原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

エゾリスとの遭遇

2015年05月29日 08時57分23秒 | 自然/動植物
そやつは突然のように現れた。現れたというより「そこにいた」と言った方が正しい。いつもの散策道のすぐ側で木の実にかぶりついていた(朝食中)。警戒心など全くない様子だった。見間違えたかと二度見したほど、堂々としていた。静かに近づいてカメラを構えた。数枚撮影、すると木の実を落としてこちらに向き直った。目が合う。逃げるのかなとカメラを構え直した。しかし、コヤツはじっとこちらを見るだけ。にらみ合うこと数分(二分程度か)。微動だにしない。敵と思わないのか、人に慣れているのか?

ひょっとして、攻撃するつもりなのか?不安がちらり。思わず数歩後ずさり。しかし相変わらず動かない。敵が近づくと、身動きをやめて気づかれないようにするという彼らの習性が頭に浮かんだ。1時間でも2時間でもじっとしていることがあるらしい。それなのかもしれない。ならば、敵ではないように静かに通り過ぎればよい。足をゆっくり前に進めて、横をすり抜けるように通った。彼(彼女かも)はそれでもじっと動かずそのまま。写真を撮りながらそのまま離れた。エゾリスとの遭遇はこうして終わった。
野生との接触はいろいろと考えさせられる。彼らのテレトリーに入り込んでいるのは人間。彼らの邪魔になる存在であることは確かだ。そのことをまず人間が認識すべきなのだろう。人の家にはいりこんで傍若無人の振る舞いはやはりまずい。彼らの迷惑にならないように、そっと立ち去る。それがやはり礼儀だ。


エゾリスはユーラシア大陸に生息する本種の亜種にあたるもの。北海道でしか見ることができない。本種の学名はSciurus valgaris。訳すると平凡なリスという意味らしい。木鼠(きねずみ)とも呼ばれる。
太い尻尾(16~20㎝)は木のぼりなどをする時、微妙なバランスを保つ役割があるという。体毛は濃い茶色だった。これは夏毛に変わった後ということ(冬毛は茶灰色)。しかし耳介には長い毛が伸びていた。夏毛になるとこれは消えるはず。となると、まだ大人になっていない子供のエゾリスなのかもしれない。彼らの寿命は6~7年だが、天敵(キタキツネ、タカなど)の存在で2~4年が平均となる。無事で長生きをしてもらいたい。同時にあまり人間社会に近づかないで生きぬいてほしい。


*シマリスは冬眠をするがエゾリスは冬眠をしない。冬でも原野を走り回っている。子育ては雌の仕事で雄は一切かかわらない。ただ巣作りは協力する。単独行動が基本だが、基本的には巣の近くに限られる。ということは、この近くに巣があるということなのだろう。多くはキツツキが掘った木穴を住まいとして利用している。

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