員会委員・労働契約法制部会副部会長
•東京三会労働訴訟等協議会委員
•経営法曹会議会員
•全国倒産処理弁護士ネットワーク会員


主な講師担当セミナー講演著作
問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,名古屋会場,平成24年1月20日)
問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,大阪会場,平成23年10月31日)
日韓弁護士交流会・国際シンポジウム『日本と韓国における非正規雇用の実態と法的問題』日本側パネリスト(韓国外国語大学法学専門大学院・ソウル弁護士協会コミュニティ主催,平成23年9月23日)
問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成23年9月16日)
『マクドの失敗を活かせ!新聞販売店,労使トラブル新時代の対策』(京都新聞販売連合会京都府滋賀県支部主催,パートナーシステム,平成23年9月13日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成23年9月6日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,東京会場,平成23年8月30日)
『社員教育の労働時間管理Q&A』(みずほ総合研究所『BUSINESS TOPICS』2011/5)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,平成23年4月14日)
『改訂版 最新実務労働災害』(共著,三協法規出版)
労働審判を申し立てられた場合の具体的対処方法』(企業研究会,平成22年9月8日)
『もし,自分が気仙沼で教師をしていたら,子供達に何を伝えたいか?』(気仙沼ロータリークラブ創立50周年記念式典,平成22年6月13日)
『文書提出等をめぐる判例の分析と展開』(共著,経済法令研究会)
『明日から使える労働法実務講座』(共同講演,第一東京弁護士会若手会員スキルアップ研修,平成21年11月20日)
『採用時の法律知識』(第373回証券懇話会月例会,平成21年10月27日)
『他人事ではないマクドナルド判決 経営者が知っておくべき労務,雇用の急所』(横浜南法人会経営研修会,平成21年2月24日)
『今,気をつけたい 中小企業の法律問題』(東京商工会議所練馬支部,平成21年3月13日)
『労働法基礎講座』(ニッキン)
『管理職のための労働契約法労働基準法の実務』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,清文社)

四谷麹町法律事務所 サービス内容

2012-01-20 | 日記
サービス内容

1 労働問題の予防解決,労働問題の相談 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っており,経営者側専門弁護士の立場から,
① 解雇に関する紛争の予防・解決
② 残業代に関する紛争の予防・解決
③ 問題社員の対応④ 労働審判・労働訴訟の対応
⑤ 団体交渉・労働組合の対応⑥ 長時間労働,うつ病,セクハラ,パワハラ,石綿吸引,じん肺等に関する損害賠償請求の対応
等の労働問題の予防解決や労働問題の相談に特に力を入れています。
労働問題の予防解決労働問題の相談を中心業務としている経営者側専門弁護士をお探しでしたら,弁護士藤田進太郎にご相談下さい。

2 企業法務・訴訟対応 顧問先企業の法務全般・訴訟対応を行っています。

3 企業再建・倒産処理 顧問先企業の再建を支援しています。
 また,倒産処理,破産管財業務等にも従事しています。

4 その他
 経営者・人事労務担当者向けに,労働問題に関するセミナー,執筆などを行っています。
 顧問先企業関係者からの様々な相談に応じています。 

弁護士 藤田 進太郎