本が好き 悪口言うのもちょっと好き

読書日記です。っていうほど読書量が多いわけではないけれど。。。

自壊する帝国 佐藤優

2007-01-14 | 小説

 年末から更新をサボってしまってました。今年は、数より質で読書したいと思います。質というのは読む本の質ということではなく、私の側の問題です。ただただ、読み飛ばすような本はやめて、じっくり考えるような本を読みたいと思っています。  

 

 ところで、今年のブログ1冊目はの本書は、ロシア外交官としてソ連の崩壊を見つめた著者によるノンフィクションです。この人は、鈴木宗男議員の事件の時に逮捕された人なのですねぇ。ちょっと悪人顔で、なんか印象はとても悪いですが、この本を読んでかなり印象が変わって来ました。

 

 実は著者と私は同じ大学の出身です。著者とは2歳しか違わないので、実はキャンパスですれ違っていたかもしれないのです。あのキャンパスで、こんなに真剣に学問をしていた人がいたんだ・・・・ということが、あまりにも自分と対象的で、無為に過ごしてしまった自分の学生時代を心から後悔しながら読みました。

 

 この本を書くことで著者は、現代日本人への警鐘としたいという意図があるようですが、あまりにも何も考えずに生きてきた私には、なかなかそれは汲み取れませんでした。それでも沢山沢山感じるところはありました。なかなかまとめきれないのですが、その中で、ロシア共産党第二書記だった、アレクセイ・イリイン氏の言葉が最もショックでした。

 

たとえば、「31アイスクリーム」だ。ロシアのアイスクリームは「エスキモー(チョコレートをコーティングした棒についたアイスクリーム)」、「スタカンチク(ウェハースのカップに入ったアイスクリーム)」で誰もが満足してい。しかしひとたび西側から三十一種類のアイスクリームが入ってくると、子供のみならず大人もみんなそれを欲しがる。車にしてもラジカセにしても欲望が無限に拡大していく。この欲望、を抑えることができるのは思想、倫理だけだ。社会主義思想は欲望に打ち勝つ力をずっと昔になくしていた。

 

 私は、思想や倫理が欲望に打ち勝つ力をもっているかどうか疑問ではありますが、しかしそれ意外に人間の欲望に打ち勝つ力を持っている存在があるとは思えません。東西冷戦は、様々な局面があったのでしょうが、人々の欲望を野放しにするかしないのかという面での戦いでもあったのだなと理解できました。そして、欲望に引きずられて、イデオロギーを失ったまま国家が向かう先はどこになるのか・・・・。不安ですね。

 


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