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弁護士 藤田 進太郎
平成22年7月14日に弁護士会館で開催された会期合同研究の全体討議第2部では,労働審判の実演型企画が行われました。
その中で白石部総括判事は,解決金の額等に関し,以下のようなコメントをしています。
① まず,解雇や雇止めが有効か否かの審判委員会の判断,それが訴訟で維持されるか否かの見込み(ある程度明確な解雇無効の事案か,限界事案か)が最も重要な判断要素である。
そして,就労期間の長短(例えば,数か月しか稼働していない場合と,10年以上稼働して会社に貢献をしてきた場合とで,同じ事由による解雇でも,調停における解決金の額が異なることも当然であろう。),再就職の見込み,双方の落ち度や問題点の有無・程度等,具体的な給料の額,労働者の家族を含めた現在の生活状況,会社の支払能力等の諸般の事情を総合考慮する。
② 本件においては,解雇無効が明確な事案と言いうるが,労働者側にも問題点が指摘できること,解雇から3か月半で解決に至り,再就職も予想されており,解雇予告手当(1か月分)や雇用保険の支払もされていること等からすると,給料の5か月分の150万円の解決金という調停案も,考えられる幅の範囲内にあると思う。
③ 解雇事案の解決金については,一般的に訴訟より労働審判の方が低額である。
これは,正式裁判を行わずに(その意味で,時間と費用をかけずに),早期に紛争が解決されるという労働審判のシステムからして,納得できるのであろう。
①が重要なのは当然であり,まずは①をよく検討すべきことになります。
その上で,②③を分析してみると,同じような事案であれば(同じような解雇がなされた場合であっても),早期に解決した事案の方が,解決金の金額が低額になる傾向にあることが分かります。
③は,一見,労働審判の方が解決金の金額が低額になると言っているようにも思えますが,訴訟の場合であっても,早期解決した場合は,労働審判と余り変わらないでしょう。
重要なのは,解雇からどれだけの時間が経っているのかという点です。
裁判所は,既発生のバックペイの金額を念頭に置きながら,妥当な解決金の金額を検討しているものと思われます。
したがって,使用者としては,負け筋の事案においては,できるだけ早期に調停・和解を成立させる努力をすべきことになります。 弁護士 藤田 進太郎
その中で白石部総括判事は,解決金の額等に関し,以下のようなコメントをしています。
① まず,解雇や雇止めが有効か否かの審判委員会の判断,それが訴訟で維持されるか否かの見込み(ある程度明確な解雇無効の事案か,限界事案か)が最も重要な判断要素である。
そして,就労期間の長短(例えば,数か月しか稼働していない場合と,10年以上稼働して会社に貢献をしてきた場合とで,同じ事由による解雇でも,調停における解決金の額が異なることも当然であろう。),再就職の見込み,双方の落ち度や問題点の有無・程度等,具体的な給料の額,労働者の家族を含めた現在の生活状況,会社の支払能力等の諸般の事情を総合考慮する。
② 本件においては,解雇無効が明確な事案と言いうるが,労働者側にも問題点が指摘できること,解雇から3か月半で解決に至り,再就職も予想されており,解雇予告手当(1か月分)や雇用保険の支払もされていること等からすると,給料の5か月分の150万円の解決金という調停案も,考えられる幅の範囲内にあると思う。
③ 解雇事案の解決金については,一般的に訴訟より労働審判の方が低額である。
これは,正式裁判を行わずに(その意味で,時間と費用をかけずに),早期に紛争が解決されるという労働審判のシステムからして,納得できるのであろう。
①が重要なのは当然であり,まずは①をよく検討すべきことになります。
その上で,②③を分析してみると,同じような事案であれば(同じような解雇がなされた場合であっても),早期に解決した事案の方が,解決金の金額が低額になる傾向にあることが分かります。
③は,一見,労働審判の方が解決金の金額が低額になると言っているようにも思えますが,訴訟の場合であっても,早期解決した場合は,労働審判と余り変わらないでしょう。
重要なのは,解雇からどれだけの時間が経っているのかという点です。
裁判所は,既発生のバックペイの金額を念頭に置きながら,妥当な解決金の金額を検討しているものと思われます。
したがって,使用者としては,負け筋の事案においては,できるだけ早期に調停・和解を成立させる努力をすべきことになります。 弁護士 藤田 進太郎
大阪地検特捜部による証拠品改ざん・犯人隠避事件について,最高検の大林宏検事総長が,21日,「証拠物を改変するという,考えがたいあるまじき行為に及んだ上,検察幹部までをも逮捕,起訴しなければならないという前代未聞の事態に至ったことを,国民の皆様に深くおわびする」と陳謝し,「検察に対する信頼を一刻も早く回復することが私に課せられた責務であると考えている」と述べ,引き続き検事総長の職にとどまる考えを示したとのことです。
今日の日経新聞夕刊によると,11月から司法修習生の給費制が貸与制に移行する見通しとなったようです。
民主党が給費制維持を目指していましたが,結局,貸与制実施となりました。
この結果は,「やっぱりね。」という印象です。
民主党は,普天間の問題が典型的ですが,「やろうとしたけど,できなかった。」という話が多いです。
やろうという姿勢を見せただけマシと考えるのか,できもしないのに期待を持たせてやはりできませんでしたという話ばかりで信用できないと考えるのかは,その人の考え方によって違ってくると思います。
ただ,確実に言えることは,民主党が「~をします。」と言った場合の言葉の意味は,「~しようと努力します。でも,実現しない可能性も高いです。」というくらいの意味だということを理解しておかなければなりません。
藤田進太郎
民主党が給費制維持を目指していましたが,結局,貸与制実施となりました。
この結果は,「やっぱりね。」という印象です。
民主党は,普天間の問題が典型的ですが,「やろうとしたけど,できなかった。」という話が多いです。
やろうという姿勢を見せただけマシと考えるのか,できもしないのに期待を持たせてやはりできませんでしたという話ばかりで信用できないと考えるのかは,その人の考え方によって違ってくると思います。
ただ,確実に言えることは,民主党が「~をします。」と言った場合の言葉の意味は,「~しようと努力します。でも,実現しない可能性も高いです。」というくらいの意味だということを理解しておかなければなりません。
藤田進太郎
事務所ウェブサイトの「業務内容ご案内」ページを改訂しました。
労使紛争の予防を中心とした労務管理のコンサルティング
準備が不十分なまま労使紛争が発生してしまうと,後になってからどれだけ適切に対応したとしても,大きな負担が生じることが多くなります。
例えば,不適切で無効な解雇を行って,労働者から訴訟が提起された場合,後になってからどれだけ優秀な弁護士に多額の費用を支払って訴訟の対応を依頼したとしても,訴訟に勝つことはできません。
労使紛争が生じてから弁護士に相談するのでは遅く,労使紛争が生じる前の段階で弁護士に相談しながら労務管理をしていく必要があります。
そうすることにより,労使紛争が表面化しても訴訟に勝つことができますし,そもそも,労使紛争自体,起こりにくくなります。
使用者がお金と手間暇をかけるべきなのは,解雇等の処分を行う前の段階,労使紛争が表面化する前の段階なのです。
四谷麹町法律事務所では,法律顧問契約を締結した会社に対し,労使紛争の予防を中心とした労務管理のコンサルティングを継続的に行っています。
法律顧問契約を結ぶことにより,事務所での面談,電話,メール等での法律相談が無料となります。
法律顧問契約の顧問料は,原則として,月額5万円(消費税別途)ですが,正社員の人数が100人を超えるお客様,法律相談に要する時間が通常想定されている時間を大幅に超えるお客様につきましては,顧問料の増額を協議させていただいています。
また,現在,四谷麹町法律事務所では,労使紛争の事前対策を重視する観点から,個別案件の弁護士費用を低額に設定する一方,顧問先についてのみ個別案件を受任する方針を採っています。
したがって,四谷麹町法律事務所に初めてご相談にいらっしゃったお客様から個別案件についての依頼を受ける場合は,個別案件についての委任契約とともに,法律顧問契約を締結していただくことになります。
労使紛争の解決
近時,労働審判・労働訴訟・団体交渉等の件数が増大しており,従来であれば労使紛争とならなかったような事案であっても,労働審判を申し立てられたり,団体交渉を申し入れられたりすることが多くなっています。
四谷麹町法律事務所は,労使紛争の解決に力を入れていますので,労働審判を申し立てられたり,社外のユニオンから団体交渉を申し入れられたりする等,労使紛争でお悩みの場合は,四谷麹町法律事務所にご相談下さい。
労使紛争の解決についての弁護士費用は,法律顧問契約を締結していることを前提として,以下の金額となります。
労働審判の弁護士費用は,一律,1件につき20万円(消費税・実費別途)ですが,労働審判で解決せずに訴訟に移行した場合は,訴訟についての弁護士費用の負担をお願いしています。
労働訴訟の弁護士費用は,原則として,30万円(消費税・実費別途)ですが,訴額・難易度等により,増額を協議させていただくことがあります。
また,控訴,上告等がなされた場合は,別途,弁護士費用の負担をお願いすることになりますが,その金額は,特段の合意がない限り,原審と同額となります。
任意交渉・団体交渉等,労働審判・労働訴訟以外紛争処理についての弁護士費用は,原則として,1件につき20万円(消費税・実費別途)ですが,事案により増額を協議させていただくことがあります。
上記いずれについても,東京地裁本庁以外の裁判所に出頭する場合等,東京23区外に出向く必要がある場合は,別途,日当の負担をお願いしています。
なお,上記弁護士費用の金額は,現時点においてのものであり,予告なく変更されることがありますので,ご了承下さい。
その他
顧問先企業から,法律問題全般の相談を受け付けています。
労働問題以外の法律問題についても,お気軽にご相談下さい。
弁護士費用は,原則として,廃止前の旧弁護士報酬基準によるものとしますが,個別事件を受任した場合の弁護士費用の具体的金額については,双方協議の上決定し,委任契約書において明示するものとします。
労使紛争の予防を中心とした労務管理のコンサルティング
準備が不十分なまま労使紛争が発生してしまうと,後になってからどれだけ適切に対応したとしても,大きな負担が生じることが多くなります。
例えば,不適切で無効な解雇を行って,労働者から訴訟が提起された場合,後になってからどれだけ優秀な弁護士に多額の費用を支払って訴訟の対応を依頼したとしても,訴訟に勝つことはできません。
労使紛争が生じてから弁護士に相談するのでは遅く,労使紛争が生じる前の段階で弁護士に相談しながら労務管理をしていく必要があります。
そうすることにより,労使紛争が表面化しても訴訟に勝つことができますし,そもそも,労使紛争自体,起こりにくくなります。
使用者がお金と手間暇をかけるべきなのは,解雇等の処分を行う前の段階,労使紛争が表面化する前の段階なのです。
四谷麹町法律事務所では,法律顧問契約を締結した会社に対し,労使紛争の予防を中心とした労務管理のコンサルティングを継続的に行っています。
法律顧問契約を結ぶことにより,事務所での面談,電話,メール等での法律相談が無料となります。
法律顧問契約の顧問料は,原則として,月額5万円(消費税別途)ですが,正社員の人数が100人を超えるお客様,法律相談に要する時間が通常想定されている時間を大幅に超えるお客様につきましては,顧問料の増額を協議させていただいています。
また,現在,四谷麹町法律事務所では,労使紛争の事前対策を重視する観点から,個別案件の弁護士費用を低額に設定する一方,顧問先についてのみ個別案件を受任する方針を採っています。
したがって,四谷麹町法律事務所に初めてご相談にいらっしゃったお客様から個別案件についての依頼を受ける場合は,個別案件についての委任契約とともに,法律顧問契約を締結していただくことになります。
労使紛争の解決
近時,労働審判・労働訴訟・団体交渉等の件数が増大しており,従来であれば労使紛争とならなかったような事案であっても,労働審判を申し立てられたり,団体交渉を申し入れられたりすることが多くなっています。
四谷麹町法律事務所は,労使紛争の解決に力を入れていますので,労働審判を申し立てられたり,社外のユニオンから団体交渉を申し入れられたりする等,労使紛争でお悩みの場合は,四谷麹町法律事務所にご相談下さい。
労使紛争の解決についての弁護士費用は,法律顧問契約を締結していることを前提として,以下の金額となります。
労働審判の弁護士費用は,一律,1件につき20万円(消費税・実費別途)ですが,労働審判で解決せずに訴訟に移行した場合は,訴訟についての弁護士費用の負担をお願いしています。
労働訴訟の弁護士費用は,原則として,30万円(消費税・実費別途)ですが,訴額・難易度等により,増額を協議させていただくことがあります。
また,控訴,上告等がなされた場合は,別途,弁護士費用の負担をお願いすることになりますが,その金額は,特段の合意がない限り,原審と同額となります。
任意交渉・団体交渉等,労働審判・労働訴訟以外紛争処理についての弁護士費用は,原則として,1件につき20万円(消費税・実費別途)ですが,事案により増額を協議させていただくことがあります。
上記いずれについても,東京地裁本庁以外の裁判所に出頭する場合等,東京23区外に出向く必要がある場合は,別途,日当の負担をお願いしています。
なお,上記弁護士費用の金額は,現時点においてのものであり,予告なく変更されることがありますので,ご了承下さい。
その他
顧問先企業から,法律問題全般の相談を受け付けています。
労働問題以外の法律問題についても,お気軽にご相談下さい。
弁護士費用は,原則として,廃止前の旧弁護士報酬基準によるものとしますが,個別事件を受任した場合の弁護士費用の具体的金額については,双方協議の上決定し,委任契約書において明示するものとします。
事務所ウェブサイトの「労働相談」ページを改訂しました。
労働相談のご案内(使用者側のみ)
四谷麹町法律事務所は健全な労使関係の維持発展のために活動している使用者側専門の法律事務所です。
労働審判,労働訴訟,団体交渉等,従業員とのトラブルでお悩みでしたら,お気軽にご相談下さい。
電話では一般論的なアドバイスしかできず,事案に適したアドバイスができないことになりがちなため,当事務所の労働相談は,面談での相談とさせていただいています。
まずはお電話の上,労働相談の日時の予約を入れていただきますようお願いします。
労働相談の予約方法
平日の9:30~17:30に,電話(03-3221-7137)でご連絡下さい。
秘書が電話に出ますので,秘書と面談日時の日程調整をお願いします。
労働相談の開始時刻は,原則として,平日の①10:00~,②13:00~,③15:00~のいずれかとなります。
弁護士 藤田 進太郎
労働相談のご案内(使用者側のみ)
四谷麹町法律事務所は健全な労使関係の維持発展のために活動している使用者側専門の法律事務所です。
労働審判,労働訴訟,団体交渉等,従業員とのトラブルでお悩みでしたら,お気軽にご相談下さい。
電話では一般論的なアドバイスしかできず,事案に適したアドバイスができないことになりがちなため,当事務所の労働相談は,面談での相談とさせていただいています。
まずはお電話の上,労働相談の日時の予約を入れていただきますようお願いします。
労働相談の予約方法
平日の9:30~17:30に,電話(03-3221-7137)でご連絡下さい。
秘書が電話に出ますので,秘書と面談日時の日程調整をお願いします。
労働相談の開始時刻は,原則として,平日の①10:00~,②13:00~,③15:00~のいずれかとなります。
弁護士 藤田 進太郎
東大社会科学研究所のアンケート調査によると,製造業派遣の原則禁止について製造現場で働く派遣社員のうち55.3%が「反対」と回答し,「賛成」は13.5%にとどまるようです。
実施により失業のリスクがかえって高まるのではないかと懸念する派遣労働者が多いとのコメントが掲載されています。
今回は,派遣会社のアンケート調査ではなく,「東大社会科学研究所」のアンケート調査ですからね。
無視することのできない結果だと思います。
確かに,正社員の労働条件が高い(高過ぎる)大企業から見れば,正社員としてまでは雇えない人も,たくさんいるでしょう。
同一企業の正社員間で大きな労働条件の格差を設定しにくく,正社員の解雇が難しい日本では,やむを得ないと思います。
円高も進んでいますし,日本国内で生産するよりも,タイなどの海外で生産した方がいいという会社も,増えています。
規制を強めれば,ますまず,国内製造業は空洞化していくことになるでしょう。
国内産業が育たなければ,正社員として雇いたくても雇えませんし,労働条件の向上もありません。
正社員化を促進したいのであれば,20年後,30年後も会社がその人件費を支払うことができるようにする必要がありますが,現状はその目処は立たないように思えます。
別の大きな問題は,派遣労働者がなりたい「正社員」は,「大企業(若しくはその関連会社)」の正社員だという点ではないでしょうか。
残念ながら,派遣労働者がなりたい「正社員」は,決して,地方の中小零細企業の正社員ではない(笑)。
また,製造業の派遣労働者は,別の業種で働くことを望まない・向いていない人が多く,求人があっても応募しないか,(コミュニケーション能力等,他の業種で求められる能力の)能力不足で採用されないか,採用されても長続きしないかということになりやすい。
製造業派遣に限った話ではありませんが,「中小零細企業で正社員として働いてみたけど,いろいろ納得できないことがあって,すぐに辞めました。以前,大手派遣会社から派遣されて派遣労働者として働いていたときの方が,快適に仕事ができて,ずっと良かったです。」というような話を耳にすることがあります。
派遣の規制を強めるのであれば,求人のミスマッチを解消する方法をよく考える必要があるのではないでしょうか?
中小零細企業の正社員になって働くのと,東京の大手派遣会社から上場企業に派遣されて働くのと,どちらがいいのでしょうか?
中小零細企業の正社員を選ばずに,東京の大手派遣会社から上場企業に派遣されて働くことを選択する人が,相当割合,いると思います。
地方の中小零細企業の正社員になるのと,東京の大手派遣会社から地方の中小零細企業に派遣されて働くのとでは,どちらがいいのでしょうか?
地方の中小零細企業の正社員を選ばずに,東京の大手派遣会社から地方の中小零細企業に派遣されて働く方がいいという人も,やはり,相当割合,いると思います。
結局,自分の魅力に見合った会社にしか就職できないし,自分の会社の魅力に見合った人しか採用できないのだと思います。
いい会社にいい労働条件で勤務したければそれに見合った魅力を身につけるしかないし,中小零細企業がいい人を採りたければそれに見合った魅力を備えた会社になるしかないのだと思います。
「失業するリスクはかえって高まる」という派遣労働者のコメントは,このような普遍的な法則を理解しているからこそのコメントだと思います。
自助努力ができないところに成功はなく,不釣り合いな関係が長続きするはずはないのです。
実施により失業のリスクがかえって高まるのではないかと懸念する派遣労働者が多いとのコメントが掲載されています。
今回は,派遣会社のアンケート調査ではなく,「東大社会科学研究所」のアンケート調査ですからね。
無視することのできない結果だと思います。
確かに,正社員の労働条件が高い(高過ぎる)大企業から見れば,正社員としてまでは雇えない人も,たくさんいるでしょう。
同一企業の正社員間で大きな労働条件の格差を設定しにくく,正社員の解雇が難しい日本では,やむを得ないと思います。
円高も進んでいますし,日本国内で生産するよりも,タイなどの海外で生産した方がいいという会社も,増えています。
規制を強めれば,ますまず,国内製造業は空洞化していくことになるでしょう。
国内産業が育たなければ,正社員として雇いたくても雇えませんし,労働条件の向上もありません。
正社員化を促進したいのであれば,20年後,30年後も会社がその人件費を支払うことができるようにする必要がありますが,現状はその目処は立たないように思えます。
別の大きな問題は,派遣労働者がなりたい「正社員」は,「大企業(若しくはその関連会社)」の正社員だという点ではないでしょうか。
残念ながら,派遣労働者がなりたい「正社員」は,決して,地方の中小零細企業の正社員ではない(笑)。
また,製造業の派遣労働者は,別の業種で働くことを望まない・向いていない人が多く,求人があっても応募しないか,(コミュニケーション能力等,他の業種で求められる能力の)能力不足で採用されないか,採用されても長続きしないかということになりやすい。
製造業派遣に限った話ではありませんが,「中小零細企業で正社員として働いてみたけど,いろいろ納得できないことがあって,すぐに辞めました。以前,大手派遣会社から派遣されて派遣労働者として働いていたときの方が,快適に仕事ができて,ずっと良かったです。」というような話を耳にすることがあります。
派遣の規制を強めるのであれば,求人のミスマッチを解消する方法をよく考える必要があるのではないでしょうか?
中小零細企業の正社員になって働くのと,東京の大手派遣会社から上場企業に派遣されて働くのと,どちらがいいのでしょうか?
中小零細企業の正社員を選ばずに,東京の大手派遣会社から上場企業に派遣されて働くことを選択する人が,相当割合,いると思います。
地方の中小零細企業の正社員になるのと,東京の大手派遣会社から地方の中小零細企業に派遣されて働くのとでは,どちらがいいのでしょうか?
地方の中小零細企業の正社員を選ばずに,東京の大手派遣会社から地方の中小零細企業に派遣されて働く方がいいという人も,やはり,相当割合,いると思います。
結局,自分の魅力に見合った会社にしか就職できないし,自分の会社の魅力に見合った人しか採用できないのだと思います。
いい会社にいい労働条件で勤務したければそれに見合った魅力を身につけるしかないし,中小零細企業がいい人を採りたければそれに見合った魅力を備えた会社になるしかないのだと思います。
「失業するリスクはかえって高まる」という派遣労働者のコメントは,このような普遍的な法則を理解しているからこそのコメントだと思います。
自助努力ができないところに成功はなく,不釣り合いな関係が長続きするはずはないのです。
労働問題FAQ
四谷麹町法律事務所のウェブサイトでは,使用者側代理人弁護士の立場から作成された労働問題のよくある質問に対する回答集を掲載しています。
できるだけ実用的な回答内容になるよう心がけたつもりですが,FAQというものの性質上,回答内容が個別の事案にそのまま当てはまるとは限らないという点についてご留意いただきますようお願いします。
個別の事案についての踏み込んだアドバイスが必要な場合は,私の労働相談(使用者側のみ)をご利用下さい。
四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎
Q1正社員の解雇が有効となるには,どのような要件を満たす必要がありますか?
Q2普通解雇・懲戒解雇において,解雇権濫用の有無を判断する具体的事情として,どのような事情を立証すればいいのですか?
Q3整理解雇において,解雇権濫用の有無を判断する具体的事情としては,どのようなものが考えられますか?
Q4懲戒解雇を行うにあたり,特に注意すべき点はどのようなものですか?
Q5懲戒解雇事由がある場合であっても,普通解雇をすることはできますか?
Q6普通解雇なら有効なのは明らかだが,懲戒解雇が有効となるかどうかは微妙な事案で,できるだけ懲戒解雇としたいと考えています。このような事案の場合,使用者はどのような解雇を行うのが安全でしょうか?
Q7試用期間中の正社員の本採用拒否をする場合,どのような点に注意する必要がありますか?
Q8正社員の整理解雇を回避するために配転命令を出したところ,拒否されました。配転命令を拒否した正社員を解雇することはできますか?
Q9正社員に対する転勤命令が有効となるためには,どのような要件を満たす必要がありますか?
Q10有期雇用労働者との間の雇用契約を終了させる際には,どのようなことに注意する必要がありますか?
Q11解雇・雇止めをした場合,労働審判・訴訟などにおいて,使用者はどのような請求を受けることが多いのでしょうか?
Q12辞めさせたい正社員がいる場合,どのように対処すればいいのでしょうか?
Q13労基法上,使用者が割増賃金(残業代等)の支払義務を負うのはどのような場合ですか?
Q14労基法37条所定の割増賃金算定の基礎となる労基法32条の労働時間とはどの範囲を指すのですか?
Q15労基法上,月給制の正社員に関する割増賃金の金額は,どのように計算することになるのですか?
Q16終業時刻を過ぎても退社しないままダラダラと会社に残っている社員がいる場合,会社としてはどのような対応をすべきですか?
Q17使用者と社員が合意することにより,以下のような定めをすることはできますか?
① 1日の所定労働時間を12時間として,基本給を1日12時間×所定労働日数勤務したことに対する対価とすること
② 週40時間,1日8時間を超えて労働した場合でも残業代を支給しないとすること
③ 残業代込みで月給30万円とすること
④ 一定額の残業手当を支給するとすること
Q18管理職には残業代を支払わなくてもいいのでしょうか?
Q19管理監督者性の判断基準は,どのようなものですか?
Q20労働条件を,募集広告に記載した条件よりも低くすることに法的な問題はありますか?
Q2160歳の定年間近な社員から,高年齢者雇用安定法により65歳までの雇用確保措置の導入が要求されているのだから,65歳まで従来と同額以上の賃金で雇用を継続して欲しいとの要求がありました。会社はこの要求に応じる必要がありますか?
Q22労働審判制度の主な特徴はどのようなものですか?
Q23労働審判の申立て件数,審理期間,紛争解決実績はどうなっていますか?
Q24労働審判を申し立てられた場合における,使用者側の主な注意事項はどのようなものですか?
Q25労働審判手続において調停が成立しなかった場合は,どうなるのですか?
Q26「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「使用者」とは雇用主のみを指すのですか?
Q27「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「労働者」とはどの範囲の者を指すのですか?
Q28使用者が団体交渉に応じているにもかかわらず,団体交渉拒否と評価され,不当労働行為となることもあるのですか?
Q29団体交渉が行き詰まった場合は,団体交渉を打ち切ることができますか?
Q30労働組合による街宣活動が違法と評価されるのは,どのような場合ですか?
四谷麹町法律事務所のウェブサイトでは,使用者側代理人弁護士の立場から作成された労働問題のよくある質問に対する回答集を掲載しています。
できるだけ実用的な回答内容になるよう心がけたつもりですが,FAQというものの性質上,回答内容が個別の事案にそのまま当てはまるとは限らないという点についてご留意いただきますようお願いします。
個別の事案についての踏み込んだアドバイスが必要な場合は,私の労働相談(使用者側のみ)をご利用下さい。
四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎
Q1正社員の解雇が有効となるには,どのような要件を満たす必要がありますか?
Q2普通解雇・懲戒解雇において,解雇権濫用の有無を判断する具体的事情として,どのような事情を立証すればいいのですか?
Q3整理解雇において,解雇権濫用の有無を判断する具体的事情としては,どのようなものが考えられますか?
Q4懲戒解雇を行うにあたり,特に注意すべき点はどのようなものですか?
Q5懲戒解雇事由がある場合であっても,普通解雇をすることはできますか?
Q6普通解雇なら有効なのは明らかだが,懲戒解雇が有効となるかどうかは微妙な事案で,できるだけ懲戒解雇としたいと考えています。このような事案の場合,使用者はどのような解雇を行うのが安全でしょうか?
Q7試用期間中の正社員の本採用拒否をする場合,どのような点に注意する必要がありますか?
Q8正社員の整理解雇を回避するために配転命令を出したところ,拒否されました。配転命令を拒否した正社員を解雇することはできますか?
Q9正社員に対する転勤命令が有効となるためには,どのような要件を満たす必要がありますか?
Q10有期雇用労働者との間の雇用契約を終了させる際には,どのようなことに注意する必要がありますか?
Q11解雇・雇止めをした場合,労働審判・訴訟などにおいて,使用者はどのような請求を受けることが多いのでしょうか?
Q12辞めさせたい正社員がいる場合,どのように対処すればいいのでしょうか?
Q13労基法上,使用者が割増賃金(残業代等)の支払義務を負うのはどのような場合ですか?
Q14労基法37条所定の割増賃金算定の基礎となる労基法32条の労働時間とはどの範囲を指すのですか?
Q15労基法上,月給制の正社員に関する割増賃金の金額は,どのように計算することになるのですか?
Q16終業時刻を過ぎても退社しないままダラダラと会社に残っている社員がいる場合,会社としてはどのような対応をすべきですか?
Q17使用者と社員が合意することにより,以下のような定めをすることはできますか?
① 1日の所定労働時間を12時間として,基本給を1日12時間×所定労働日数勤務したことに対する対価とすること
② 週40時間,1日8時間を超えて労働した場合でも残業代を支給しないとすること
③ 残業代込みで月給30万円とすること
④ 一定額の残業手当を支給するとすること
Q18管理職には残業代を支払わなくてもいいのでしょうか?
Q19管理監督者性の判断基準は,どのようなものですか?
Q20労働条件を,募集広告に記載した条件よりも低くすることに法的な問題はありますか?
Q2160歳の定年間近な社員から,高年齢者雇用安定法により65歳までの雇用確保措置の導入が要求されているのだから,65歳まで従来と同額以上の賃金で雇用を継続して欲しいとの要求がありました。会社はこの要求に応じる必要がありますか?
Q22労働審判制度の主な特徴はどのようなものですか?
Q23労働審判の申立て件数,審理期間,紛争解決実績はどうなっていますか?
Q24労働審判を申し立てられた場合における,使用者側の主な注意事項はどのようなものですか?
Q25労働審判手続において調停が成立しなかった場合は,どうなるのですか?
Q26「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「使用者」とは雇用主のみを指すのですか?
Q27「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由なくて拒むこと。」(労働組合法7条2号)は,不当労働行為の一つとして禁止されていますが,「労働者」とはどの範囲の者を指すのですか?
Q28使用者が団体交渉に応じているにもかかわらず,団体交渉拒否と評価され,不当労働行為となることもあるのですか?
Q29団体交渉が行き詰まった場合は,団体交渉を打ち切ることができますか?
Q30労働組合による街宣活動が違法と評価されるのは,どのような場合ですか?
四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,健全な労使関係こそが経済活動・社会生活の核心であると考えており,労働問題の予防・解決に力を入れています。 労働審判を申し立てられたり,ユニオンから団体交渉を申し入れられたりする等,労働問題でお悩みでしたら,弁護士藤田進太郎にご相談下さい。
解雇や残業代の問題で従業員とトラブルになり,労働審判を申し立てられたり,社外のユニオンから団体交渉を申し入れられたりするなど,労働問題の対応にお困りではありませんか?
問題社員に対する対応が,大きな精神的ストレスになっていませんか?
近年,問題社員に対する対応や雇用調整の進め方などを誤ったために,労働審判,団体交渉等において,使用者側が多額の解決金の支払を余儀なくされている事案が急増しています。
労働者が会社に不満を持った場合,インターネットで検索すれば,容易に知識を無料で獲得することができますし,相談に乗ってもらえる団体を容易に見つけることもできます。
弁護士費用を支払う収入・貯金がない労働者であっても,法テラスを利用すれば,弁護士費用を立て替えてもらうことができますので,収入・貯金が少ないことが泣き寝入りする理由にはなりません。
司法試験合格者の増加に伴い労働者の相談の受け皿となるべき弁護士の数が急増し,平成18年4月から始まった労働審判制度の利用が急増し,ユニオンの活動が活発化している等,労働問題が生じやすい環境となっています。
景気のいいときであれば,元の会社と裁判で争うよりも,より条件のいい会社に転職して新しい仕事に集中した方が労働者にとっても得になるのが通常でしたが,景気が悪い時期の場合は,転職先がなかなか見つかりませんので,裁判をしてでも元の会社から取れるだけの解決金を取ろうとするモチベーションが高くなりがちです。
現在の日本では,以前であればトラブルにならなかったようなことであっても,労働問題として紛争が表面化しやすくなっていますので,注意が必要です。
会社の業績が悪くて事業を縮小する必要がある場合や,労働者に大きな問題があり会社を辞めてもらう必要がある場合であっても,使用者が労働者を解雇する場合は一定の手順が必要となり,下準備なしでいきなり解雇して裁判になった場合は,当該解雇は無効と判断されて多額の金銭の支払を余儀なくされることが多くなります。
民法上の原則では,使用者は,正社員であっても,民法627条2項等所定の期間前に解約を申し入れてさえいれば,労働契約を自由に終了させることができるようにも思えますが,実際には,労働者の解雇は厳しく制限されています。
使用者が労働者を解雇しようとする場合には,原則として,30日以上前に解雇の予告をするか,30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないこと(労働基準法20条)はご存じの経営者も多いことと思います。
しかし,当該解雇が,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,解雇権を濫用したものとして,解雇は無効となること(労働契約法16条),そして,弁護士に相談せずにした解雇の多くが訴訟では解雇権を濫用したものとして無効と判断されていること,訴訟では「証拠」(特に書面等の客観証拠)に基づき事実認定されるのであり立証のための準備の程度で訴訟の大勢が決まってしまうことに対する認識が不十分であることが多いという印象です。
解雇が無効と判断された場合の多くは,就労不能の帰責事由が使用者にあると評価され,使用者は賃金支払義務を免れず(民法536条2項),労働者が実際には働いていない期間についての賃金についても,支払わなければならなくなることが多くなっています。
弁護士の指導なく解雇を有効に行うことは容易ではなく,解雇が無効と判断された場合の損害額も大きくなりますので,辞めさせたい労働者についても最後の最後まで解雇は行わず,労働者から任意に退職届を提出してもらえるよう努力すべきです。
やむを得ず解雇を行う場合は,弁護士の指導の下,慎重に行う必要がありますので,弁護士藤田進太郎にご相談下さい。
解雇等がなされ,労働者が退職した後になされやすい請求としては,割増賃金(残業代)の請求があります。
在職中は,残業代の不払について不満を持っている労働者であっても,職場に居づらくなることを懸念して黙っていることが多いのですが,退職後はそのような懸念がなくなりますから,割増賃金(残業代)に関する労働問題の多くは,退職後に表面化することになります。
使用者が労働者に対し,1週間につき40時間,1日につき8時間を超えて労働をさせた場合,法定休日に労働をさせた場合,午後10時から午前5時までの間(深夜)に労働をさせた場合には,労働基準法37条に基づき,原則として,割増賃金(及び通常の賃金)の支払義務を負うことになります。
労働時間,割増賃金については,労働基準法上,厳格な規制がなされており,労働者の同意があったとしても,労働基準法の規制を免れることはできません(労働基準法13条)。
つまり,「本人が納得しているのだから,労働基準法は関係ない。」というわけにはいかないということです。
例えば,1日の法定労働時間の上限は8時間ですから,労働者の同意があったとしても,1日の所定労働時間を12時間とすることはできず,8時間を超えた最後の4時間の労働は法定時間外労働になりますので,その時間に対応する法定時間外割増賃金の支払が必要となります。
また,使用者が,労働者との間で,週40時間,1日8時間を超えて労働した場合であっても残業代を支払わない旨の合意をしていたとしても,労働基準法の強行的直律的効力(労働基準法13条)により当該合意は無効となり,法定時間外労働時間に対応した労働基準法37条所定の割増賃金(及び通常の賃金)の支払義務を負うことになります。
中小零細企業などでは,残業代込みで月給30万円などと口約束して,労働者を雇っている事例が散見されますが,労働契約書,労働条件通知書,給与明細書などで残業代相当額が明示されていないと,通常の賃金にあたる部分と残業代にあたる部分を判別することができないため,残業代が全く支払われておらず,30万円全額が残業代算定の基礎となる賃金額であると認定されるのが通常です。
一定額の残業手当を支給するとすること(残業代定額制)については,所定労働時間分の賃金と時間外労働分の割増賃金に当たる部分を明確に区分して合意し,かつ,労働基準法所定の計算方法による額がその額を上回る場合には,その差額を当該賃金の支払期に支払うことを合意しているのであれば,割増賃金の支払としては有効ですが,残業手当の比率が極端に高いと極端な長時間労働を予定した労働契約と評価されかねず,労働者のモチベーションが低下したり,長時間労働により労災上の問題が生じたりするリスクがあることについては,十分な注意が必要です。
残業するように指示していないのに,労働者が終業時刻を過ぎても退社しないまま会社に残っているのが常態となっていて,それを上司が知っていながら放置していた場合に,当該労働者から,黙示の残業命令があり,使用者の指揮命令下に置かれていたなどと退職後に主張されて,終業時刻後の在社時間について割増賃金の請求を受けることがありますので,使用者としては,終業時刻後も不必要に会社に残っている労働者がいる場合は安易に放置せず,速やかに退社するよう指示する必要があります。
管理職については残業代を払っていない企業もありますが,管理職も労働基準法上の労働者ですから原則として労働基準法37条の適用があり,管理監督者(労働基準法41条2号)に該当するような場合でない限り,1日8時間を超えて労働させたような場合は,法定時間外労働時間に応じた労働基準法37条に基づく残業代(割増賃金)の支払義務を負うことになりますので,注意が必要です。
平成18年4月から,労働審判制度が開始されました。
労働審判法は,
① 労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(個別労働関係民事紛争)に関し,
② 裁判所において,裁判官(労働審判官)及び労働関係に関する専門的な知識経験を有する者(労使双方から1名ずつ選任される労働審判員合計2名)で組織する委員会が,当事者の申立てにより事件を審理し,
③ 調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み,
④ その解決に至らない場合には,労働審判(個別労働関係民事紛争について当事者間の権利義務関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判)を行う手続(労働審判手続)を設けることにより,
⑤ 紛争の実情に即した迅速,適正かつ実効的な解決を図ること
を目的とするものです(労働審判法1条)。
労働審判手続の特徴はどれも重要なものですが,私が特に注目しているのは,①迅速な解決が予定されていることと,②裁判官(労働審判官)が直接関与して権利義務関係を踏まえた調停が試みられ,調停がまとまらない場合には労働審判が行われ,労働審判に対して異議を申し立てた場合には,訴訟に移行することの2点です。
まず,①迅速な解決という点ですが,労働者の大部分は,使用者に対して不満を持ったとしても,余程の事情がなければ,1年も2年も長期間の裁判を続けることは望まないことが多く,裁判手続を取ることを躊躇することが多かったのではないかと私は考えています。
しかし,労働審判手続は,原則として3回以内の期日で審理を終結させることが予定されており(労働審判法15条2項),申立てから3か月もかからないうちにかなりの割合の事件が調停成立で終了しますので,労働者としては,利用しやすい制度と評価することができるでしょう。
これを使用者側から見れば,従来であれば表面化しなかった紛争が表面化しやすくなるということになります。
次に,②裁判官(労働審判官)が直接関与して権利義務関係を踏まえた調停が試みられ,調停がまとまらない場合には労働審判が行われ,労働審判に対して異議を申し立てた場合には,自動的に訴訟に移行する(労働審判法22条)という点も重要と考えています。
裁判官(労働審判官)と労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員2名によって権利義務関係を踏まえた調停がなされるため,調停内容は合理的なもの(社内で説明がつきやすいもの,労働者が納得しやすいもの)となりやすくなります。
調停がまとまらなければ,たいていは調停案とほぼ同内容の労働審判が出され,労働審判に対して当事者いずれかが異議を申し立てれば自動的に訴訟での解決が行われることになりますが,訴訟で争っても,裁判官(労働審判官)が関与し,権利義務関係を踏まえて出された労働審判の内容よりも自分に有利に解決する見込みが大きい事案はそれほど多くはありません。
労働審判に対して異議を申し立てれば,直ちに訴訟に移行しますので,うやむやなまま紛争が立ち消えになることは期待できません。
訴訟が長引けば労力・金銭等での負担が重くなり,コストパフォーマンスが悪くなってしまいます。
これらの点が相まって,ある程度は譲歩してでも調停をまとめる大きなモチベーションとなり,労働審判制度の紛争解決機能を飛躍的に高めているものと考えています。
労働問題は労使双方にとって非常に大きな精神的ストレスとなることが多いですが,早い段階から弁護士が関与して適切な対応をすることにより,精神的ストレスを大幅に緩和することが可能となります。
また,弁護士の指導の下,適切な手順を踏んだ上で,解雇や労働条件の設定・変更を行った場合は,紛争となるリスクが大幅に下がりますし,仮に,紛争が表面化したとしても,それは使用者側が適切な対応をしたにもかかわらず生じた紛争ですから,使用者側にとって有利な結果になることが多くなります。
他方,弁護士の指導なしに労働問題が表面化した場合,労使双方にとって大きな精神的ストレスになるばかりでなく,使用者側が適切な対応をできていない結果生じた紛争ということが多いため,訴訟等においてどれだけ優秀な弁護士に依頼したとしても,使用者側にとって不利な結果となることが多くなってしまいます。
したがって,不適切な対応がなされて労働問題が生じ,労働審判や訴訟になってから弁護士に相談するのではなく,紛争が表面化する前に弁護士に相談し,弁護士の指導の下,問題社員に対する具体的対応を検討していくことが重要となります。
四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,健全な労使関係の構築を望んでいる経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っています。
労働審判,団体交渉の対応,従業員とのトラブル等の労働問題でお悩みでしたら,四谷麹町法律事務所にご相談下さい。
四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎
|所長弁護士藤田進太郎 経歴・所属等
•東京大学 法学部 卒業
•日本弁護士連合会 労働法制委員会 委員・事務局員
•第一東京弁護士会 労働法制委員会 委員・労働契約法制部会副部会長
•経営法曹会議 会員
•全国倒産処理弁護士ネットワーク 会員
解雇や残業代の問題で従業員とトラブルになり,労働審判を申し立てられたり,社外のユニオンから団体交渉を申し入れられたりするなど,労働問題の対応にお困りではありませんか?
問題社員に対する対応が,大きな精神的ストレスになっていませんか?
近年,問題社員に対する対応や雇用調整の進め方などを誤ったために,労働審判,団体交渉等において,使用者側が多額の解決金の支払を余儀なくされている事案が急増しています。
労働者が会社に不満を持った場合,インターネットで検索すれば,容易に知識を無料で獲得することができますし,相談に乗ってもらえる団体を容易に見つけることもできます。
弁護士費用を支払う収入・貯金がない労働者であっても,法テラスを利用すれば,弁護士費用を立て替えてもらうことができますので,収入・貯金が少ないことが泣き寝入りする理由にはなりません。
司法試験合格者の増加に伴い労働者の相談の受け皿となるべき弁護士の数が急増し,平成18年4月から始まった労働審判制度の利用が急増し,ユニオンの活動が活発化している等,労働問題が生じやすい環境となっています。
景気のいいときであれば,元の会社と裁判で争うよりも,より条件のいい会社に転職して新しい仕事に集中した方が労働者にとっても得になるのが通常でしたが,景気が悪い時期の場合は,転職先がなかなか見つかりませんので,裁判をしてでも元の会社から取れるだけの解決金を取ろうとするモチベーションが高くなりがちです。
現在の日本では,以前であればトラブルにならなかったようなことであっても,労働問題として紛争が表面化しやすくなっていますので,注意が必要です。
会社の業績が悪くて事業を縮小する必要がある場合や,労働者に大きな問題があり会社を辞めてもらう必要がある場合であっても,使用者が労働者を解雇する場合は一定の手順が必要となり,下準備なしでいきなり解雇して裁判になった場合は,当該解雇は無効と判断されて多額の金銭の支払を余儀なくされることが多くなります。
民法上の原則では,使用者は,正社員であっても,民法627条2項等所定の期間前に解約を申し入れてさえいれば,労働契約を自由に終了させることができるようにも思えますが,実際には,労働者の解雇は厳しく制限されています。
使用者が労働者を解雇しようとする場合には,原則として,30日以上前に解雇の予告をするか,30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならないこと(労働基準法20条)はご存じの経営者も多いことと思います。
しかし,当該解雇が,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,解雇権を濫用したものとして,解雇は無効となること(労働契約法16条),そして,弁護士に相談せずにした解雇の多くが訴訟では解雇権を濫用したものとして無効と判断されていること,訴訟では「証拠」(特に書面等の客観証拠)に基づき事実認定されるのであり立証のための準備の程度で訴訟の大勢が決まってしまうことに対する認識が不十分であることが多いという印象です。
解雇が無効と判断された場合の多くは,就労不能の帰責事由が使用者にあると評価され,使用者は賃金支払義務を免れず(民法536条2項),労働者が実際には働いていない期間についての賃金についても,支払わなければならなくなることが多くなっています。
弁護士の指導なく解雇を有効に行うことは容易ではなく,解雇が無効と判断された場合の損害額も大きくなりますので,辞めさせたい労働者についても最後の最後まで解雇は行わず,労働者から任意に退職届を提出してもらえるよう努力すべきです。
やむを得ず解雇を行う場合は,弁護士の指導の下,慎重に行う必要がありますので,弁護士藤田進太郎にご相談下さい。
解雇等がなされ,労働者が退職した後になされやすい請求としては,割増賃金(残業代)の請求があります。
在職中は,残業代の不払について不満を持っている労働者であっても,職場に居づらくなることを懸念して黙っていることが多いのですが,退職後はそのような懸念がなくなりますから,割増賃金(残業代)に関する労働問題の多くは,退職後に表面化することになります。
使用者が労働者に対し,1週間につき40時間,1日につき8時間を超えて労働をさせた場合,法定休日に労働をさせた場合,午後10時から午前5時までの間(深夜)に労働をさせた場合には,労働基準法37条に基づき,原則として,割増賃金(及び通常の賃金)の支払義務を負うことになります。
労働時間,割増賃金については,労働基準法上,厳格な規制がなされており,労働者の同意があったとしても,労働基準法の規制を免れることはできません(労働基準法13条)。
つまり,「本人が納得しているのだから,労働基準法は関係ない。」というわけにはいかないということです。
例えば,1日の法定労働時間の上限は8時間ですから,労働者の同意があったとしても,1日の所定労働時間を12時間とすることはできず,8時間を超えた最後の4時間の労働は法定時間外労働になりますので,その時間に対応する法定時間外割増賃金の支払が必要となります。
また,使用者が,労働者との間で,週40時間,1日8時間を超えて労働した場合であっても残業代を支払わない旨の合意をしていたとしても,労働基準法の強行的直律的効力(労働基準法13条)により当該合意は無効となり,法定時間外労働時間に対応した労働基準法37条所定の割増賃金(及び通常の賃金)の支払義務を負うことになります。
中小零細企業などでは,残業代込みで月給30万円などと口約束して,労働者を雇っている事例が散見されますが,労働契約書,労働条件通知書,給与明細書などで残業代相当額が明示されていないと,通常の賃金にあたる部分と残業代にあたる部分を判別することができないため,残業代が全く支払われておらず,30万円全額が残業代算定の基礎となる賃金額であると認定されるのが通常です。
一定額の残業手当を支給するとすること(残業代定額制)については,所定労働時間分の賃金と時間外労働分の割増賃金に当たる部分を明確に区分して合意し,かつ,労働基準法所定の計算方法による額がその額を上回る場合には,その差額を当該賃金の支払期に支払うことを合意しているのであれば,割増賃金の支払としては有効ですが,残業手当の比率が極端に高いと極端な長時間労働を予定した労働契約と評価されかねず,労働者のモチベーションが低下したり,長時間労働により労災上の問題が生じたりするリスクがあることについては,十分な注意が必要です。
残業するように指示していないのに,労働者が終業時刻を過ぎても退社しないまま会社に残っているのが常態となっていて,それを上司が知っていながら放置していた場合に,当該労働者から,黙示の残業命令があり,使用者の指揮命令下に置かれていたなどと退職後に主張されて,終業時刻後の在社時間について割増賃金の請求を受けることがありますので,使用者としては,終業時刻後も不必要に会社に残っている労働者がいる場合は安易に放置せず,速やかに退社するよう指示する必要があります。
管理職については残業代を払っていない企業もありますが,管理職も労働基準法上の労働者ですから原則として労働基準法37条の適用があり,管理監督者(労働基準法41条2号)に該当するような場合でない限り,1日8時間を超えて労働させたような場合は,法定時間外労働時間に応じた労働基準法37条に基づく残業代(割増賃金)の支払義務を負うことになりますので,注意が必要です。
平成18年4月から,労働審判制度が開始されました。
労働審判法は,
① 労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(個別労働関係民事紛争)に関し,
② 裁判所において,裁判官(労働審判官)及び労働関係に関する専門的な知識経験を有する者(労使双方から1名ずつ選任される労働審判員合計2名)で組織する委員会が,当事者の申立てにより事件を審理し,
③ 調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み,
④ その解決に至らない場合には,労働審判(個別労働関係民事紛争について当事者間の権利義務関係を踏まえつつ事案の実情に即した解決をするために必要な審判)を行う手続(労働審判手続)を設けることにより,
⑤ 紛争の実情に即した迅速,適正かつ実効的な解決を図ること
を目的とするものです(労働審判法1条)。
労働審判手続の特徴はどれも重要なものですが,私が特に注目しているのは,①迅速な解決が予定されていることと,②裁判官(労働審判官)が直接関与して権利義務関係を踏まえた調停が試みられ,調停がまとまらない場合には労働審判が行われ,労働審判に対して異議を申し立てた場合には,訴訟に移行することの2点です。
まず,①迅速な解決という点ですが,労働者の大部分は,使用者に対して不満を持ったとしても,余程の事情がなければ,1年も2年も長期間の裁判を続けることは望まないことが多く,裁判手続を取ることを躊躇することが多かったのではないかと私は考えています。
しかし,労働審判手続は,原則として3回以内の期日で審理を終結させることが予定されており(労働審判法15条2項),申立てから3か月もかからないうちにかなりの割合の事件が調停成立で終了しますので,労働者としては,利用しやすい制度と評価することができるでしょう。
これを使用者側から見れば,従来であれば表面化しなかった紛争が表面化しやすくなるということになります。
次に,②裁判官(労働審判官)が直接関与して権利義務関係を踏まえた調停が試みられ,調停がまとまらない場合には労働審判が行われ,労働審判に対して異議を申し立てた場合には,自動的に訴訟に移行する(労働審判法22条)という点も重要と考えています。
裁判官(労働審判官)と労働関係に関する専門的な知識経験を有する労働審判員2名によって権利義務関係を踏まえた調停がなされるため,調停内容は合理的なもの(社内で説明がつきやすいもの,労働者が納得しやすいもの)となりやすくなります。
調停がまとまらなければ,たいていは調停案とほぼ同内容の労働審判が出され,労働審判に対して当事者いずれかが異議を申し立てれば自動的に訴訟での解決が行われることになりますが,訴訟で争っても,裁判官(労働審判官)が関与し,権利義務関係を踏まえて出された労働審判の内容よりも自分に有利に解決する見込みが大きい事案はそれほど多くはありません。
労働審判に対して異議を申し立てれば,直ちに訴訟に移行しますので,うやむやなまま紛争が立ち消えになることは期待できません。
訴訟が長引けば労力・金銭等での負担が重くなり,コストパフォーマンスが悪くなってしまいます。
これらの点が相まって,ある程度は譲歩してでも調停をまとめる大きなモチベーションとなり,労働審判制度の紛争解決機能を飛躍的に高めているものと考えています。
労働問題は労使双方にとって非常に大きな精神的ストレスとなることが多いですが,早い段階から弁護士が関与して適切な対応をすることにより,精神的ストレスを大幅に緩和することが可能となります。
また,弁護士の指導の下,適切な手順を踏んだ上で,解雇や労働条件の設定・変更を行った場合は,紛争となるリスクが大幅に下がりますし,仮に,紛争が表面化したとしても,それは使用者側が適切な対応をしたにもかかわらず生じた紛争ですから,使用者側にとって有利な結果になることが多くなります。
他方,弁護士の指導なしに労働問題が表面化した場合,労使双方にとって大きな精神的ストレスになるばかりでなく,使用者側が適切な対応をできていない結果生じた紛争ということが多いため,訴訟等においてどれだけ優秀な弁護士に依頼したとしても,使用者側にとって不利な結果となることが多くなってしまいます。
したがって,不適切な対応がなされて労働問題が生じ,労働審判や訴訟になってから弁護士に相談するのではなく,紛争が表面化する前に弁護士に相談し,弁護士の指導の下,問題社員に対する具体的対応を検討していくことが重要となります。
四谷麹町法律事務所所長弁護士藤田進太郎は,健全な労使関係の構築を望んでいる経営者のお手伝いをしたいという強い思いを持っています。
労働審判,団体交渉の対応,従業員とのトラブル等の労働問題でお悩みでしたら,四谷麹町法律事務所にご相談下さい。
四谷麹町法律事務所
所長弁護士 藤田 進太郎
|所長弁護士藤田進太郎 経歴・所属等
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労働相談のご案内(使用者側のみ)
四谷麹町法律事務所は健全な労使関係の維持発展のために活動している使用者側専門の法律事務所です。
労働審判,労働訴訟,団体交渉等,従業員とのトラブルでお悩みでしたら,お気軽にご相談下さい。
電話では一般論的なアドバイスしかできず,事案に適したアドバイスができないことになりがちなため,当事務所の労働相談は,面談での相談とさせていただいています。
まずはお電話の上,労働相談の日時の予約を入れていただきますようお願いします。
労働相談の予約方法
平日の9:30~17:30に,電話(03-3221-7137)でご連絡下さい。
秘書が電話に出ますので,秘書と面談日時の日程調整をお願いします。
労働相談の開始時刻は,原則として,平日の①10:00~,②13:00~,③15:00~のいずれかとなります。
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本件は,航空会社である被控訴人が運行する航空機の客室乗務員として勤務する控訴人らが,被控訴人に対し,雇用契約上,フライト編成時の人員に欠員が生じていない場合であっても,フライト業務時間が12時間を超えたときには欠員手当を支払うことが定められていたと主張し,平成12年4月分から平成21年3月分までの間に発生したとする欠員手当の合計額とこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案です。
原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らが控訴しました。
本判決は,被控訴人の日本人客室乗務員に対する欠員手当の支払義務は,フライト出発時の合計編成人員に欠員が発生した場合に限り発生するものというべきであるから,実際のフライト業務時間が12時間を超えた場合には出発時に欠員が生じていないときでも請求できるとの控訴人らの主張は採用することができないとして,原審と同様,控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきであると判断し,控訴をいずれも棄却しました。
原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らが控訴しました。
本判決は,被控訴人の日本人客室乗務員に対する欠員手当の支払義務は,フライト出発時の合計編成人員に欠員が発生した場合に限り発生するものというべきであるから,実際のフライト業務時間が12時間を超えた場合には出発時に欠員が生じていないときでも請求できるとの控訴人らの主張は採用することができないとして,原審と同様,控訴人らの請求はいずれも理由がないから棄却すべきであると判断し,控訴をいずれも棄却しました。
労働審判で調停が成立した場合,調停条項に,「申立人及び相手方は,本件紛争の経緯及び本調停の内容を,正当な理由なく(みだりに)第三者に口外しないことを相互に約束する。」といった守秘義務条項を入れることがあります。
労使間で紛争があったこと,その解決に当たって取り決められた合意内容を秘密にすることは,労使双方にとってメリットがあるのが通常ですので,原則的には調停条項に守秘義務条項を入れるべきでしょう。
当事者が守秘義務条項を入れるのに反対した場合は,その動機が気になるところです。
弁護士 藤田 進太郎
労使間で紛争があったこと,その解決に当たって取り決められた合意内容を秘密にすることは,労使双方にとってメリットがあるのが通常ですので,原則的には調停条項に守秘義務条項を入れるべきでしょう。
当事者が守秘義務条項を入れるのに反対した場合は,その動機が気になるところです。
弁護士 藤田 進太郎
労働審判において,相手方代理人弁護士が答弁書を期限までに提出できないことがあります。
これに対し,期限までに答弁書を提出するのは当然のことであるという意見が多いですが,なぜ,期限までに答弁書を提出できないことがあるのでしょうか?
まず,そもそも,答弁書提出期限を過ぎてから,労働審判の対応の依頼を受けることがあります。
依頼を受けた時点で期限が過ぎているのですから,当然,提出期限には間に合いません。
また,答弁書提出期限は過ぎていなくても,答弁書提出期限の2~3日前に労働審判の対応の依頼を受けることがあります。
私は,答弁書提出期限を過ぎてから依頼を受けた事案で,依頼を受けたその日(事務所が休みとなる土曜日)に答弁書を完成させ,即日,答弁書を裁判所に発送したことがありますが,弁護士は通常,当日から数日分は予定が詰まっていますので,そのような例外的な対応は極めて困難です。
私も,土曜日に相談を受けることは,通常は行っていません。
証拠がその場にそろっておらず,即日,答弁書を起案したのでは,十分な反論立証が難しいケースも多いことと思います。
答弁書提出期限を守れないことを問題視する意見の中には,このような状況を理解していないと思われるものが多くあります。
どうも,労働審判の申立書が相手方会社に届いてから3週間くらいは時間があるのだから,当然,答弁書を期限までに提出できるのだと思い込んでいる人が多いようです。
その結果,「相手方会社が限られた期間で準備することが大変なのは『理解』しているが,答弁書提出期限を守るのは当然である。弁護士がついているのに,提出期限を守らないなんて,理解できない。そんなこと,一般社会では通用しない。」といったコメントがなされるのだと思います。
これでは,「理解」が不十分と言わざるを得ません。
現実には,申立書が相手方会社に届いてから相手方代理人弁護士のところに相談に来るまでには,(特に,顧問弁護士のいない中小零細企業の場合)相当のタイムラグがあります。
上記のとおり,提出期限を過ぎてから相談を受けることもありますし,提出期限直前に相談を受けることはザラにあります。
申立書作成提出の場面とは,事情が大きく異なるのです。
相手方代理人弁護士が依頼を受けてから2週間以内に答弁書を提出すれば足りるというのであれば,労働事件に慣れた弁護士であれば,たいていは問題が生じないのでしょうけどね。
では,どのような処方箋が必要となるのでしょうか?
私は,相手方会社が弁護士への相談を申立書が届いてからすぐにする必要があるということを,周知徹底することが,何よりも重要だと思います。
この周知徹底を怠っている状態で,相手方会社を非難しても始まりません。
私も,微力ながら,「労働審判手続申立書が裁判所から届いたら,すぐに弁護士に相談して下さい。理由は…です。」といった広報活動を行うことで,より円滑な労働審判手続の実施に貢献していきたいと考えています。
企業担当者の方,ぜひ,労働審判手続申立書が会社に届いたら,すぐに弁護士に相談するようにして下さい!!
労働審判手続では,訴訟の場合のような猶予はありません。
これに対し,期限までに答弁書を提出するのは当然のことであるという意見が多いですが,なぜ,期限までに答弁書を提出できないことがあるのでしょうか?
まず,そもそも,答弁書提出期限を過ぎてから,労働審判の対応の依頼を受けることがあります。
依頼を受けた時点で期限が過ぎているのですから,当然,提出期限には間に合いません。
また,答弁書提出期限は過ぎていなくても,答弁書提出期限の2~3日前に労働審判の対応の依頼を受けることがあります。
私は,答弁書提出期限を過ぎてから依頼を受けた事案で,依頼を受けたその日(事務所が休みとなる土曜日)に答弁書を完成させ,即日,答弁書を裁判所に発送したことがありますが,弁護士は通常,当日から数日分は予定が詰まっていますので,そのような例外的な対応は極めて困難です。
私も,土曜日に相談を受けることは,通常は行っていません。
証拠がその場にそろっておらず,即日,答弁書を起案したのでは,十分な反論立証が難しいケースも多いことと思います。
答弁書提出期限を守れないことを問題視する意見の中には,このような状況を理解していないと思われるものが多くあります。
どうも,労働審判の申立書が相手方会社に届いてから3週間くらいは時間があるのだから,当然,答弁書を期限までに提出できるのだと思い込んでいる人が多いようです。
その結果,「相手方会社が限られた期間で準備することが大変なのは『理解』しているが,答弁書提出期限を守るのは当然である。弁護士がついているのに,提出期限を守らないなんて,理解できない。そんなこと,一般社会では通用しない。」といったコメントがなされるのだと思います。
これでは,「理解」が不十分と言わざるを得ません。
現実には,申立書が相手方会社に届いてから相手方代理人弁護士のところに相談に来るまでには,(特に,顧問弁護士のいない中小零細企業の場合)相当のタイムラグがあります。
上記のとおり,提出期限を過ぎてから相談を受けることもありますし,提出期限直前に相談を受けることはザラにあります。
申立書作成提出の場面とは,事情が大きく異なるのです。
相手方代理人弁護士が依頼を受けてから2週間以内に答弁書を提出すれば足りるというのであれば,労働事件に慣れた弁護士であれば,たいていは問題が生じないのでしょうけどね。
では,どのような処方箋が必要となるのでしょうか?
私は,相手方会社が弁護士への相談を申立書が届いてからすぐにする必要があるということを,周知徹底することが,何よりも重要だと思います。
この周知徹底を怠っている状態で,相手方会社を非難しても始まりません。
私も,微力ながら,「労働審判手続申立書が裁判所から届いたら,すぐに弁護士に相談して下さい。理由は…です。」といった広報活動を行うことで,より円滑な労働審判手続の実施に貢献していきたいと考えています。
企業担当者の方,ぜひ,労働審判手続申立書が会社に届いたら,すぐに弁護士に相談するようにして下さい!!
労働審判手続では,訴訟の場合のような猶予はありません。
労基法35条1項は,「使用者は,労働者に対して,毎週1回の休日を与えなければならない。」と規定していますが,どの日が法定休日なのか特定することまでは必ずしも要求していません。
就業規則,労働契約等に法定休日の定めがあればそれによりますが,何の定めもない場合は,どのように考えればいいのでしょうか?
例えば,7日とか,8日,続けて労働させた場合に,労基法37条に基づき法定休日割増賃金の支払義務が生じるかが問題となることがあります。
この場合,通常の賃金は支払っているでしょうから,差額の35%増し部分の支払義務の有無が問題となるのが通常です。
この点,労働契約が短期間に限定されていた事案に関し,阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)は,勤務開始日から7日目が法定休日であると認定しました。
会社側は,労基法35条2項が変形週休制を認めており,4週間を通じれば4日以上の休日があるから休日が確保されていると主張しましたが,変形週休制の起算日が明らかでないことを理由に,会社の主張を排斥しています。
阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)における休日割増賃金の請求に関する判断は,以下のとおりです。
労基法35条1項は,「使用者は,労働者に対して,毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定するから,勤務開始日から7日目である勤務時間・残業代一覧表記載の平成19年12月19日及び平成20年1月23日は法定休日であると認められる。
したがって,労基法37条1項,労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令により,割増賃金の基礎となる賃金に0.35を掛けた1時間あたり700円が休日割増賃金となる。
よって,原告は法定休日に8時間労働しているから,5600円の休日割増賃金を請求でき,休日割増賃金の額は,勤務時間・残業代一覧表の「休日」欄記載のとおりとなる。
この点,被告は,労基法35条2項が変形週休制を認め,4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者には適用しないと規定し,原告は4週間を通じれば4日以上の休日があるから,休日が確保されていると主張する。
しかし,当然,変形週休制は,特定の起算日から4週間という単位期間を前提とする制度である。
起算日を明らかにすることにより,労働者に変形週休制がいつ始まるか明らかにし,使用者に対しては,起算日を適当に移動させて,変形週休制を恣意的に利用し,濫用することを防ぐことができる。
そして,労基法施行規則12条の2第2項は,「使用者は,法三十五条第2項の規定により労働者に休日を与える場合には,就業規則その他これに準ずるものにおいて,四日以上の休日を与えることとする四週間の起算日を明らかにするものとする」と規定する。
これらによれば,起算日が特定できない以上,変形週休制は利用することができないと解される。
そして,本件全証拠によっても,起算日は明らかでなく,変形週休制は採用できない。
よって,被告の主張は採用できない。
なお,被告は,行政通達(昭和22年9月13日発基第17号)に「出来る限り第三二条の二第一項に準じて」とあることを根拠に反論するが,この通達は1か月単位の変形労働時間制を採用する場合と同様に休日の特定をするように求めるものにすぎない。
就業規則,労働契約等に法定休日の定めがあればそれによりますが,何の定めもない場合は,どのように考えればいいのでしょうか?
例えば,7日とか,8日,続けて労働させた場合に,労基法37条に基づき法定休日割増賃金の支払義務が生じるかが問題となることがあります。
この場合,通常の賃金は支払っているでしょうから,差額の35%増し部分の支払義務の有無が問題となるのが通常です。
この点,労働契約が短期間に限定されていた事案に関し,阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)は,勤務開始日から7日目が法定休日であると認定しました。
会社側は,労基法35条2項が変形週休制を認めており,4週間を通じれば4日以上の休日があるから休日が確保されていると主張しましたが,変形週休制の起算日が明らかでないことを理由に,会社の主張を排斥しています。
阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)における休日割増賃金の請求に関する判断は,以下のとおりです。
労基法35条1項は,「使用者は,労働者に対して,毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」と規定するから,勤務開始日から7日目である勤務時間・残業代一覧表記載の平成19年12月19日及び平成20年1月23日は法定休日であると認められる。
したがって,労基法37条1項,労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令により,割増賃金の基礎となる賃金に0.35を掛けた1時間あたり700円が休日割増賃金となる。
よって,原告は法定休日に8時間労働しているから,5600円の休日割増賃金を請求でき,休日割増賃金の額は,勤務時間・残業代一覧表の「休日」欄記載のとおりとなる。
この点,被告は,労基法35条2項が変形週休制を認め,4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者には適用しないと規定し,原告は4週間を通じれば4日以上の休日があるから,休日が確保されていると主張する。
しかし,当然,変形週休制は,特定の起算日から4週間という単位期間を前提とする制度である。
起算日を明らかにすることにより,労働者に変形週休制がいつ始まるか明らかにし,使用者に対しては,起算日を適当に移動させて,変形週休制を恣意的に利用し,濫用することを防ぐことができる。
そして,労基法施行規則12条の2第2項は,「使用者は,法三十五条第2項の規定により労働者に休日を与える場合には,就業規則その他これに準ずるものにおいて,四日以上の休日を与えることとする四週間の起算日を明らかにするものとする」と規定する。
これらによれば,起算日が特定できない以上,変形週休制は利用することができないと解される。
そして,本件全証拠によっても,起算日は明らかでなく,変形週休制は採用できない。
よって,被告の主張は採用できない。
なお,被告は,行政通達(昭和22年9月13日発基第17号)に「出来る限り第三二条の二第一項に準じて」とあることを根拠に反論するが,この通達は1か月単位の変形労働時間制を採用する場合と同様に休日の特定をするように求めるものにすぎない。
「業務の遂行に通常必要とされる時間」(労基法38条の2第1項ただし書き)とは,どのような時間のことを意味するのでしょうか?
阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)は,以下のように述べて,本条1項ただし書きの「業務の遂行に通常必要とされる時間」も,2項,3項と同様に解釈され,一定の時間を意味し,「各日の状況や従事する労働者等により実際に必要とされる時間には差異があっても,平均的にみて当該業務の遂行に必要とされる時間」を意味すると判示しています。
労基法38条の2第1項ただし書きについて検討する前提として,本条2項,3項について述べる。
本条2項,3項は,1項ただし書きによる通常必要時間のみなし制が,通常必要労働時間数の判定等運用上の困難のみならず紛争のきっかけを含むことから,その実態を熟知している労使間で協議した上で決めることが適当であるとの趣旨で定められている。
本条2項の労使協定について,労基法施行規則24条の2の第3項の届出は,様式第12号によるものとし,様式第12号は一日単位の協定労働時間,つまり,1日あたり何時間という具体的な時間を定めるものとされている。
本条についての解釈例規(昭和63年1月1日労働基準局長通達第1号)は,事業場外労働における労働時間の算定方法につき,「(イ) 原則」について,「労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において,労働時間を算定し難いときは,所定労働時間労働したものとみなされ」,「(ロ) 当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合」について,「なお,当該業務の遂行に通常必要とされる時間とは,通常の状態でその業務を遂行するために客観的に必要とされる時間であること」,「(ハ) 労使協定が締結された場合」について,「(ロ)の当該業務の遂行に通常必要とされる時間については,業務の実態が最もよくわかっている労使間で,その実態を踏まえて協議した上で決めることが適当であるので,労使協定で労働時間を定めた場合には,当該時間を,当該業務の遂行に通常必要とされる時間とすることとしたものであること」としている。
以上のことからすれば,本条1項ただし書きの「業務の遂行に通常必要とされる時間」も,2項,3項と同様に解釈され,一定の時間を意味すると解すべきである。
そして,本条が「通常」必要とされる時間と規定していることから,各日の状況や従事する労働者等により実際に必要とされる時間には差異があっても,平均的にみて当該業務の遂行に必要とされる時間を意味すると解される。
阪急トラベルサポート事件東京地裁平成22年7月2日判決(労経速2080-3)は,以下のように述べて,本条1項ただし書きの「業務の遂行に通常必要とされる時間」も,2項,3項と同様に解釈され,一定の時間を意味し,「各日の状況や従事する労働者等により実際に必要とされる時間には差異があっても,平均的にみて当該業務の遂行に必要とされる時間」を意味すると判示しています。
労基法38条の2第1項ただし書きについて検討する前提として,本条2項,3項について述べる。
本条2項,3項は,1項ただし書きによる通常必要時間のみなし制が,通常必要労働時間数の判定等運用上の困難のみならず紛争のきっかけを含むことから,その実態を熟知している労使間で協議した上で決めることが適当であるとの趣旨で定められている。
本条2項の労使協定について,労基法施行規則24条の2の第3項の届出は,様式第12号によるものとし,様式第12号は一日単位の協定労働時間,つまり,1日あたり何時間という具体的な時間を定めるものとされている。
本条についての解釈例規(昭和63年1月1日労働基準局長通達第1号)は,事業場外労働における労働時間の算定方法につき,「(イ) 原則」について,「労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において,労働時間を算定し難いときは,所定労働時間労働したものとみなされ」,「(ロ) 当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合」について,「なお,当該業務の遂行に通常必要とされる時間とは,通常の状態でその業務を遂行するために客観的に必要とされる時間であること」,「(ハ) 労使協定が締結された場合」について,「(ロ)の当該業務の遂行に通常必要とされる時間については,業務の実態が最もよくわかっている労使間で,その実態を踏まえて協議した上で決めることが適当であるので,労使協定で労働時間を定めた場合には,当該時間を,当該業務の遂行に通常必要とされる時間とすることとしたものであること」としている。
以上のことからすれば,本条1項ただし書きの「業務の遂行に通常必要とされる時間」も,2項,3項と同様に解釈され,一定の時間を意味すると解すべきである。
そして,本条が「通常」必要とされる時間と規定していることから,各日の状況や従事する労働者等により実際に必要とされる時間には差異があっても,平均的にみて当該業務の遂行に必要とされる時間を意味すると解される。