ポケットの中で映画を温めて

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『女ともだち』を再度観て

2021年01月24日 | 1950年代映画(外国)
『女ともだち』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督、1956年)を再度観た。

場所はイタリアのトリノ。
クレリアは洋装店の支配人として着任するため、ローマからやって来る。
宿泊するホテルに着くと、隣りの部屋で若い女が自殺未遂を起こす事件に遭遇する。
警察の聴取を受けたクレリアのところに自殺未遂者ロゼッタの友達モミーナが訪れて、ロゼッタの行為の原因を知るための協力をクレリアに頼む。
これが切っ掛けとなって、クレリアはモミーナの女友達ネネ、マリエッラとも知り合う・・・

正直言って、しんどい作品である。
5人の会話体の物語に、その相手となる男たちも絡んでくる。
その物語の先は、どこへどのように落ち着くかは後半になるまでわからず、観ていても常に不安定さがつきまとう。
それがアントニオーニの狙いと言ってしまえばそれまでだが観ている方は落ち着かない。

話はこうである。
モミーナは夫との関係が冷え切っていて、愛人と情事を重ねている。
女流彫刻家のネネは画家ロレンツォを夫としているが、自殺未遂したロゼッタはこのロレンツォに恋している。
ネネは夫とロゼッタの関係を知っていながら、絵画個展が失敗したロレンツォの苦しみも理解している。
ローマから着任したクレリアは、開店予定の店を設計しているチェザレの助手、カルロと恋仲になる。
モミーナは設計士のチェザレを部屋に誘う。

クレリアは、自殺未遂から回復したロゼッタが立ち直るために、ロレンツォを諦めて自分の店で働くよう勧める。
しかし、モミーナはロゼッタの恋心を知ると、内心面白がってけしかける。
こうなるとロゼッタは益々ロレンツォに夢中になり、クレリアの言葉も届かなくなる。

クレリアの店の開店祝いでのファッション・ショーに女友だちが集まる。
ネネはロゼッタに、ロレンツォを譲って自分は個展を開くためにアメリカへ渡る覚悟だと話す。
ロゼッタはネネからの言葉をロレンツォに話す。
それを知ったロレンツォは、ネネの心持ちを察してロゼッタに別れを告げる。
ロゼッタは絶望し、自殺して本当に死んでしまう。

クレリアはロゼッタを煽ったモミーナに怒り、人前で罵倒する・・・

話は終盤に向かってまだ続くが、ここにあるクレリア以外の女友だちの世界は、欺瞞とか虚飾で溢れている。
そればかりか、妬みも絡んで粉飾された上流社会の中で、彼女らの内心はドロドロしている。

アントニオーニの言わんとすることはラストの方になって理解できてくるが、
それにしても前半をもう少し単純にするとかして分かりやすくしてほしかった。


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