ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

イングマール・ベルイマン・4~『不良少女モニカ』

2022年03月15日 | 1950年代映画(外国)
『不良少女モニカ』(イングマール・ベルイマン監督、1953年)を観た。

スウェーデンの港町。
陶磁器店の配達係をしているハリーは、カフェで、煙草の火を借りるモニカと知り合う。
八百屋で働くモニカが「今夜映画に連れてって」と、ハリーに誘う。
要領も悪く大人しいハリーは、モニカとの出会いに幸せを感じる。

映画を観たあと二人は湾の見える丘に行き、恋は急速に進んでいく。
その後、ハリーの家を訪れたモニカだったが、ハリーの父が帰ってきて二人の抱擁は中断される。

狭いアパートで家族と暮らすモニカは、酔っぱらいの父親と喧嘩をし家出を決意する。
その足でハリーの家へ行くけれど、家にモニカを泊まらせるわけにもいかないハリーは、二人して父親の所持している船の船室に向かう。
一夜を過ごしたハリーは、翌朝、寝過ごしてしまってそこから職場へ向かったが、雇い主から遅刻の苦情を言われ仕事を辞めてしまう。
ハリーはせいせいして船に戻り、家に帰りたがらないモニカと共に、幸せに満ち足りた気分一杯で、人気のない岸辺に向かって自由に船を走らせていった・・・

ハリーが19歳でモニカは17歳。
8歳の時、ハリーの母親は亡くなっていて、父親と二人暮らしをしている。
その父親も具合を悪くして療養所に入り、叔母が世話をするようになる。
片や、モニカの家では彼女の下に3人の幼な子がいて、アパートの部屋も小さく、モニカは常に落ち着かない状態にいる。
そんな二人が出会って、それこそ二人だけの幸福のときを過ごす。
そして、モニカは妊娠する。

ハリーの叔母の計らいでめでたく二人は結婚したが、若い二人にとって生活の現実は甘くはない。
ハリーはモニカと子のために仕事をし出したが、モニカにはこの貧しい生活が耐えられなくなっていく。
まだ青春を謳歌できる年齢のはずのモニカにとって、今の現実が耐えられない。
家庭のために将来に向かって希望を持ち続けるハリーだが、モニカに対してどのようにも対処ができない。
社会は貧しい若者の家庭に対し、努力の方法もなくうち捨てていく。
貧しさが二人を傷つけ、その結果、破局に至り離婚する。
だがハリーは、モニカの想い出を抱き、引き取った子を育てようとしていく。

この作品は以前に観たように記憶していたが、実際に観てみたら初見だった。
ベルイマン作品を劇場で意識して観るようになったのは、『仮面/ペルソナ』(1966年)以後だから、
それ以前の作品をテレビで観たりしても相当数の作品が未見のままとなっている。
私にとってこの監督は昔から重要な人なので、少しずつでも今後も観ていこうかなと考えている。

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