弁護士法人四谷麹町法律事務所のブログ

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遅刻や無断欠勤が多い。

2011-08-21 | 日記
Q2 遅刻や無断欠勤が多い

 基本的には注意,指導,教育して改善させるべき問題です。
 口頭で注意,指導,教育しても改善しない場合は,書面で注意,指導,教育すべきでしょう。
 書面を交付するのは大げさでやりにくいというのであれば,まずは電子メール等を利用することから始めてもいいと思います。
 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討することになります。

 解雇は最後の手段です。
 十分な注意,指導,教育をしないままいきなり解雇した場合は,無効とされることが多いです。
 従来,ルーズな勤怠管理をしていた職場で,従来であれば容認されていた程度の遅刻や無断欠勤をしたからといって,直ちに重い処分をすることは困難です。
 解雇が有効とされるためには,就業規則の普通解雇事由又は懲戒解雇事由に該当し,解雇権濫用(労働契約法16条)とされないことが必要です。
 解雇事由に該当する場合であっても,解雇権濫用として解雇が無効とされることが多いことに注意して下さい。
 普通解雇の場合は,職場から排除しなければならいほど社員としての適格性がないといえるのかが,懲戒解雇の場合は,遅刻や無断欠勤により,職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となります。
 解雇の有効性を判断するにあたっては,遅刻や欠勤が業務に与える悪影響の程度,態様,頻度,過失によるものか悪意・故意によるものか,遅刻や欠勤の理由,謝罪・反省の有無,遅刻欠勤を防止するために会社が講じていた措置の有無・内容,平素の勤務成績,他の社員に対する処分内容・過去の事例との均衡等が考慮されることになります。
 注意,指導,教育して,遅刻,欠勤の多さが改善されるのであれば,注意,指導,教育して改善させればいいのですから,解雇の有効性を判断する際にも,改善が期待できないと評価できるかが問題となります。
 実際に注意,指導,教育して改善の機会を与えることもせずに,勝手に,改善の見込みがないと思い込んで解雇するのは危険です。
 まずは,実際に,注意,指導,教育して改善の機会を与え,改善の見込みがないかどうかを確かめたことの証拠を残しておく必要があります。
 口頭で注意,指導,教育しても改まらない場合には,書面で注意,指導,教育し,記録に残しておくべきと考えます。
 書面等の客観的証拠がないと,訴訟になった場合は,「注意,指導,教育されたことはありません。」と主張されるのが通常です。
 また,書面で注意,指導,教育することにより,口頭での注意,指導,教育よりもより強く改善を促しているというメッセージにもなります。
 懲戒処分や事前の警告が解雇の前提要件というわけではありませんが,解雇は,原則として,戒告,譴責,減給,降格処分等の懲戒処分をし,改善しなければ解雇する可能性がある旨の警告をしてからにすることが望ましいところです。

弁護士 藤田 進太郎

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協調性がない。

2011-08-20 | 日記
Q1 協調性がない。

  協調性がないといっても程度問題であり,通常許される個性の範囲内に収まっている程度の問題なのか,それとも,企業秩序を阻害し又は社員としての適格性が問われるものなのか見極める必要があります。
 よく検討しないまま,主観的に協調性がないと決めつけてしまうのは危険です。
 周囲の社員に問題があることもありますので,客観的に判断するためにも,本人の言い分もよく聴取して事実確認をする必要があります。

 協調性がないという問題は,基本的には注意,指導,教育して改善させるべき問題です。
 口頭で注意,指導,教育しても改善しない場合は,書面で注意,指導,教育します。
 書面を交付するのは大げさでやりにくいというのであれば,まずは電子メール等を利用することから始めてもいいでしょう。
 書面で注意,指導,教育しても改善しない場合は,懲戒処分を検討することになります。
 配転の余地があるのであれば,協調性のないとされている社員を別の部署に配転させ,配転先でもやはり協調性がないのか確かめてみた方が無難です。
 周囲の社員が問題なのであれば,配転先では協調性がないとは評価されない可能性があります。

 解雇は最後の手段です。
 十分な注意,指導,教育をしないままいきなり解雇した場合は,無効とされることが多いです。
 解雇が有効とされるためには,就業規則の普通解雇事由又は懲戒解雇事由に該当し,解雇権濫用(労働契約法16条)とされないことが必要となります。
 解雇事由に該当する場合であっても,解雇権濫用として解雇が無効とされることが多いことに注意して下さい。
 「解雇は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする。」(労働契約法16条)とされています。
 普通解雇の場合は,職場から排除しなければならいほど社員としての適格性がないといえるのかが,懲戒解雇の場合は,協調性がないことにより,職場から排除しなければならないほど職場秩序を阻害したのかが問題となります。
 解雇の有効性を判断するにあたっては,協調性が特に必要とされる業務内容,職場環境かどうかという点も重視されます。
 チームワークが重視される共同作業が多い業務内容なのか,少人数の職場なのか等。
 注意,指導,教育して,協調性のなさが改善されるのであれば,注意,指導,教育して改善させればいいのですから,解雇の有効性を判断する際にも,改善が期待できないと評価できるかが問題となります。
 実際に注意,指導,教育して改善の機会を与えることもせずに,勝手に,改善の見込みがないと思い込んで解雇するのは危険です。
 まずは,実際に,注意,指導,教育して改善の機会を与え,改善の見込みがないかどうかを確かめたことの証拠を残しておく必要があります。
 口頭で注意,指導,教育しても改まらない場合には,書面で注意,指導,教育し,記録に残しておくべきと考えます。
 書面等の客観的証拠がないと,訴訟になった場合は,「注意,指導,教育されたことはありません。」と主張されるのが通常です。
 また,書面で注意,指導,教育することにより,口頭での注意,指導,教育よりもより強く改善を促しているというメッセージにもなります。
 懲戒処分や事前の警告が解雇の前提要件というわけではありませんが,解雇は,原則として,戒告,譴責,減給,降格処分等の懲戒処分をし,改善しなければ解雇する可能性がある旨の警告をしてからにすることが望ましいところです。

弁護士 藤田 進太郎

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労働相談(使用者側,経営者側のみ)のご案内

2011-08-18 | 日記
四谷麹町法律事務所では,経営者,人事労務担当者を対象として,労働相談を行っています。
8月25日(木)以降はスケジュールが立て込んでいますが,8月24日(水)あたりまでは比較的スケジュールに余裕がありますので,問題社員労働審判・労働訴訟・労働組合・労働基準監督署・団体交渉・解雇・残業代請求の対応等,労働問題でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎にご相談下さい。

弁護士 藤田 進太郎

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継続雇用制度の対象者となる高年齢者に係る基準を定めた労使協定を労働基準監督署に届け出る必要があるか?

2011-08-18 | 日記
Q175 継続雇用制度の対象者となる高年齢者に係る基準を定めた労使協定を労働基準監督署に届け出る必要がありますか?

 継続雇用制度の対象者となる高年齢者に係る基準を定めた労使協定を労働基準監督署に届け出ることを義務付ける規定はありませんので,届け出る必要はありません。
 ただし,基準が私法上の効力を生じるためには,就業規則に規定して周知させる等して労働契約の内容としておく必要がありますし,継続雇用制度の対象者に係る基準は「退職に関する事項」(労基法89条3号)に該当し,届出が義務付けられていますから,基準を設けた場合は,就業規則に規定して,就業規則の変更を労働基準監督署に届ける必要があります。

弁護士 藤田 進太郎

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定年退職者の再雇用期間

2011-08-17 | 日記
Q174 定年退職者を再雇用した場合の雇用期間を1年とすることはできますか?

 再雇用後の雇用期間については,特段の規制がありませんので,雇用期間を1年とすることができます。
 ただし,高年齢者雇用安定法9条は,65歳(平成25年3月31日までは64歳)までの継続雇用制度等の高年齢者雇用確保措置を講じることを要求していますので,1年契約とは言っても,65歳(平成25年3月31日までは64歳)までは契約が更新されることについて,合理的期待があると考えざるを得ません。
 したがって,65歳(平成25年3月31日までは64歳)になる前に契約期間満了で雇止めをする場合は,解雇権濫用法理が類推適用されますので,雇止めに客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当なものとなっているかどうかをチェックする必要があります。

弁護士 藤田 進太郎

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就業規則の再雇用基準を満たす高年齢者が再雇用を希望したにもかかわらず再雇用しなかった場合の法律関係

2011-08-16 | 日記
Q173 就業規則の再雇用基準を満たす高年齢者が再雇用を希望したにもかかわらず再雇用しなかった場合,再雇用されたことになってしまうのでしょうか?

 労働契約は,労働者が使用者に使用されて労働し,使用者がこれに対して賃金を支払うことについて,労働者及び使用者が合意することによって成立するものですから(労働契約法6条),会社が再雇用を承諾していない以上,労働契約は成立せず,再雇用を拒絶された高年齢者は,会社に対し,損害賠償請求する余地があるというにとどまるのが原則です。
 しかし,東京大学出版会事件東京地裁平成22年8月29日判決,津田電気計器事件大阪高裁平成23年3月25日判決などの下級審判決は,再雇用の拒絶(労働契約申込みに対する不承諾)に関し,解雇権濫用法理を類推適用して,不承諾は権利濫用に当たり,不承諾を当該労働者に主張することができない結果継続雇用契約が成立したものと扱われるべきであるなどとして,継続雇用契約の成立を認めています。
 理論的には相当無理をして結論を導いているようなところがありますが,就業規則の選定基準を満たしているにもかかわらず,再雇用しないというのは,再雇用制度の誤った運用をしていることになりますから,そのようなことがないよう運用を改める必要があることはいうまでもありません。
 継続雇用基準を満たしているにもかかわらず,継続雇用を拒絶した場合,損害賠償請求を受けるリスクの他,継続雇用契約の成立が認められ,賃金請求が認められてしまうリスクがあることに留意する必要があります。

弁護士 藤田 進太郎

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能力の高い定年退職者の雇用

2011-08-16 | 日記
Q172 能力の高い定年退職者に重要な職務に従事してもらうため,通常の高年齢者よりも高い給料で雇いたい場合はどうすればいいでしょうか?

 能力が高く,定年退職後も通常の高年齢者よりも高い給料を支払ってでも重要な職務に従事して欲しい高年齢者については,通常の継続雇用制度とは別枠で,嘱託社員として雇用することをお勧めします。
 まずは,定年退職者全員に適用される継続雇用制度(高年齢者雇用安定法9条)を設け,高年齢者雇用安定法9条の要請に応える必要がありますが,会社が選んだ人物のみ,別枠の嘱託社員として雇用するといったように,2つの制度を置くことになります。
 もちろん,本人が通常の継続雇用制度により継続雇用されることを望んだ場合は,原則どおり,通常の継続雇用制度を適用することになります。

弁護士 藤田 進太郎

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四谷麹町法律事務所 労働相談(使用者側のみ)のご案内

2011-08-16 | 日記
 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎東京)は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っており,使用者・経営者側専門の立場から,問題社員労働審判・団体交渉・解雇・残業代請求の対応等,労働問題の予防・解決に力を入れています。
 問題社員労働審判・団体交渉・解雇・残業代請求の対応等,労働問題でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎(東京)にお気軽にご相談下さい。

 近年,問題社員による身勝手な振る舞い,解雇・退職に関する紛争,割増賃金(残業代)の請求,うつ病への罹患・アスベスト(石綿)吸引による死亡等を理由とする損害賠償請求等の労働問題が急増し,弁護士に対する相談件数が増加しています。
 しかし,問題社員を採用段階で排除できずに採用してしまったり,問題社員に十分な指導をしないまま放置したり,解雇の有効性を十分に検討しないまま解雇したり,残業代を基本給と区別して支払っていなかったり,長時間労働を放置したりしているなど,労働問題に関するリスク管理が不十分な会社がまだまだ多く,無防備な状態のまま,労働者から訴訟を提起されるなどして多額の解決金の支払を余儀なくされて初めて,対策を検討し始める会社経営者が多いというのが実情です。
 会社経営者が,自社が深刻な労働問題のリスクにさらされているという認識が希薄なまま,何らの対策も取らないでいた結果,問題社員等との間で労働問題が発生し,多額の解決金を支払うことを余儀なくされてから,社員に裏切られたとか,詐欺にあったようなものだとか,社員にも裁判官にも経営者の苦労を分かってもらえないだとか,法律が社会の実情に合っていないだとか嘆いてがっかりしている姿を見ていると,本当に残念な気持ちになります。
 せっかく一生懸命育ててきた会社なのですから,問題社員の身勝手な振る舞いや,コンプライアンス上問題のある労務管理により生じた労働問題で大きなダメージを被って取り返しがつかない結果になる前に対処しておかなければなりません。

 四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎(東京)は,健全な労使関係の構築を望んでいる会社経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っています。
 問題社員労働審判・団体交渉・解雇・残業代請求の対応等の労働問題でお悩みでしたら,四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎(東京)にご相談下さい。

四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎

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高年齢者の継続雇用を拒絶した場合に紛争になりやすいのは?

2011-08-16 | 日記
Q171 高年齢者の継続雇用を拒絶した場合に紛争になりやすいのは,どのような場合ですか?

 労働組合活動をしていた組合員の再雇用等を拒絶して紛争になることが多いようです。
 特に,組合関係者の継続雇用拒絶については,労働問題に力を入れている弁護士に相談することをお勧めします。
 不当労働行為と評価されかねないような事案については,訴訟に負けるリスクが高くなります。

弁護士 藤田 進太郎

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高年齢者の継続雇用後の労働条件

2011-08-15 | 日記
Q170 定年退職者から,定年退職後も65歳まで,従来と同じ労働条件で継続雇用するよう要求されています。応じる必要はあるでしょうか?

 定年退職者を継続雇用した場合の労働条件について,特別の規制はなされていません。
 したがって,労働契約,就業規則等で定年退職後も従来と同じ労働条件で継続雇用する旨が定められている場合でない限り,当該定年退職者からの要求に応じる必要はないことになります。

弁護士 藤田 進太郎

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再雇用した高年齢者の賃金額

2011-08-13 | 日記
Q169 再雇用した高年齢者の賃金額はどの程度が妥当だと思いますか?

 再雇用した高年齢者の賃金額に関し,特別な規制がない以上,最低賃金を上回れば足りるとも考えられますが,その結論が妥当だとは思えません。
 高年齢者雇用確保措置(高年齢者雇用安定法9条)の趣旨が,年金受給開始年齢の引上げに伴う高年齢者の生活保障にあることからすると,在職老齢年金,高年齢者雇用継続給付等の公的給付と合わせて,従来であれば60歳からもらえたはずの年金額と同程度の収入は確保できる賃金額にすべきだと思います。

弁護士 藤田 進太郎

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高年齢者の再雇用基準

2011-08-13 | 日記
Q168 高年齢者を再雇用するかどうかは,どのような基準で決めればいいでしょうか?

 再雇用基準(高年齢者雇用安定法9条2項)を設けるのであれば,高年齢者の健康状態を最重要視すべきと考えます。
 次に懲戒歴等の客観的な事情を基準とすべきだとは思いますが,「雇用と年金の接続」という高年齢者雇用安定法9条の立法趣旨からすれば,健康に問題がなく,指定された事業場に自分で出勤して通常の業務に従事できるのであれば,普通に定年を迎えた再雇用希望者全員が再雇用されるような基準である必要があると思います。

 ただ,私がより重視しているのは,むしろ,賃金額,勤務日数等の労働条件による調整です。
 賃金額,勤務日数等については,最低賃金法,労働基準法等の一般的な規制を除き,特別の規制はありませんので,会社の実情に応じた賃金額,勤務日数等を高年齢者に対して提案することができます。
 例えば,定年までは月給50万円もらっていた方であっても,定年退職後の再雇用では,時給1000円,1日8時間,週3日勤務ということでも構わないわけです。
 結果として,当該定年退職者が,こちらの提示した労働条件での再雇用を拒絶してきた場合は,再雇用しないという結論でもやむを得ません。

 私が賃金額等の労働条件による調整を重視しているのは,再雇用基準で希望者の再雇用を拒絶し,再雇用の申し出をしなかった場合,角が立ちトラブルになるリスクが高いからです。
 60歳の定年まで長年勤務してきた先輩社員に対し,後輩の人事担当者が,「あなたは能力が低いし,態度も悪いから再雇用しません。」と伝えて再雇用拒否をすることが妥当でしょうか?
 私はそうは思いません。
 失礼な話しだと思います。
 そうではなく,会社の実態,再雇用を希望する定年退職者の能力等に応じた賃金額等の労働条件を提示し,それで折り合いがつくかどうかを交渉するというのが,穏当なのではないでしょうか。
 能力が低いから再雇用されなかったのではなく,労働条件の交渉がまとまらなかったため,定年退職者が会社が提示した労働条件での再雇用を拒絶したということです。
 もちろん,再雇用基準上問題のない定年退職者が,会社が提示した労働条件での再雇用を定年退職者が希望した場合は,再雇用すべきことになります。

弁護士 藤田 進太郎

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高年齢者雇用確保措置(高年齢者雇用安定法9条1項)の選択

2011-08-13 | 日記
Q167 高年齢者雇用確保措置(高年齢者雇用安定法9条1項)としては,どれがお勧めですか?

 当面は,継続雇用制度(高年齢者雇用安定法9条1項2号)を採用し,高年齢者に係る基準制度(高年齢者雇用安定法9条2項)を設けるのが無理がないのではないかと考えています。

 ただ,老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢は平成25(2013)年度に65歳への引上げが完了し,同年度に老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢が61歳に引き上げられ,平成37(2025)年度までに65歳へ段階的に引き上げられることとなっていること(女性は5年遅れ)もありますので,継続雇用されない高年齢者が年金も支給されないという事態を防止するため(「雇用と年金の接続」),平成25(2013)年度以降,平成37(2025)年度までの間に,高年齢者に係る基準制度(高年齢者雇用安定法9条2項)が廃止される可能性が高いですし,高年齢者雇用安定法8条が改正されて定年を65歳以上とすることを義務付けられることも十分考えられます。
 したがって,将来の法改正を見据えて,今のうちから60歳以前の社員の賃金制度を見直すなどして,定年を65歳としても支障が生じないよう備えておくべきと考えています。

弁護士 藤田 進太郎

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継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準により再雇用等がされなかった高年齢者の割合

2011-08-13 | 日記
Q166 継続雇用制度の対象となる高年齢者の基準により再雇用等がされなかった高年齢者の割合はどれくらいですか?

 継続雇用制度の対象となる高年齢者に係る基準制度により離職した者が定年到達者全体に占める割合は約2.0%という調査結果が出ています。
 わずか50人に1人という割合ですから,基準を設けている会社であっても,健康に問題があるとか,よほど問題のある人物であるといった事情がない限り,ほぼ希望者全員の再雇用等がなされているといえると思います。

弁護士 藤田 進太郎

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高年齢者を雇い続けるだけの財務的余裕がない場合の対応

2011-08-12 | 日記
Q165 当社は高年齢者を雇い続けるだけの余裕がありません。どうすればいいでしょうか?

 高年齢者雇用確保措置(高年齢者雇用安定法9条)を取ることは事業主の義務であり,雇用確保措置を取らないという選択肢はあり得ません。
 したがって,会社に経済的余裕がない場合であっても,再雇用制度を講じる等,高年齢者雇用確保措置は取る必要があります。

 問題は,高年齢者を雇い続けるだけの経済的余裕がないという点ですが,この点は,賃金額を抑えることで対処すべき問題です。
 財務上の余裕がないのであれば,高年齢者に対し,抑えた賃金額での勤務を提案し,それでも継続勤務する意思があるのかどうかを確認すべきことになるでしょう。
 例えば,時給1000円,1日8時間,週3日勤務等の労働条件での再雇用を提案し,高年齢者がそれでも働きたいというのであれば再雇用し,それでは賃金が安すぎるというのであれば再雇用しないということでいいと思います。

弁護士 藤田 進太郎

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