ブログの更新をサボっていました。その間に本を読んでいなかったわけではないのですが、ペースは少し落ちていました。特にこの”昭和史”は、2週間くらいかかったかなぁ。
この本は、私のような昭和史初心者にはぴったりの本です。というのは、この本は、編集者からの「学校でほとんど習わなかったので昭和史のシの字も知らない私たち世代のために、手ほどき的な授業をしていただけたら、たいそう日本の明日のためになると思うのですが」という依頼で始まっているからです。
南京事件、2.26事件、真珠湾、ミッドウェー開戦とか、単語としてはいくつも知っているにもかかわらず、それらを結ぶ線が頭の中になく、日中戦争、第二次世界大戦、太平洋戦争の違いも良くわからない。恥ずかしながらそんな私ですが、これは決して私だけのことではないと思います。
自分が大人になってから結構時間が経ち、この間、決して意識は高くなかったものの、世の中の流れを少しは見てきました。例えば戦争や軍隊に対する、日本人の意識が変わってきていることも、自分の意識の変化とともに実感しています。つまり、「ある価値観は絶対ではない」ということをこの年になってやっと認識できるようになって、「戦争を是」とする価値観が再び台頭する可能性があるということに気がついてきたのです。
半藤さんは、1926年から45年までの歴史を語る中で、いくつかのターニングポイントを指摘しています。そして、そこで政治家(軍人)の決断をが間違ってしまったことを明らかにしています。しかし、考えてみれば、例えば”日本の敗戦”という結果を”非”とした場合、ある決断を「間違った」と言えるのですが、その後の日本の発展までを考慮に入れると、何が「間違い」か、少し曖昧になってくる。歴史に学ぶというのは、本当に難しいです。
初心者には最適と言いながら、実際この本を読んだからと言って、何もわからないのです。後は、一人一人がじっくりと、学んで、考えなければいけない。
最後の章に半藤さん自身が、この時代の歴史から学んだ教訓が示されています。
1.国民的熱狂を作ってはいけない。それに流されてはいけない
2.最大の危機において、日本人は抽象的な観念論を好み、具体的な理性的な方
法論をまったく検討しようとしない。
3.小集団エリート主義の弊害
4.国際的常識への無理解
5.何かことが起こった時、対症療法的に、すぐに成果を求める短兵急な発想
全く、今の日本そのものではないでしょうか。そして、日本の社会を構成する、様々な組織で、この事実は頻繁に見られるのではないでしょうか。私達は、人間の集団というものは、本当に歴史から学び、成長するなんてことができるのだろうかと、不安になってきます。 とは言え、とにかく、知らないよりは知っていたほうが絶対によい。知っている人が100人よりは1000人の方が絶対によいとは思いますが。
結論のない文章になってしまいました。この本1冊であの時代が理解できるわけではないのですが、流れを頭に入れるのには最適で、読み物としてもとても引きこまれる本でした。