弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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弁護士 藤田進太郎 講演・著作等

2014-01-31 | 日記

講演・著作等

『労働時間管理Q&A100問』(共著,三協法規出版)
『社会保険労務士の紛争解決手続代理業務を行うのに必要な学識及び実務能力に関する研修』ゼミナール講師(東京,平成25年11月15日・16日・23日)
『基礎研修 初めての労働審判』(第一東京弁護士会,平成25年11月18日)
『解雇・残業代トラブルの防ぎ方と対応法』(賃金管理研究所,第238回賃金管理研究会,平成25年11月5日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成25年10月4日)
『労働問題~問題社員の対処法Q&A~」(神奈川県司法書士会平成25年度第6回会員研修会,平成25年9月27日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成25年9月25日)
『飲食店経営者のための労働問題相談セミナー』(平成25年9月24日)
『中小企業における労働問題の実務 ~メンタルヘルスの視点を踏まえて~』(東京司法書士会平成25年度企業法務研修会第1回,平成25年9月4日)
『パワハラと業務命令の境界線』(第411回証券懇話会月例会,平成25年7月26日)
『あんしんビジネス相談所 トラブルの多い社員を解雇することはできる?』(あんしんLife vol.494)
『会社経営者のための労働問題相談サイト』開設(平成25年7月1日)
『改正高年齢者雇用安定法の実務上の留意点』(労政時報第3844号)
『日本航空事件・東京地裁平成23年10月31日判決』(経営法曹第176号)
『実務コンメンタール 労働基準法・労働契約法』(編集協力者,労務行政研究所編)
『改正労働契約法の詳解』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,労働調査会)
『中小企業における労働問題の実務』(東京司法書士会,企業法務研修会,平成25年1月21日)
『Q&A職場のメンタルヘルス -企業の責任と留意点-』(共著,三協法規出版)
『労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応』(全国青年社会保険労務士連絡協議会,特定非営利活動法人個別労使紛争処理センター,平成24年12月7日)
『解雇・退職の法律実務』(新社会システム総合研究所,東京会場,平成24年11月20日)
『社会保険労務士の紛争解決手続代理業務を行うのに必要な学識及び実務能力に関する研修』ゼミナール講師(東京,平成24年11月9日・10日・17日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成24年10月4日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成24年9月28日)
『問題社員への法的対応の実務』(経営調査会,平成24年9月26日)
『日本航空事件東京地裁平成23年10月31日判決』(経営法曹会議,判例研究会,平成24年7月14日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,札幌会場,平成24年6月26日)
『有期労働法制が実務に与える影響』(『労働経済春秋』2012|Vol.7,労働調査会)
『現代型問題社員を部下に持った場合の対処法~ケーススタディとQ&A』(長野県経営者協会,第50期長期管理者研修講座,平成24年6月22日)
『労働時間に関する法規制と適正な労働時間管理』(第一東京弁護士会・春期法律実務研修専門講座,平成24年5月11日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,福岡会場,平成24年4月17日)
『高年齢者雇用安定法と企業の対応』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,労働調査会)
『実例 労働審判(第12回) 社会保険料に関する調停条項』(中央労働時報第1143号,2012年3月号)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成24年3月8日)
『労使の信頼を高めて 労使紛争の当事者にならないためのセミナー』(商工会議所中野支部,平成24年3月7日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成24年2月29日)
『健康診断実施と事後措置にまつわる法的問題と企業の対応』(『ビジネスガイド』2012年3月号№744)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,名古屋会場,平成24年1月20日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,大阪会場,平成23年10月31日)
日韓弁護士交流会・国際シンポジウム『日本と韓国における非正規雇用の実態と法的問題』日本側パネリスト(韓国外国語大学法学専門大学院・ソウル弁護士協会コミュニティ主催,平成23年9月23日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成23年9月16日)
『マクドの失敗を活かせ!新聞販売店,労使トラブル新時代の対策』(京都新聞販売連合会京都府滋賀県支部主催,パートナーシステム,平成23年9月13日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成23年9月6日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,東京会場,平成23年8月30日)
『社員教育の労働時間管理Q&A』(みずほ総合研究所『BUSINESS TOPICS』2011/5)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成23年4月14日)
『改訂版 最新実務労働災害』(共著,三協法規出版)
『労働審判を申し立てられた場合の具体的対処方法』(企業研究会,東京会場,平成22年9月8日)
『もし,自分が気仙沼で教師をしていたら,子供達に何を伝えたいか?』(気仙沼ロータリークラブ創立50周年記念式典,平成22年6月13日)
『文書提出等をめぐる判例の分析と展開』(共著,経済法令研究会)
『明日から使える労働法実務講座』(共同講演,第一東京弁護士会若手会員スキルアップ研修,平成21年11月20日)
『採用時の法律知識』(第373回証券懇話会月例会,平成21年10月27日)
『他人事ではないマクドナルド判決 経営者が知っておくべき労務,雇用の急所』(横浜南法人会経営研修会,平成21年2月24日)
『今,気をつけたい 中小企業の法律問題』(東京商工会議所練馬支部,平成21年3月13日)
『労働法基礎講座』(ニッキン)
『管理職のための労働契約法労働基準法の実務』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,清文社)


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代表弁護士 藤田進太郎|弁護士法人四谷麹町法律事務所

2014-01-31 | 日記

代表弁護士

経歴・所属等

profile_fujita代表弁護士 藤田進太郎

東京大学法学部卒業
第一東京弁護士会会員
日本弁護士連合会労働法制委員会委員・事務局員
労働審判PTメンバー
第一東京弁護士会労働法制委員会委員・労働契約法部会副部会長
東京三会労働訴訟等協議会委員
経営法曹会議会員
全国倒産処理弁護士ネットワーク会員

講演・著作等

『労働時間管理Q&A100問』(共著,三協法規出版)
『社会保険労務士の紛争解決手続代理業務を行うのに必要な学識及び実務能力に関する研修』ゼミナール講師(東京,平成25年11月15日・16日・23日)
『基礎研修 初めての労働審判』(第一東京弁護士会,平成25年11月18日)
『解雇・残業代トラブルの防ぎ方と対応法』(賃金管理研究所,第238回賃金管理研究会,平成25年11月5日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成25年10月4日)
『労働問題~問題社員の対処法Q&A~」(神奈川県司法書士会平成25年度第6回会員研修会,平成25年9月27日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成25年9月25日)
『飲食店経営者のための労働問題相談セミナー』(平成25年9月24日)
『中小企業における労働問題の実務 ~メンタルヘルスの視点を踏まえて~』(東京司法書士会平成25年度企業法務研修会第1回,平成25年9月4日)
『パワハラと業務命令の境界線』(第411回証券懇話会月例会,平成25年7月26日)
『あんしんビジネス相談所 トラブルの多い社員を解雇することはできる?』(あんしんLife vol.494)
『会社経営者のための労働問題相談サイト』開設(平成25年7月1日)
『改正高年齢者雇用安定法の実務上の留意点』(労政時報第3844号)
『日本航空事件・東京地裁平成23年10月31日判決』(経営法曹第176号)
『実務コンメンタール 労働基準法・労働契約法』(編集協力者,労務行政研究所編)
『改正労働契約法の詳解』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,労働調査会)
『中小企業における労働問題の実務』(東京司法書士会,企業法務研修会,平成25年1月21日)
『Q&A職場のメンタルヘルス -企業の責任と留意点-』(共著,三協法規出版)
『労務管理における労働法上のグレーゾーンとその対応』(全国青年社会保険労務士連絡協議会,特定非営利活動法人個別労使紛争処理センター,平成24年12月7日)
『解雇・退職の法律実務』(新社会システム総合研究所,東京会場,平成24年11月20日)
『社会保険労務士の紛争解決手続代理業務を行うのに必要な学識及び実務能力に関する研修』ゼミナール講師(東京,平成24年11月9日・10日・17日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成24年10月4日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成24年9月28日)
『問題社員への法的対応の実務』(経営調査会,平成24年9月26日)
『日本航空事件東京地裁平成23年10月31日判決』(経営法曹会議,判例研究会,平成24年7月14日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,札幌会場,平成24年6月26日)
『有期労働法制が実務に与える影響』(『労働経済春秋』2012|Vol.7,労働調査会)
『現代型問題社員を部下に持った場合の対処法~ケーススタディとQ&A』(長野県経営者協会,第50期長期管理者研修講座,平成24年6月22日)
『労働時間に関する法規制と適正な労働時間管理』(第一東京弁護士会・春期法律実務研修専門講座,平成24年5月11日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,福岡会場,平成24年4月17日)
『高年齢者雇用安定法と企業の対応』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,労働調査会)
『実例 労働審判(第12回) 社会保険料に関する調停条項』(中央労働時報第1143号,2012年3月号)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成24年3月8日)
『労使の信頼を高めて 労使紛争の当事者にならないためのセミナー』(商工会議所中野支部,平成24年3月7日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成24年2月29日)
『健康診断実施と事後措置にまつわる法的問題と企業の対応』(『ビジネスガイド』2012年3月号№744)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,名古屋会場,平成24年1月20日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,大阪会場,平成23年10月31日)
日韓弁護士交流会・国際シンポジウム『日本と韓国における非正規雇用の実態と法的問題』日本側パネリスト(韓国外国語大学法学専門大学院・ソウル弁護士協会コミュニティ主催,平成23年9月23日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,大阪会場,平成23年9月16日)
『マクドの失敗を活かせ!新聞販売店,労使トラブル新時代の対策』(京都新聞販売連合会京都府滋賀県支部主催,パートナーシステム,平成23年9月13日)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成23年9月6日)
『問題社員に対する法的対応の実務』(新社会システム総合研究所,東京会場,平成23年8月30日)
『社員教育の労働時間管理Q&A』(みずほ総合研究所『BUSINESS TOPICS』2011/5)
『問題社員対応の実務』(企業研究会,東京会場,平成23年4月14日)
『改訂版 最新実務労働災害』(共著,三協法規出版)
『労働審判を申し立てられた場合の具体的対処方法』(企業研究会,東京会場,平成22年9月8日)
『もし,自分が気仙沼で教師をしていたら,子供達に何を伝えたいか?』(気仙沼ロータリークラブ創立50周年記念式典,平成22年6月13日)
『文書提出等をめぐる判例の分析と展開』(共著,経済法令研究会)
『明日から使える労働法実務講座』(共同講演,第一東京弁護士会若手会員スキルアップ研修,平成21年11月20日)
『採用時の法律知識』(第373回証券懇話会月例会,平成21年10月27日)
『他人事ではないマクドナルド判決 経営者が知っておくべき労務,雇用の急所』(横浜南法人会経営研修会,平成21年2月24日)
『今,気をつけたい 中小企業の法律問題』(東京商工会議所練馬支部,平成21年3月13日)
『労働法基礎講座』(ニッキン)
『管理職のための労働契約法労働基準法の実務』(共著,第一東京弁護士会労働法制委員会編,清文社)


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労働契約の終了原因における解雇の位置づけ

2014-01-31 | 日記

労働契約の終了原因における解雇の位置づけを教えて下さい。

 主な労働契約の終了原因としては,以下のようなものが考えられます。
 解雇は,使用者による労働契約の一方的な解除であるところにその特徴があります。
 ① 解雇(使用者による労働契約の一方的な解除)
 ② 辞職(労働者による労働契約の一方的な解除)
 ③ 合意退職(使用者と労働者の合意による労働契約の解除)
 ④ 休職期間満了による退職
 ⑤ 有期労働契約の契約期間満了による労働契約の終了(雇止め)
 ⑥ 定年退職
 ⑦ 死亡

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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残業代(割増賃金)込みで月給30万円とか,日当1万6000円とする合意は有効ですか?

2014-01-31 | 日記

残業代(割増賃金)込みで月給30万円とか,日当1万6000円とする合意は有効ですか?

 残業代の支払があったと認められるためには,残業代にあたる部分(割増部分)と通常の賃金にあたる部分とを判別することができる必要があります。
 残業代込みで月給30万円とか,日当1万6000円などする合意は,何時間残業しても残業代を支払わないと言っているに等しいため,労基法37条に違反し無効(労基法13条)となり,労基法37条所定の残業代の支払を余儀なくされるリスクがあります。
 残業代の支払があったとはいえないため,月給30万円全額,日当1万6000円全額を基礎賃金として残業代が計算されることになります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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高額の基本給・手当・賞与と残業代(割増賃金)の不払い

2014-01-26 | 日記

当社は,同業他社よりも高額の基本給・手当・賞与を社員に支給し,毎年,昇給もさせるなどして社員の残業に対して十分に報いていますから,残業代(割増賃金)を別途支払う必要はないですよね?

 それなりに高額の基本給・手当・賞与を社員に支給し,昇給までさせているにもかかわらず,残業代割増賃金)は全く支給しない会社が散見されます。
 社員の努力に対しては,基本給・手当・賞与の金額で応えているのだから,それで十分と,経営者が考えているからだと思われます。
 しかし,高額の基本給・手当・賞与の支給は残業代の支払の代わりにはなりませんし,毎月の基本給等の金額が上がれば残業代の単価が上がることになり,かえって,高額の残業代の請求を受けるリスクが高くなります。
 賃金総額に対する月例給与の比率を下げ,賞与の比率を上げることは,残業代算定の基礎賃金を不必要に上げないという意味では残業代請求対策になりますが,高額の賞与の支給それ自体を残業代の支払と考えることはできません。
 労基法37条を遵守せずに,こちらの言い分をいろいろ言ってみたところで,裁判所には単なる言い訳にしか聞こえませんから,こちらにとって厳しい判決になることが予想されます。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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年俸制の社員と残業代(割増賃金)

2014-01-25 | 日記

年俸制の社員に残業代(割増賃金)を支払う必要はありますか?

 労基法上,年俸制社員について残業代割増賃金)の支払義務を免除する規定はありません。
 使用者が,社員との間で,週40時間(特例措置対象事業場では週44時間),1日8時間を超えて労働した場合であっても残業代を支払わない旨の合意をしていたとしても,労基法の強行的直律的効力(労基法13条)により当該合意は無効となり,法定時間外労働時間に対応した労基法37条所定の残業代(割増賃金)の支払義務を負うことになることになりますので,労働契約又は就業規則で,年俸制社員については残業代を支払わない旨規定していたとしても,その支払義務を免れることはできません。
 したがって,年俸制の社員についても残業代(割増賃金)を支払う必要があることを前提として,対策を検討する必要があります。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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時間外・深夜・休日に労働させた場合でも残業代(割増賃金)を支給しない旨の合意は有効ですか?

2014-01-24 | 日記

時間外・深夜・休日に労働させた場合でも残業代(割増賃金)を支給しない旨の合意は有効ですか?

 使用者が,社員との間で,週40時間(特例措置対象事業場では週44時間),1日8時間を超えて労働させたり,法定休日に労働させた場合であっても残業代割増賃金)を支払わない旨の合意をしていたとしても,労基法の強行的直律的効力(労基法13条)により当該合意は無効となり,法定時間外労働時間に対応した労基法37条所定の残業代(割増賃金)の支払義務を負うことになります。
 したがって,週40時間(特例措置対象事業場では週44時間),1日8時間を超えて労働させたり,法定休日に労働させた場合でも残業代を支給しないとすることはできず(口約束はもちろん,労働者本人のハンコを取っていてもダメです。),残業代を支払わない合意があるから支払わなくても大丈夫だと思って残業代を支払わないでいると,残業代を支払わないことにいったんは納得していた社員が,解雇されたことなどを契機に気が変わって残業代を請求してきたような場合には,使用者は未払となっていた残業代を支払わなければならないことになります。

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弁護士 藤田進太郎


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社宅に家財道具等を残したまま行方不明になる。

2014-01-24 | 日記

社宅に家財道具等を残したまま行方不明になる。

1 社員の行方を捜す努力
 まずは,電話,電子メール,社宅訪問,家族・身元保証人等への問い合わせ等により,社員の行方を捜す努力をして下さい。
 警察に行方不明者届を提出する場合は,親族が提出するのが通常と思われますが,勤務先からの行方不明者届も受理される扱いとなっていることも憶えておくとよいでしょう。
 それなりの期間努力しても社員の行方が分からないときは,退職扱いにし,社宅から出て行ってもらわざるを得ませんが,
 ① 労働契約を終了させる方法
 ② 社宅利用契約を終了させる方法
 ③ 社宅の明渡し方法
等が問題となります。

2 労働契約を終了させる方法
(1) 合意退職・辞職
 行方不明になった社員が,退職の挨拶をしてからいなくなった場合や,退職する旨の書き置きを残しているような場合であれば,合意退職の申込ないしは辞職の意思表示があったと評価する余地があります。
 決裁権限がある上司が退職を承諾している場合には承諾を通知した時点で,承諾の事実がない場合には,辞職の効果が発生する期間として就業規則に定められた期間又は14日のいずれか短い方の期間を経過した時点で,退職の効力が発生したものとして扱えば足りるでしょう。
 他方,何の前触れもなく社員が突然行方不明になったような場合には,合意退職の申込ないしは辞職の意思表示があったと評価することは困難ですので,別の対応が必要となります。
(2) 無断欠勤が一定期間(30日~50日程度)続き,会社に行方が知れないときには当然に退職する旨の就業規則の規定
 行方不明になった社員を退職させる方法としては,就業規則に無断欠勤が一定期間(30日~50日程度)続き,会社に行方が知れないときには当然に退職する旨退職事由として規定しておき,適用することにより対処するのが一般的です。
 このような規定は,行方不明期間があまりにも短い場合には合理性を欠くものとして無効となる可能性がありますが,30日~50日程度の期間をおいているのであれば,通常は合理性を有する規定として有効となるものと考えられます。
 要件を満たす場合には,行方不明の社員に対する意思表示なくして当然に退職の効力が生じることになりますので,行方不明になった社員に対する通知は不要です。
 解雇予告や解雇予告手当の支払も不要です。
(3) 解雇
 長期間の無断欠勤は,普通解雇事由及び懲戒解雇事由に該当するのが通常です。
 使用者が労働者を懲戒するには,あらかじめ就業規則において懲戒の種類及び事由を定めておくことを要するとするのが最高裁判例ですので,就業規則がない会社の場合は,労働協約に懲戒の種類及び事由の定めがあるといった特段の事情のない限り懲戒解雇することはできませんが,民法627条に基づき普通解雇することはできます。
 社員が無断欠勤して行方不明になった場合であっても,解雇が客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして無効となります(労契法16条,15条)。
 最低限,会社は,社員の行方を捜す努力をして,記録に残しておく必要があります。
 慎重を期すのであれば,解雇に踏み切るまでの無断欠勤期間についても,やや長めに考えた方が無難かと思われます。
 原則として解雇予告や解雇予告手当の支払が必要なことは通常の解雇と変わりありません。
 社員は無断欠勤した上に行方不明になっているわけですから,「労働者の責に帰すべき事由」(労基法20条1項ただし書)が存在し,労働基準監督署長の解雇予告除外認定を得て,解雇予告又は解雇予告手当の支払なしに解雇することができるケースが多いものと思われます。
 しかし,労働基準監督署長の解雇予告除外認定を得るためには,それなりの準備が必要ですし,ある程度の時間がかかりますので,事案によっては解雇予告又は解雇予告手当の支払をして解雇してもいいかもしれません。
 行方不明の社員の居場所が分かった場合は,以上の点を考慮して解雇通知すれば足ります。
 しかし,いくら捜しても社員が行方不明の場合は,別途,検討が必要となります。
 すなわち,解雇の意思表示は,解雇通知が相手方に到達して初めてその効力を生じるため(民法97条1項),有効無効以前の問題として,解雇通知が行方不明の社員に到達しなければ解雇の効力を生じる余地はありません。
 社員が自宅で生活しており,単に出社を拒否しているに過ぎないような事案であれば,社員の自宅に解雇通知が届けば社員の支配権内に置かれたことになりますから,実際に社員が解雇通知を読んでいなくても,解雇の意思表示が到達したことになります。
 しかし,会社が把握している自宅が引き払われているなど本当の意味での行方不明でどこに住んでいるのか皆目見当がつかない場合は解雇通知を発送すべき宛先が分かりません。
 会社が把握している社員の自宅が引き払われてはいなくても,長期間にわたり社員が自宅に戻っている形跡が全くないような場合は,社員の自宅に解雇通知が到達したとしても社員の支配権内に置かれたと評価することはできませんので,解雇の意思表示が社員に到達したことにはならず,解雇の意思表示は効力を生じません。
 電子メールによる解雇通知は,行方不明の社員からの返信があれば,通常は解雇の意思表示が当該社員に到達し,解雇の効力が生じていると考えることができるでしょう。
 ただし,電子メールに返信があるような事案の場合,そもそも行方不明と言えるのか問題となる余地がありますので,解雇権を濫用したものとして無効(労契法16条)とされないよう,解雇に先立ち,行方不明の社員と連絡を取る努力を尽くす必要があります。
 他方,行方不明の社員からメール返信がない場合は,解雇の意思表示が到達したと考えることにはリスクが伴いますが,連絡を取る努力を尽くした上で,リスク覚悟で退職処理してしまうということも考えられます。
 行方不明の社員の家族や身元保証人に対し,行方不明の社員を解雇する旨の解雇通知を送付しても,解雇の意思表示が到達したとは評価することができず,解雇の効力は生じないのが原則です。
 兵庫県社土木事務所事件最高裁第一小法廷平成11年7月15日判決では,行方不明の職員と同居していた家族に対し人事発令通知書を交付するとともにその内容を兵庫県公報に掲載するという方法でなされた懲戒免職処分の効力の発生を認めていますが,特殊な事案であり,射程を広く考えることはできません。
 通常,家族に解雇通知書を交付し社内報に掲載したといった程度で,解雇の意思表示が到達したと考えるのは困難です。
 完全に行方不明の社員に対し,解雇を通知する場合は,簡易裁判所において公示による意思表示(民法98条)の手続を取る必要があります。
 公示による意思表示の要件を満たせば,解雇の意思表示が行方不明の社員に到達したものとみなしてもらうことができます。
(4) リスク覚悟の上での退職処理
 行方不明の社員が退職の効力を争うことは稀ですから,厳密な退職の要件を満たさなくても,リスク覚悟の上で退職処理してしまうという方法も考えられます。
 家族や身元保証人等とよく話し合い,家族等の了解を取ってから退職扱いにすれば,リスクを格段に下げることができます。
 もっとも,後日,行方不明だった社員から連絡があり,社員が復職を強く希望したような場合には,その時点で復職の可否を検討する必要があるものと思われます。

3 社宅利用契約を終了させる方法
 福利厚生施設としての社宅の法律関係は,社宅利用規程によって規律され,社宅の明渡しを請求できるかどうかは,社宅利用規程の明渡事由に該当するかどうかにより決せられ,通常は借地借家法は適用されません。
 社宅利用料が高額であるなどの理由から,社宅契約が借地借家法の予定する賃貸借契約と認定された場合は,契約の解約には6か月前の解約申入れが必要であり(借地借家法27条),解約には正当の事由が必要となります(借地借家法28条)。
 トラブルを避けるためにも,福利厚生施設としての役割に反しない金額の利用料設定にすべきでしょう。

4 社宅の明渡し方法
 行方不明の社員が退職扱いとなり,社宅利用契約が終了したとしても,実際にどうやって部屋の明渡し作業を行うかは別途問題となります。
 行方不明の社員を相手に訴訟を提起し,公示送達(民事訴訟法110条)の方法により訴状を送達し,勝訴判決を得て強制執行するというのが,法律論的には本筋かもしれませんが,時間,費用,手間がかかります。
 かといって,勝手に荷物を運び出して処分してしまうわけにもいきません。
 実務上は,行方不明の社員の両親等の協力を得て,明渡しに立ち会ってもらい,荷物を引き取って保管してもらうことが多いのではないでしょうか。
 完全に適法なやり方と言えるかどうかは微妙なところであり,ある程度のリスクを覚悟した上で行うことになりますが,両親等の協力があれば,トラブルに発展するケースはそれほど多くはありません。

弁護士法人四谷麹町法律事務所

弁護士 藤田進太郎


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付加金(労基法114条)

2014-01-22 | 日記

付加金(労基法114条)とは,どういうものですか?

 使用者が,
 ① 解雇予告手当(労基法20条)
 ② 休業手当(労基法26条)
 ③ 残業代割増賃金)(労基法37条)
 ④ 年次有給休暇取得時の賃金(労基法39条7項)
のいずれかの支払を怠り,労働者から訴訟を提起された場合に,裁判所はこれらの未払金に加え,これと同一額の付加金の支払を命じることができるとされています(労基法114条)。
 他方,①~④以外の基本給等の賃金について付加金の支払を命じられることはありません。

 残業代割増賃金)請求訴訟においても,付加金の請求もなされるのが通常で,例えば,未払の割増賃金の額が300万円の場合,さらに最大300万円の付加金の支払(合計600万円の支払)が判決で命じられる可能性があるということになります。
 使用者が残業代の支払を怠っている場合,付加金の支払も命じられることが多くなっていますが,付加金の支払を命じるかどうかは裁判所の裁量に委ねられており,全く付加金の支払が命じられないこともないわけではありませんし,未払割増賃金の50%相当額の付加金の支払が命じられるといったこともあります。
 私が使用者側代理人を務めた東京地方裁判所民事第19部平成22年(ワ)第41466号賃金請求事件(労働判例1038号53頁)において,平成23年9月9日に言い渡された判決(伊良原恵吾裁判官)でも,「原告は,・・・本件割増賃金について労基法114条本文に基づき付加金の請求をしているところ,同条は『裁判所は・・・付加金の支払を命ずることができる。』と規定しているにとどまるのであるから,裁判所は,諸般の事情を考慮し,付加金を命ずることが不相当であると判断した場合にはこれを命じないことができ,また,これを命ずる場合であっても裁量により減額することができるものと解するのが相当である。」とされています。
 したがって,使用者としては,付加金の支払を命じるのが相当でない事情があるのであれば,その事情を主張立証しておくべきことになります。

 なお,付加金の請求は,違反のあったときから2年以内にしなければならないとされていますが(労基法114条),この期間はいわゆる除斥期間であって時効期間ではないと考えられており,労働者が付加金の支払を受けるためには,2年以内に請求の「訴え」を提起する必要があります。
 したがって,割増賃金等の消滅時効は中断している場合であっても,その時効中断が訴え提起によるものでない場合は,付加金については除斥期間を経過しているためその全部又は一部の支払を命じることができないというケースもあり得ることになります。

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弁護士 藤田進太郎


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残業代(割増賃金)の消滅時効期間

2014-01-17 | 日記

残業代(割増賃金)の消滅時効期間を教えて下さい。

 残業代割増賃金)の消滅時効期間は,2年です(労基法115条)。
 2年以上勤務していた労働者からの残業代請求においては,通常は,直近2年分の残業代について請求がなされることになります。
 理屈の上では,最後の給料日から2年間は残業代の請求を受けるリスクがあるのですが,実際には退職してから間もない時期に残業代請求がなされる事案がほとんどです。
 退職後数か月経過してから突然,残業代請求がなされることもありますが,退職後1年以上経過してから残業代請求がなされることは滅多にありません。

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退職後の残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率

2014-01-16 | 日記

残業代(割増賃金)の遅延損害金の利率は,退職後は年14.6%という高い利率になるというのは本当ですか?

 残業代割増賃金)などの賃金(退職手当を除く。)の支払を怠った場合,退職後の期間の遅延損害金は年14.6%という高い利率になる可能性があります(民法419条1項・賃金の支払の確保等に関する法律6条1項・同施行令1条)。
 厚生労働省令で定める事由に該当する場合には,その事由の存する期間については賃金の支払の確保等に関する法律6条1項・同施行令1条の適用はありませんが(賃金の支払の確保等に関する法律6条2項),従来は当該事由に該当するかどうかについて裁判で争点になることはそれほど多くなかったようです。
 しかし,会社側としては,厚生労働省令で定める事由に該当する可能性があるような事案であれば,しっかり主張すべきではないでしょうか。
 特に,「支払が遅滞している賃金の全部又は一部の存否に係る事項に関し,合理的な理由により,裁判所又は労働委員会で争っていること。」(賃金の支払の確保等に関する法律施行規則6条4号)に該当する場合は,それなりにあるように思えます。
 民事訴訟では弁論主義が適用されますから,会社が厚生労働省令で定める事由の存在を主張しさえすれば立証が容易で割増賃金の遅延損害金の利率を下げられるような事案であっても,会社側が主張すらしなければ,そのまま年14.6%という高い利率が適用されることになってしまいます。

 私が使用者側代理人を務めた東京地方裁判所民事第19部平成22年(ワ)第41466号賃金請求事件(労働判例1038号53頁)において,平成23年9月9日に言い渡された判決(伊良原恵吾裁判官,平成23年9月27日確定)では,賃確法施行規則6条4号にいう「合理的な理由」の存在について以下のとおり緩やかに判断されており,当該事案における未払割増賃金に対する遅延損害金の利率も,商事法定利率(年6分)によるべきものとされています。

 そもそも賃確法6条1項の趣旨は,退職労働者に対して支払うべき賃金(退職手当を除く。)を支払わない事業主に対して,高率の遅延利息の支払義務を課すことにより,民事的な側面から賃金の確保を促進し,かつ,事前に賃金未払が生ずることを防止しようとする点にあるが,ただ,それは,あくまで金銭を目的とする債務の不履行に係る損害賠償について規定した民法419条1項本文の利率(民法404条又は商法514条に規定する年5分又は年6分である。)に関する特則を定めたものにとどまる。
 以上によると上記(1)の賃確法6条2項,同法施行規則6条は,遅延利息の利率に関する例外的規定である同法6条1項の適用を外し,実質的に原則的利率(民法404条又は商法514条)へ戻すための要件を定めたものであると解することができ,そうだとすると賃確法施行規則6条所定の各除外事由の内容を限定的に解しなければならない理由はなく,むしろ上記原則的利率との間に大きな隔たりがあること及び賃確法施行規則6条5号が除外事由の一つとして「その他前各号に掲げる事由に準ずる事由」を定め,その適用範囲を拡げていることにかんがみると,同条所定の除外事由については,これを柔軟かつ緩やかに解するのが同法6条2項及び同施行規則6条の趣旨に適うものというべきである。
 このように考えるならば,賃確法6条2項,同法施行規則6条4号にいう「合理的な理由」には,裁判所又は労働委員会において,事業主が,確実かつ合理的な根拠資料が存する場合だけでなく,必ずしも合理的な理由がないとはいえない理由に基づき賃金の全部又は一部の存否を争っている場合も含まれているものと解するのが相当である。

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毎月一定額の基本給と成績に応じた出来高払の給料がある場合における通常の賃金の計算方法

2014-01-14 | 日記

毎月一定額の基本給と成績に応じた出来高払の給料がある場合における通常の賃金の計算方法を教えて下さい。

 毎月一定額の基本給と成績に応じた出来高払の給料がある場合,通常の賃金は,以下の計算式により算出されます(労基則19条1項7号・4号・6号)。
 通常の賃金
=基本給÷一年間における一月平均所定労働時間数
 +出来高払制によって計算された賃金の総額÷当該賃金算定期間における総労働時間数

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社宅に家財道具等を残したまま行方不明になる。

2014-01-13 | 日記

社宅に家財道具等を残したまま行方不明になる。

1 社員の行方を捜す努力
 まずは,電話,電子メール,社宅訪問,家族・身元保証人等への問い合わせ等により,社員の行方を捜す努力をして下さい。
 警察に行方不明者届を提出する場合は,親族が提出するのが通常と思われますが,勤務先からの行方不明者届も受理される扱いとなっています。
 それなりの期間努力しても社員の行方が分からないときは,退職扱いにし,社宅から出て行ってもらわざるを得ませんが,
 ① 労働契約を終了させる方法
 ② 社宅利用契約を終了させる方法
 ③ 社宅に残された私物の運び出し方法
等が問題となります。

2 労働契約を終了させる方法
(1) 合意退職・辞職
 行方不明になった社員が,退職の挨拶をしてからいなくなった場合や,退職する旨の書き置きを残しているような場合であれば,合意退職の申込ないしは辞職の意思表示があったと評価することができるかもしれませんが,何の前触れもなく突然行方不明になったような場合には,合意退職の申込ないしは辞職の意思表示があったと評価することは困難です。
(2) 無断欠勤が一定期間(30日~50日程度)続き,会社に行方が知れないときには当然に退職する旨の就業規則の規定
 行方不明になった社員の退職手続としては,就業規則に無断欠勤が一定期間(30日~50日程度)続き,会社に行方が知れないときには当然に退職する旨の規定を置き,適用することにより対処するのが一般的です。
 このような規定は,行方不明期間があまりにも短い場合には合理性を欠くものとして無効となる可能性がありますが,30日~50日程度の期間をおいているのであれば,通常は合理性を有する規定として有効となるものと考えられます。
 したがって,社員の無断欠勤が就業規則に定めた期間(30日~50日程度)続き,会社に行方が知れないときには,社員に対する意思表示なくして当然に退職の効力が生じることになります。
(3) 解雇
 解雇の意思表示は,解雇通知が相手方に到達して初めてその効力を生じるため(民法97条1項),有効無効以前の問題として,解雇通知が行方不明の社員に到達しなければ解雇の意思表示は効力を生じません。
 社員が社宅で生活しており,単に出社拒否をしているに過ぎないような事案であれば,社宅の当該社員の部屋に解雇通知が届けば社員の支配権内に置かれたことになりますから,実際に社員が解雇通知書を読んでいなくても,解雇の意思表示が到達したことになりますが,本当の意味での行方不明で,社宅にも戻っていない場合は,社宅の部屋に解雇通知が到達したとしても社員の支配権内に置かれたとは言えませんので,解雇の意思表示が社員に到達したことにはならず,解雇の意思表示は効力を生じません。
 電子メールによる解雇通知は,行方不明の社員から返信があれば,通常は解雇の意思表示が当該社員に到達し,解雇の効力が生じていると考えることができるでしょう。
 ただし,電子メールに返信があるような事案の場合,そもそも行方不明と言えるのか問題となる余地がありますので,解雇権を濫用したものとして無効(労働契約法16条)とされないよう,解雇に先立ち,行方不明の社員と連絡を取る努力を尽くす必要があります。
 行方不明の社員からメール返信がない場合は,解雇の意思表示が到達したと考えることにはリスクが伴いますが,連絡を取る努力を尽くした上で,リスク覚悟で退職処理してしまうということも考えられます。
 行方不明者の家族や身元保証人に対し,行方不明の社員を解雇する旨の解雇通知を送付しても,解雇の意思表示が到達したとは評価することができず,解雇の効力は生じないのが原則です。
 兵庫県社土木事務所事件最高裁第一小法廷平成11年7月15日判決では,行方不明の職員と同居していた家族に対し人事発令通知書を交付するとともにその内容を兵庫県公報に掲載するという方法でなされた懲戒免職処分の効力の発生を認めていますが,特殊な事案であり,射程を広く考えることはできません。
 例えば,家族に解雇通知書を交付し,社内報に掲載したといった程度では,通常は解雇の意思表示の効力は生じません。
 完全に行方不明の社員に対し,解雇通知する場合は,公示による意思表示(民法98条)によることになります。
(4) リスク覚悟の上での退職処理
 行方不明の社員が退職の効力を争うことは稀ですから,厳密な退職の要件を満たさなくても,リスク覚悟の上で退職処理してしまうという方法も考えられます。
 もっとも,後日,行方不明だった社員から連絡があり,復職を希望したような場合には,その時点で復職の可否を検討することになるものと思われます。

3 社宅利用契約を終了させる方法
 福利厚生施設としての社宅の法律関係は,社宅利用規程によって規律され,社宅の明渡しを請求できるかどうかは,社宅利用規程の明渡事由に該当するかどうかにより決せられ,通常は借地借家法は適用されません。
 社宅利用料が高額であるなどの理由から,社宅契約が借地借家法の予定する賃貸借契約と認定された場合は,契約の解約には6か月前の解約申入れが必要であり(借地借家法27条),解約には正当の事由が必要となります(借地借家法28条)。
 トラブルを避けるためにも,福利厚生施設としての役割に反しない金額の利用料設定にすべきでしょう。

4 社宅に残された私物の運び出し方法
 行方不明の社員が退職扱いとなり,社宅利用契約が終了したとしても,実際にどうやって部屋の明渡し作業を行うかは別途問題となります。
 行方不明の社員を相手に訴訟を提起し,公示送達(民事訴訟法110条)の方法により訴状を送達し,勝訴判決を得て強制執行するというのが,法律論的には本筋かもしれませんが,時間,費用,手間がかかります。
 かといって,勝手に荷物を運び出して処分してしまうわけにもいきません。
 実務上は,行方不明の社員の両親等の協力を得て,明渡しに立ち会ってもらい,荷物を引き取って保管してもらうことが多いのではないでしょうか。
 完全に適法なやり方と言えるかどうかは微妙なところであり,ある程度のリスクを覚悟した上で行うことになりますが,両親等の協力があれば,トラブルに発展するケースはそれほど多くはありません。

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出来高払制の残業代(割増賃金)

2014-01-10 | 日記

出来高払制の場合にも残業代(割増賃金)を支払う必要がありますか?

 出来高払の賃金は,除外賃金(労基法37条5項・労基則21条)に該当しませんので,出来高払制の場合であっても,残業させれば残業代を支払う必要があります。
 この場合の残業代の基礎となる賃金の計算は,以下の計算式により算出されます(労基則19条1項6号)。
 出来高払制における残業代の基礎となる賃金
=出来高払制によって計算された賃金の総額÷当該賃金算定期間における総労働時間数

 出来高払制の給料部分については,月給制を採っている場合であっても,一月平均所定労働時間数ではなく,「総労働時間数」で割るのが特徴的です。
 所定労働時間内に160時間働き,40時間残業した場合は,総労働時間数が160時間+40時間=200時間ですから,出来高払制における残業代の基礎となる賃金は,出来高払制によって計算された賃金の総額を200時間で割って計算することになります。

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弁護士法人四谷麹町法律事務所 ウェブサイト

2014-01-10 | 日記

  弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)は,健全な労使関係を構築して労働問題のストレスから会社経営者を解放したいという強い想いを持っており,会社経営者側専門の法律事務所として,労働問題の予防解決,訴訟・労働審判・団体交渉・問題社員等の対応に力を入れています。
 訴訟・労働審判・団体交渉・問題社員等の対応のため,会社経営者が安心して労働問題を相談できる弁護士をお探しでしたら,弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)ご相談下さい。

 近年,競争の激化等により企業に余裕がなくなっていることや労働者の権利意識が高まっていること等を背景として,解雇,退職勧奨,残業代などに関する労使紛争が急増し,会社経営者が労働問題の強いストレスにさらされることが多くなっています。
 健全な労使関係の構築方法について十分に検討・実施していない会社,労働問題に対するリスク管理意識が希薄な会社がまだまだ多く,無防備な状態のまま,採用すべきでない問題社員を安易に採用したり,必要な注意指導を怠ったまま問題社員を放置して職場環境を悪化させて周囲の社員や顧客に迷惑をかけたり,残業代請求対策を取らないまま残業させて高額の残業代請求のリスクにさらされていたりするケースが散見されます。
 問題社員の言動による職場環境の悪化を原因として多数の退職者が出たり,顧客からのクレームが多発したりして追い詰められてやっと問題社員の対応を検討し始めるものの,適切な対処方法がわからず,必要な手順を踏まずに従業員をいきなり解雇した結果,解雇された労働者から内容証明郵便が届いたり,労働審判を申し立てられたり,合同労組から団体交渉を申し入れられたりして,不当に非難されて強いストレスにさらされるだけでなく,解雇が無効であることや多額の残業代が未払となっていること等を理由として多額の解決金の支払を余儀なくされるケースが多いというのが実情です。
 弁護士法人四谷麹町法律事務所に相談にお越しになった多数の会社経営者が,本当につらそうな様子で,社員に裏切られたとか,詐欺にあったようなものだとか,社員にも裁判官にも経営者の苦労を分かってもらえないだとか,法律が社会の実情に合っていないだとか嘆いてがっかりしている姿を見ていると,本当に残念な気持ちになります。
 せっかく一生懸命育ててきた会社なのですから,労働問題で大きなダメージを被って取り返しがつかない結果になる前に,対処していかなければなりません。

 弁護士法人四谷麹町法律事務所(東京)は,健全な労使関係を構築して労働問題のストレスから会社経営者を解放したいという強い想いを持っており,解雇,退職勧奨,残業代,試用期間,精神疾患,団体交渉,労働審判,問題社員,パワハラ等の労働問題の予防解決に力を入れています。
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代表弁護士 藤田 進太郎


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