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江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その6。

2023年03月09日 | 言いたい放題
【絶望と希望の夕焼け】

前回(→・江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その5。)の続きです。

単行本13巻、ケチ男(岩ちゃん)とベッドを共にし、連絡先は聞かれたけれど本名を聞いてこない。

その意味は嫌ってほど江美さんならわかるはずなのに、色んな気持ちが渦巻いているようです。

「レター先生の言った運命の人なのかも」

「お世辞なことわかってる」

「こんなのゼッタイ嫌だって思ってた」

「でもあんなに辛いことばっかりで、苦しくて笑ってられなくて、そんな時にお世辞だってわかってても甘い言葉で優しくしてくれる人にすがっちゃうのはそんなに悪いこと?」

「誰が私を責められるの」

作り笑いをやめて、お母さんがずっと取っておいてくれた学習机で、カリカリカリカリノートを書き込みます。

これがなんだったのか読者にわかるのは後で。

でも本当にここが大切な一歩なのだ。

そこからたったの4日で、幸子さんに

「お願い、ダンナの浮気調査のために張り込みするから一緒に来て!」

と頼まれて一気に話はクライマックスへ。

ぽんぽんぽんぽん話が進むし短いけど、ここ本当に面白い。

いやー本当に江美は運がいいよ。

最高の底付きじゃないですか、こんなに一気に片付くのは素晴らしい。

タケちゃんとケチ男(岩ちゃん)で張り込み場所へやってくる。
   ↓
タケちゃん、ケチ男に菜々美ちゃん(江美)が好きなの?とサクッと聞く。
   ↓
ケチ男には婚約者がいてそっちと結婚するし、江美は年上で後腐れなくセック○させてくれそうだから選んだ、とっくに俺あの女とヤってるんで!とマウンティングの道具にさえされているのが一気に暴かれる。
  ↓
それも辛いが、何より辛いのは幸子にタケちゃんがお店に着てることを黙っていたとバレてしまったこと。
  ↓
「もうダメ、幸子まで失うかもしれない」

と逃げ出す江美。

(ここで幸子が夫に

 「話し合おっか」

 と“本気で向き合う”のをさらっと描いているのが大事。

 これこそ江美が手に入れたい幸せへの必須スキルだから)

泣きながら走る江美の頭に、自分の信じていたスピリチュアル教義がこだましていきます。

「自分が嫌いな自分にならない。

 幸せってそういう人の元へ引き寄せられるものだから」

声は文字にしてませんが、この場面きっと江美は声出して泣いてるんですよね。

夕日を背景に、声を上げて涙をとめどなく流しながら上を向いて走る江美。

この場面のまあ、美しいこと!

底付き=依存症脱却のスタートライン。をこんなに的確に美しく絵にできるのいいよね。

江美自身は絶望している、どん底状態、だけどこの瞬間に美しい世界がある。

素敵ですわー。

【レターとの決着】

次に描かれるのが最後のオンラインセッション。

ここで初めて現在のレターの顔が描かれます。

この描写にはいくつかの意味があるんじゃないでしょうか。

実際のレターはふくよかな体なのに今までの顔が描かれないレターはかなり細身の体で描かれている=江美自身も崇拝していて、理想と妄想を合わせた虚像としてのレターと向き合っていたということ。

レターが旧スピリチュアルネームの青羽マリーだった頃は、最後の場面まで青羽はきちんと目を開いて色んな表情をしている=レターもかつては、ちゃんと江美と向き合っていた。

レターになって独立した時から、にっこり笑って目は閉じてて表情がひとつしかない=目を開いていないのは江美を見ていない証拠、信者を依存させ金を巻き上げるというたったひとつの目的の道具に自ら成り下がったこと。

江美の

「もう終わりにしてマトモになりたい」



「レター先生を信じ続けたい」

がせめぎ合ってるのがよーくわかる言葉・表情・態度は見所。

最初はかなり信じたい、が強いけど

「ああ、レター先生はやっぱり私に向き合ってくれないんだ」

と再確認してから爆発する。

(ゆあてゃに比べたらあまりに自責的で静かな小さい爆発だけどね)

「もうわかったんです!

 目をそらしちゃいけなかったんだって!

 このクソッたれな人生と向き合わなきゃいけなかった…!

 自分の意志で、自分の道を決めなきゃいけなかった…。

 先生には感謝してます…でももう…先生に頼らないで、私の責任で、これからは生きていこうって…思います…」


この後の江美の瞳がいい。

ここまでわかってても、先生はいい人なんだと思いたい、最後の期待が溢れる瞳。

(この期待にまつわる物語は、最終章の雪さんと太陽くんでまた受け継がれ描かれる)

んで。

レターは案の定ここまで江美が向き合ってくれと願って言葉にしても、目を開けない=向き合わないまま。

江美の決死の告白なんかなかったかのようにいつもの

「最後に一緒に笑いましょう」

江美を再び見て向き合ってくれることはなかった…。

江美が笑わずピッと接続を切る、あっけないなと呆然としながら。

なりたい自分ノートをパラパラ読み返す。

なりたい自分、つかみたい幸せ、あの時は頑張ろうと思ってた。

でもそれがなかなかできずに、落ちて落ちてぐちゃぐちゃの本音をここに書き連ねた。

一度は鎮火した怒りがわっと溢れ出し、ノートをビリビリにやぶって放り投げる。

わかる、わかるぞエミー(笑)。

このノート、急いで書いたような文字で

「ああ、あの時江美はこう思ってたんだ」

の答え合わせができる文章がたっぷり書いてるのでぜひ確認してみてね。

たくさん書いててすっごい熱量だし、をのさんのこだわりを感じます。

江美は本当は全部わかってたんだな、でもわかっててすぐ思考や行動を変えられる強さや冷淡さがなくて苦しんでいたんだなってよくわかる。

怒りを外へ出した江美は涙が溢れます。

「心のゴミ箱なんかに捨てないで、この嫌な気持ちだって認めるべきだったんだ」

…そうよー!!(小田切ヒロさん)

江美、よくここまで来たね…と拍手したくなる場面。

レターに

「あ、本当にこいつダメなんだ」

と底付きしたのね。

【本気で向き合ってくれる優しい人、素晴らしい世界】

私含め多くの読者が

「早く気付いて」

と願っていた真実に江美はちゃんと気付きます。

「お母さん、幸子、ちえママ、未来ちゃん…みんなみんなずっと優しかったのに。

 …世界はこんなにすばらしかったのに…。

 ちゃんとしたい…」

なりたい自分、つかみたい幸せの必須スキル“本音で向き合う”を実行していく江美。

まずは幸子に、ちえママに、そしてお母さんに…。

この回はおそらく『明日カノ』全編で一番美しく読者を泣かせる回になるんじゃないかな。

それくらい素晴らしいです。

一番人気は少女時代

「綺麗なうちに死にたいよね。

 一緒に死のう」

と話してた幸子が大人になって

「エミー、頑張っていきようね」

と言ってくれる場面でしょう。

美しい~…でも幸子がこう思ってこう言ってくれたのは江美だからなんだよ。

レターのおかげじゃなくて(しつこい)。

ちえママと未来ちゃんの場面も最高です。

やっぱりちえママならケチ男のことわかるよね(笑)。

エミーはちえママにとって娘のように大事な存在だし、一緒に働こうねと言ってくれる。

未来ちゃんだって心から心配して帰りを喜んでくれました。

「そうそう、菜々美ちゃんは笑ってる顔が一番かわいいわよ!」

の言葉がまた重くて大事なんですよ。

心からの笑顔が素敵。

泣きたい時、笑えない時に笑えなんて人間じゃないよ。

そして最後はやっぱり…お母さん。

東京で何の仕事をしていたのか正直に告白しようとした江美ですが、それは止められます。

「いいから食べなさい、冷めちゃうよ」

ご飯を作って待っててくれる、ちゃんと目を開いて自分と向き合ってくれる、お母さんの静かだけど揺るがない愛を感じた江美は涙がとめどなく溢れます。

「ちゃんと娘できなくて、ごめんねえ…」

世間的な正しいこと、娘の役割、大人になること、それを与えてあげたかったけど出来なかった、ってことかな。

この言葉をお母さんは穏やかな微笑みで受け入れてくれます。

「ほんとにあんたは子供なんだから」

…私はこの言葉と表情で、お母さんが欲しかったものは“自分とちゃんと向き合ってくれる家族”だったんだろうなと思った。

江美は上に書いた自分の理想を与えたかったけれど、お母さんは実はそんなのより今江美がやってくれたことが欲しかったのだと。

だからちゃんとお母さんの欲しくて欲しくてずっともらえなかったものを、ちゃんと江美は与えているんだと思う。

報われたんだよ、お母さんは。

だからこそ引越しの日に家族写真を抱きしめていけたのだ。

さりげないけどいいのよ~。

【現実的な気持ちもあるからこその幸せが尊い】

ここから最終回までは、輝くような幸せな日々を描きます。

調子が悪い時は自分の美しさをいまいち生かせないヘアメイクとファッションしかできなかった江美はすっかり魅力が開花してますます美しいし、過去の失敗も肥やしにして強くなる。

仕事の人間関係もばっちりで、大好きな幸子さんと幸せな東京旅行。

ライブでは素敵な先輩に

「年取ったってカッコいいひとはずっとカッコいいんだ」

と教えられ涙する。

この輝く幸せと、現実的な気分の浮き沈みを合わせて書いてるのが私ほんっとうに好き。

ふつうなら

「幸せになれましたとさー」

ってキラキラだけの最終回なんだろうけどね、そうじゃないのがいい。

幸せだし上手くいってるけど、過去に郷愁を覚える時もある。

「私なんてこんなもんか」

とやさぐれた気持ちもある。

でもそんな浮き沈みもちゃんと受け入れて、その上で

「これでいい、じゃない。

 これが、いいんだ」

と己を励ます。

生きていくけれど、

「あー…」

ってなる時もある。

今までの江美ならここで

「あー死にたい」

だったんですよ。

成長して強くなったから

「あー…」

なの。

成熟しても幸せになっても浮き沈みはある、キラキラだけで喜びと興奮だけなんてない。

(雪さんの言葉

 「幸福は麻薬」

 はキラキラと喜びと興奮だけ、というありもしない幸福を言ってると私は思ってる。

 それは幸福じゃなくて刺激なんだよ雪さん)

…これが人生。

それも内包するのが幸福。

って思うから私ほんとうに江美さん編大好きですわー

カルトやエセスピ商法・霊感商法の煽る幸せってこれですから、

「そんなんじゃねーんだよ、人生も幸福も」

って殴ってくれてる気がして痛快です。

…というわけでねえ、大好きな江美さん編言いたい放題は無事これにて終了でございます

をのひなおさん、素敵な作品を本当にありがとうございます。

しょっちゅう体を壊されていて心配ですが…どうか雪さん編最終回もその後も健やかでいられますよう、ひっそり祈っておりますので。

ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。

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江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その5。

2023年03月07日 | 言いたい放題
【毒母もいるし、そうじゃない母親もいる】

前回(→・江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その4。)の続きです。

依存症は否認の病だと言われている。

アルコール依存症を筆頭に、あらゆる依存症患者は

「自分は違う」

「たいしたことない」

と認めない。

その人にとっての激的な体験をし、

「もうダメなんだ、自分が変わらなくちゃどうにもならないんだ」

とどん底まで落ちて

「変わりたい、この依存症を治したい、マシにしたい」

と心から強く思う=底つきを得てはじめて依存症回復のスタートラインに立てたと言える。

江美さんの依存症…彼氏のお世話依存症からのレター先生(笑)依存症を回復させるためにも、底つきは必須イベント…。

底つきまに至るために…そう、江美さんの“なりたい自分”になるために底つきが必要であり、引き寄せのステップなのだとスピリチュアル的に解釈可能な道のりなのです。

でもそれはレターのおかげじゃないからね、しつこいけど。

江美さんはお母さんの愛(長い間部屋を綺麗にして待っていてくれた、“ただいま”でしょうと言ってくれた)に触れて

「変わりたい」

と思ったからこそ、あの“なりたい自分”を思い描いたのだから。

雪さん編(太陽くん編でもある)のテーマとは逆で、実は江美さん編においては母親は愛のシンボルだし良い方向へ娘を導いてくれているんですよね。

雪母(愛さん)は毒親で江美母は違うから…。

萌ちゃんのお母さんも愛のシンボルであり、萌ちゃんがダメ恋愛依存→楓依存から抜け出す支えとなった。

萌母のわかりやすい善っぷり・味方ぶりとは違い、江美母の愛はわかりにくいけれど一番現実的な母の愛なのかも。

というわけで、江美を底つきさせることができたのもまたお母さんでした。

やり方はよくなかったけど、これがないと江美は底つきできない。

【お母さんの態度と少ない言葉に想像させるもの】

幸子さんとタケちゃんの間で板ばさみ・ちえママに嫌われたかも(これは江美の被害妄想だが)、でじわじわ弱ってきた江美ですが、これだけじゃ足りない。

お母さんが本気で向き合ってくれたことでガラガラガラーッと破壊がすすむすすむ。

夜遅くまで待っていたお母さんは

「あんたなんで帰ってきたの?

 (中略)

 あんたは自分のことしか考えない。

 周りの人間を見ようともしない、理解しようとも思わない。

 (中略)

 母さんは施設に入るから。

 あんたは今までどおり好きに生きなさい」

と一方的に告げます。

(中略したところもいいから、ぜひ単行本12巻で読んでね)

これでガクーンと落ち込んでしまい、下心がわかりきってて好きでもないのにケチ男(岩ちゃん)とベッドを共にする、騙されたとわかる、幸子も仕事も失いそう…とサクサク落下し、底つきに至る。

ケチ男はどうでもいいから、お母さんの話。

私ねー、この場面に来るまでの江美母の描写ほんとうに見事だなとワクワクしました。

私は江美母の言ってることが真実だとは思わない。

でも全てに、彼女が苦しんできた夫との家庭生活が見える。

そしてそれを江美に最後の最後で八つ当たりしていると思います。

「あんたは自分のことしか考えない。

 周りの人間を見ようともしない、理解しようとも思わない」


これってぜったいに江美父=お母さんの夫なんですよ。

彼女は自分を省みない典型的日本のお父さんな夫に絶望していた。

これは彼女が夫に長年言ってやりたかった言葉なのですよ。

でも話が通じないし、田舎のこの世代に離婚なんて御法度だろうし、ただただ耐えるしかない。

自分が娘(江美)をずっと待っていたなら自分の家でもあるんだからたまに帰省させたっていいのに、それをしない。

絶望からの無気力なんでしょうけどね。

それがもう当たり前で、そういう前提で娘の行動を見て解釈するから、

「もういい、私が出て行く」

なんだろうな。

江美が帰ってきてからも、江美は夫と違って話せば聞いてくれる人なはずなのに…。

実際こんなこと(母の「今までどおり好きに生きなさい」)言われて泣いていたじゃないですか。

「お母さん(妻)に興味ない」

ような人は泣かないよ、

「お前が施設入るって、俺の飯や洗濯はどうするんだよ!!」

とかってキレて自分のことしか考えず、ぜーんぶお前が悪い!ってなるのが人の気持ちがわからない人。

だから私としては、この江美さんへのたった1回のお母さんからの話し合い=というか本音言い投げ、は

「夫の恨みを娘にぶつけんじゃないよ」

と考えるものなんだけど…でもこの八つ当たりが最大の贈り物になるんだよねー。

ここからの底付きだから。

っていう解釈で読み直すとまた感じが違う場面だと思うので、ぜひ読み返してみてほしいところです。

【真下へ落ちていく、底へと】

さあ、ここからはドン底へのジェットコースター。

レターのことは単独記事でまた言いたい放題したいと思っていますが、なんで江美がこんなに弱くて被害妄想なのっていうのはレターに弱らされているからに他なりません。

ちえママに勧誘を断れたのも、未来ちゃんにお客さんのセクハラを受け入れないでって言われたのも、江美自身の攻撃なんかじゃありません。

ちえママは

「菜々美ちゃんがいいこなのはわかってる」

と言ってくれているし、未来ちゃんだって

「困ったことがあったらなんでも言ってください」

とまできちんと言葉にしてくれている。

でも弱って思考をめちゃくちゃに癖づけされた江美には甘い褒め言葉以外全て攻撃に受け取ってしまうんだよなー。

実際にストレスやカルトやスピ・霊感商法の被害にあってる人はこんなもんじゃないですけどね。

もっともっとヤバい精神状態になるものだ…まあでもをのさん(作者)の書きたいのはそこじゃないので、ライトにライトに描いています。

多分この界隈のことはあっさりとしか調べてないだろうし。

話を戻して。

・お母さんに私はあきれられて、見捨てられた
  ↓
・ママも未来ちゃんも私を嫌ってるかも
  ↓
・幸子にタケちゃんのことバレたら、幸子も失うかも
  ↓
・誰か助けてよ…レター先生は運命の男が助けてくれるって言ったのに…

という流れで、今まではあしらえていたケチ男(岩ちゃん)のやっすーい誘導に乗っかっちゃってベッドを共にする、と(笑)。

いやーケチ男好きじゃないから書くのもバカバカしいけれど、本当に全てがせこくてダサいよね。

タダでセック○したいだけで悪びれないこのダサさ。

ケイオニウスさま(『テルマエロマエ』)を見習いたまえと言いたくなっちゃいます(笑)。

なんだけど、ケチ男がチープでダメダメだからこそ江美は再び“なりたい自分ノート”に本音を書き出すのです。

「誰が私を責められるの」

とカリカリノートに本音書きまくるところ。

大事な場面よ~さりげないけども!

実はここでレターの

「笑いましょう」

の洗脳が解けているの気づきました?

辛い時幸せになりたくて、無理やりレターの教えを守って

「笑顔、笑顔…」

と笑っていたエミーがここで作り笑顔をやめている。

むかつくけどケチ男の仕事も大事だったのか…むかつきますが。

…。

さて、単行本13巻に入れたところで、今回はここまで!

おそらく次でラストになるかな。

ここまで読んでくださってありがとうございます

ラストまで頑張ります!

続きを書きましたー。
  ↓
・江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その6。


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江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その4。

2023年03月05日 | 言いたい放題
【幸子の苦労】

前回記事(→・江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その3。)の続きです。

10代からの大親友・幸子さんとの友情が復活し、ホステスの仕事ではちえママ&未来ちゃんという素晴らしい先輩を得た江美さん。

不安要素は

・「お店に通ってるのはナイショだよ」と口止めする幸子の夫=タケちゃんと、「いくらなんでも毎日飲み歩きすぎ!浮気してるのかも!」と嫌がる幸子との板ばさみ。

コメント欄では

「幸子にタケちゃんうちの店にいるから大丈夫だよって言えばいいじゃん」

「スナック通いくらいで何をそんなにキレてるんだ幸子は」

という意見がけっこうあったと記憶しています。

それに対して有識者は

「ホステスはお店の中であったこと、特にお客さんのことを話すのはご法度」

「失業するかもしれないと思ったらエミーが言い出せないのは仕方ない」

と教えてくれていましたし、幸子が嫌がってるのは

「いやいや、幸子が嫌なんだから嫌なんだろうよ」

と私は考えるかな。

伝統的に男の婚外セック○は無罪、ましてやヤッてないなら問題無し、と考える人がいまだにいるのかとびっくりしましたが…。

男女逆で例えれば皆さんわかりやすいと思うので例えますけど、あなたが

「妻の方が自分よりはるかに稼げるので、妻の出産後自分が主夫となり家事育児を分担するようになった」

男性だとして。

仕事してなくても子ども二人の世話は大変です。

食べさせ、世話をし、健康を守っていくって重労働。

そんな風に自分が

「いいお父さんでいられるように頑張っている」

中で、妻は

「仕事の飲みだから!」

と毎日毎日夜遅くまで帰らずボーイズバーだか激安ホストクラブだか(そんなのないと思うけど)でお酒飲んでいて、実際は仕事じゃなくてお気に入りの男の子(25才!)目当てに通っており、ついにある日朝帰りしてきた…。

ってなったらよ、

「ふざけんな!!

 それ仕事じゃないだろうゼッタイ、最悪だよ!!」

と嫌じゃないですか?

それとも

「お金稼げないかぎり、大黒柱である妻に物申すことはゆるされぬ」

「女性用○俗に行ってるわけじゃないし、いいじゃん」

と考えて何もしないの?

おかしいでしょう。

夫さんが嫌なら嫌だって話し合っていいはず。

結婚は金稼ぐ方が稼がない方を隷属させる契約ではないはず…ってこれ以上はやめておくけど、そういうことよ

話を戻して幸子さん。

朝帰りの時点で江美さんに

「ありえないよね!?

 辛い」

と話を聞いてもらっていて、江美もまた

「幸子は幸子で本当に大変なんだな」

と素直に受け入れています。

いい人なのよ二人とも…。

【忍び寄るケチ臭男、何も言わないお母さん】

もしこの話に、ケチ臭図々しい男=岩ちゃん=コメント欄での呼称はメガネ。が登場しなかったら、江美は底つきすることなくレターに依存し続け、あのラストには辿りつけなかったと思います。

タケちゃんの連れで小奇麗な中年として登場するケチ男(当ブログではこの呼び方を推奨します)。

まー最初っからせこい、うざい、安っぽい、小賢しい。

江美を熱心に口説くわりには金払いが悪く行動が伴ってないのが笑えます。

先輩=タケちゃんのボトルをいつまでも飲んでいた、一人でこない、ちえママのお店でお金を使わない、など。

「若くて可愛い未来ちゃんに比べて、私は全然ダメなんだ」

と落ち込んでいたこと・幸子とタケちゃんの間で板ばさみになっていたこと・そしてトドメとなるお母さんの突き放しが、レターの

「ソウルメイトといえる運命の男性と出会って、彼といればすべてが上手くいって幸せになります」

というありがちな依存させフレーズに彼女をすがらせ、ケチ男に救いを求めていく流れに。

鮮やかですわーよく考えていますわー。

吉原のプロお姐さんだった江美がなぜ??という展開を、これで説得力出しているんですよね。

お母さんが本音を語るのは後半で、最初はずーっと黙ってるのも大変リアルです。

【ちえママは本気で向き合ってくれた、ここから破壊と再生がはじまる】

さて、ケチ男のアプローチを弱った身ながらかわし、このお店にも慣れてきたエミー。

「帰る前に一杯飲んでいかない?」

のあの場面が私はとっても好きです。

まず、ちえママが立派すぎるのよ。

優しく軽く話す場を作って大切なことをどんどん確認し、はげましてもくれる。

素晴らしいわ…。

かっちゃん(お客さん)が漬けた梅酒をいただく、という設定も信頼が溢れていていいよね。

優しく明るく軽やかなままに、江美の

「若くて可愛い未来ちゃんがうらやましい(若さを失った自分に無価値感がある)」

を引き出し、抜群の包容力で

「菜々美ちゃんだってあたしから見たら若くて美人でうらやましい。

 時間は平等だから折り合いつけてやっていくしかないよ。

 あたしもこの店の女の子もお客さんもみんな一緒に年をとっていくの、それでいいじゃない。

 そうやって皆生きていくんだよ」

とレターの何億倍もためになる話をしてくれるんだから!

このセリフはまんまではないので、ぜひ本編を読んでじっくり味わってくださいね。

単行本12巻ですよー。

江美もママの話を聞いてキラキラドレスよりも美容外科よりも、ましてやレターのヒーリング(…)よりも良い影響をもらったよう。

でも、ここで忘れずケチ男=岩ちゃんの話をさらっと出して

「めんどくさい恋愛になっちゃってないかな?」

と確認を取るのが海千山千のプロ・ちえママの真骨頂。

うまいっ!!

軽くだけど

「ダメよ?あくまでお客さんなんだから」

と制するのがさすがです。

春風のように優しく穏やかに、だけど本気で江美と向き合ってくれたちえママ。

未来ちゃんの

「菜々美さん、素直すぎませんか」

もそうでした。

この幸せ体験をバカ正直にレターに話したことで、レターの危険センサーが察知して(笑)

「ちえママに生霊がついている!

 私なら祓えるから!」

に展開します。

胸糞悪いですが、これがないと底つきにいかないから仕方がない。

レターを妄信する江美はもちろんちえママにその通り話してしまいますが、もちろんママはこんなの簡単にあしらえます。

見事すぎてこの場面も大好き(笑)。

洗脳されてる江美はどうしてわかってくれないの!と食い下がりますが、それに対してもちえママはきちんと向き合ってくれます。

「そうやって良かれと思ったことでも、相手にとっては迷惑だったりするから、それはわかってほしいな」

優しい言葉です。

でも、レターにエネルギー取られまくってる江美にはこれが自分への攻撃に受け取れてしまう。

落ち込み叫び出すほど。

ここで入れているレターのセッション予約が、あのクライマックスのオンラインセッションなのでまたまた鮮やか~

そして、底付きの第一歩がやってくる…。

…。

と、今回はここまで。

次でやっとクライマックスでしょうか、好きだから長く語ってしまうわ~(笑)。

読んでくださってありがとうございます

続き書きました!
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江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その3。

2023年03月03日 | 言いたい放題
【大親友・幸子さんとの再会】

前回記事(→・江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その2。)の続きです。

読み返してみると、実家に帰ってきてからの江美さんは解釈によっては見事に引き寄せ成功物語を体現したといえるんだなー…としみじみ。

(レターのおかげじゃないよ、江美さんが願って行動したから叶えたんです)

だって、辛い体験かもしれないけど

「仕事の面接8件落ちた」

がなくては大親友の幸子さんとの友情は復活しないから。

江美さんの“なりたい自分ノート”に書かれた“身も心も若い気持ちを忘れずに!”はぜったいに幸子さん無しでは叶えられない夢ですからね。

面接の帰りにコンビニでお酒飲んでいたら(笑)結婚してお母さんになった親友と再会…の流れは、コメント欄読むかぎり多くの読者が不幸描写?と予想したようです。

でも実際はそうでもなくて、再会したら二人はなんの違和感もなくあの頃の友情が大復活します。

エミーもサチコもほんっとうに良い子なんですよー

幸子は素直に

「相変わらずエミーは綺麗だね」

と思って伝えるし、江美も心から

「サチコだって何も変わらないよ、すぐわかったもん」

と返す。

二人が親友なのわかるなあ…。

(なぜそこにうっすらシッチィ=雪さんの虐待母。が入ってこれるのか…外面いいタイプ?)

「結婚とか出産とかすごい、安心できそう」

「あたしからしたらエミーこそ自由でうらやましいよ。

 旦那は毎日飲み歩いてるし、子どもたちは反抗期で、お母さんみたいになりたくないなんていうし。

 “妻”でも“母親”でもないサチコだった頃、楽しかったなあ」

いくらでも“女同士の醜い争い”“マウントバトル”に持っていけそうな要素を爽やかに、しかし現実的にものともせず二人が解消していく描写が鮮やか!

をのさん(作者)は同性間の友情を本当に美しく描くなあ…。

(若き日のエミー&サチコが矢沢あいさんの『ご近所物語』に出てくるリサとピイちゃんにそっくりなのもまた感慨深い…物語の主人公であり、後に売れっ子デザイナーからブランド社長へと駆け上がるミカコじゃないってのを意識してるのかな?)

かといって理想的にだけ描くんじゃないのが、をのさんの良いところ。

大好きな親友が相手でも

「サチコには家族がいるんだ、いいなあ」

とふと悲しくなるところが省かれず描くのいいよねー。

【合わないバイトから、ホステスへ】

9社目にして、清掃のバイトになんとか合格させてもらえた江美さん。

この仕事は全く合わずに失敗ばかりやらかします。

どんな仕事でもそうですが、容易い仕事も誰にでもできる仕事もこの世にはありません。

それぞれ大変な仕事であり“できる”人しか続けられないもの。

清掃の仕事は江美には“できない”仕事でした。

この合わない仕事を無理やりやってことごとくダメ、な展開に

「もしかしてエミー、発達障害グレーゾーンとかだったりする…?」

と指摘する読者さんがけっこういた記憶。

過集中とか遅刻とか紛失とかね。

その可能性もありますが、人間ストレスがかかる環境にいるとそういうストレス反応は出やすいと言われています。

起きられないのしかり、仕事中なのに頭でぐるぐる考え事してるから全然仕事がすすまない、など。

つくづく、もっと早くにちゃんと辞めますと伝えてから辞められたのなら…と思いますね。

合わない仕事は、仕方がない。

でもそこで連絡無し退職しちゃうと本当に相手は困るじゃないですか。

そうなって当然のブラック会社も世に溢れてるんだけど、ここは連絡して辞めてほしかったなあ

レターももっと言い方あるだろうよ。

つーかそんなこと言うなら、こうなる前にアドバイスしたれや。

江美が仕事辛いって言ってる時点で

「それは仕事を変えてもいいんじゃないでしょうか?」

ってさ。

使えないのに偉そうな言葉で…ぶつぶつ。

このときの言葉選びが界隈あるあるすぎて、ちゃんとア○ブロや教祖系漫画を参考にしたんだなーとしみじみ(笑)。

「ホステスの仕事ならきっと成功します」

というレターのアドバイスを受けて江美自身が探し・応募し・採用されたお店こそ、素晴らしいちえママのお店“スナックちえみ”でした。

江美、レターのおかげなんかじゃないよ…あんたの運と実力だよ…レターのおかげなんて言わないで…って思うけどそれが洗脳。

【江美にとっての三人の女神】

私は、江美物語には江美を助けてくれる三人の女神がいると思っている。

一人はもちろん幸子さん。

「身も心も若い気持ちを忘れずに」

は幸子さんがいてこそ叶えられる夢。

「ウソをつかない自分になる!」

「人に言えない仕事はしない!」

を叶える助けをしてくれるのが、スナックちえみで出会うちえママと先輩年下ホステス・未来ちゃんなのだ。

ちえママと未来ちゃんは、寄る辺なくレターに依存して不安定になっていた江美を現実で生きられるように助けてくれます。

ちえママは第6章まで…どころか、おそらく完結してもこの作品で一番敬愛され尊敬される女性キャラクターかもしれません。

それくらい海千山千で懐が深い良い人なの。

そして未来ちゃんもすごく大切でね、江美はそれまで

「ウソをつかない=バカ正直に全部話す」

としか考えられなくて、仕方がないんだけど嘘をまぜる癖がついていました。

変わりたいと思いつつね。

でも未来ちゃんに

「菜々美さん、素直すぎませんか。

 そういうことは言わない方がいいですよ!」

と真っ直ぐに向き合い教えてもらい

「話さないっていう道もあるんだな」

と賢くなった感じ。

けっこう大事なポイントだと思うなー。

ちえママと未来ちゃんの場面はどこをとっても私大好きで、美しいなーって思います。

ぜひ読んでみてほしいな!

【当然のように、邪魔したいレター】

三女神の助けを得て、新しい視点を持ち良く変わっていく江美。

「嘘をつかないって色んなやり方がある」

「若さだけが絶対正義じゃないのかもしれない、年を取ってもいいのかもしれない」

「幸せそうに見える幸子だって、大変なんだから私だけが辛いわけじゃないんだ」

…ってなると、もちろんレターへの依存=重課金×魂吸い取られ。が薄くなっていくもの。

それは断固阻止したいであろうレターは

「運命の男があなたを幸せにしてくれる」

「ちえママに生霊がついてるから、私をちえママに紹介しろ」

などと江美に持ちかけます。

レターのスピリチュアル商法や依存されは同じスピリチュアル好きとしてぜひ単独記事で考察したいんで今はしませんが、江美に幸せになってもらっちゃ困るんだな、とバレバレですね

レターのこしゃくな所業がなければエミーはメガネともタケちゃん(幸子の夫)ともなんら問題が起きなかったのに…!

しかし、江美が“なりたい自分ノート”に書いた夢を叶えるには、レター依存に底付きして一回どん底まで落ちて強く強く

「変わりたい!」

と思う転換点が必須…。

とすると、メガネもタケちゃんと幸子の間で板ばさみ事件も、江美が願いを叶えるための必須イベントだったのかもしれません。

次回でそのへんの話も!

今回はここまで。

読んでくださってありがとうございます

続き書きました!
  ↓
・江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その4。

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江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その2。

2023年03月01日 | 言いたい放題
【ルナちゃんと江美さんの点、な友情】

前回記事(→・江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その1。)の続きです。

今回は留奈ちゃん編における江美さん(源氏名・菜々美さん)のパートから。

吉原の先輩お姐さんである江美さんはルナちゃんの恋の相談をきっかけにしてうっすらながら友情を育んでいきます。

隼人さんと悲しい別れを選んでしまった直後に江美さんがルナちゃんに連絡をする場面美しかったですねー…

「お金は私をぜったいに裏切らないんだ」

と自分を励ましても、悲しみと孤独感に押しつぶされそうなルナには街のイルミネーションが、仲良しの家族が、幸せそうな女性二人組が輝いて見えて仕方がない…。

ここで男女カップル・夫婦をそんなに輝かせずに、女性二人を選んでいるのがをのさんらしいなーと思う。

親友なのか恋人なのか婦婦(ふうふ)なのかは絵だけではわからないけれど。

恋!エロス!じゃなくて家庭=帰れる場所、と仲良しの同性ってのがまたねえ。

江美さんの連絡を受けた留奈ちゃんがどんな表情なのか、何を考えているのかは詳しく描かれませんが、まー優しき愛を感じる美しい場面なのよ

隼人さんとの悲しい別れに至るまでの思いがけない事故を話す居酒屋の場面は二人の友情が深まって、とても幸せで素敵…だったんだけど

「あたしが今のあたしになれたのはレター先生のおかげなんだ。

 今の伊織ちゃん(留奈の源氏名)ならレター先生紹介したい!

 ねえ、引き寄せの法則って知ってる?」


とカルト宗教だかスピリチュアル商法だかに洗脳されているのがわかってしまい、ルナも読者も震撼させました

ルナはお金にとても苦労しているキャラクターなので、そりゃあやっぱり…

「お金搾り取られる!!」

って警戒しちゃうよね。

本名でする仕事でもそうだけど、仕事での友情って点と線なら点の関係といえる弱く瞬間的なもの。

でも…これがなかったらうっすら友情が続いたのかなーと思うと実に悲しい、江美のルナ編最後の登場場面でありました。

個人的に二人の友情は復活してほしいなあ…隼人さんとの愛情と同じに。

最終章の最後に少しは描かれるであろう場面でにおわせてほしいわー(笑)。

【江美から見たあの日の光景】

ルナ編エンディングを迎えてから、江美編のスタートです。

レター先生なる者とのオンラインセッションで江美さんの口から

「あの日、伊織(ルナ)ちゃんにこう思っていた」

と語られます。

ルナから見れば感情を荒ぶらせることなくフラットに優しく話を聞いて、中立の立場から意見をのべていた江美さんは実は最初に

「彼と別れました、こういう経緯(いきさつ)で」

と聞かされ内心

「もう嫌な自分がぶあって出てきちゃって。

 なんでそんなバカなことしちゃうの?!

 すごい人とつながれて感謝しないの?!

 叩かれるくらいガマンしたらいいじゃん、どうしてそんなムダなことして時間つぶしちゃうの?!」

と怒りびっくりしていたそうです。

(江美さんがこう考えるのはなるほどねーってのが後に描写されるアマチュアバンドメンバーと関係を持ち、寄生され、捨てられたって過去ですね)

「でも、レター先生に自分の嫌いな自分にならないって言われてたから、そんな嫌な自分は心のゴミ箱に捨てた。

 そうしたらその子の話をちゃんと聞けた」

と。

幸せそうな笑顔でしめくくられるオンラインセッションですが、それが行われる江美の部屋は汚部屋。

重症じゃないけど立派に汚部屋です。

「心のゴミ箱」

に捨てたと言うけど、実際にはもうゴミ箱はゴミでぱんぱん、入りきらないゴミが部屋中に侵食して生活をめちゃくちゃにしちゃってるよ、という比喩なんですよね。

上手いっ!

伏線はっておいて回収する描写本当に好きです。

江美がルナに思ったけれど伝えられなかった気持ちは、相手とけして対等になったことがない過去の恋愛から出るものでしょうね。

それって人間同士の恋愛じゃなくない?と私は考えてしまうよ。

私だったらあの時点のルナちゃんにこう伝えるかなあ。

「私は、好きになって両想いになっても幸せな関係ってそんなにないと思うから…もう1回くらい会って彼と話してみてから別れるか決めてもいいんじゃないかな」

と。

「それでルナちゃんがやっぱり別れたいなら別れればいいし、一緒にいたいなと思ったら別れないでいた方がいいよ」

って。

採用するかは相手次第だけど、言い訳与えることで相手にチャンスができたらいいのになって。

私の話しちゃってごめんなさいね。

セッションが楽しくて笑って締めくくっても、江美が実際に生活する部屋は汚部屋。

彼女の現在地がよくわかる描写を経て、吉原を辞めます、というオープニングでした。

【なんか不快なお葬式文化】

次に描かれるのが

「辞めます」

に至るまでの物語で、故郷のお父さんが亡くなってお葬式をして…というもの。

コメント欄でも

「本当に嫌だよね」

「こうだよね」

と共感されまくっていた、なーんか不快な葬式文化。

結婚しないの、結婚しない奴はヤバイ、という定番の保守的セクハラ仕草しかり、綺麗うんぬんしかり(江美さんは美人なので褒めてはいるのだけど)、故人を偲ぶはずなのに酒と精神的サービス…うん、なんか嫌ですよね。

私が下戸だからこう考えるのかもしれないけど、結婚式にしても葬式にしても長く続く法事にしても、酒がぜったいついて回るのなんなんでしょうね。

酒がからむと気持ち悪い本性を見せる人が必ずいるのがきっつい。

結婚式もお葬式も、大変な人たちがお酒注いで回って気遣いしまくって…なんなんだろう。

モヤモヤ。

生前のお父さんはホステス業に偏見があり忌み嫌ってはばからなかったそうですが(お母さんの口から語られている)、冠婚葬祭でホステス仕事を無償で強いているじゃないね。

ぐったり疲れる葬儀を終えて実家に着くと、母親が自分の部屋をそのまま綺麗に掃除しながら残してくれていたこと、

「江美もいつか帰ってくるかもって思ってね」

「本当はお父さんもずっと江美のこと気にかけてたよ」

と話してくれる、老いて猫背に縮んだお母さんを見て思いが静かに込み上げてきた江美さん。

「もう今更かもしれないけど、嘘なんてつかずに真っ当に生きていきたい」

この願いが江美編を作るのだ。

幸せな過去をなつかしむのを

「ダメダメ、過去の波動にひっぱられちゃ!」

なんて思ってる描写が

「ああ、ろくでもないのに洗脳されてんなあ」

とハラハラしますけどね

幸せな過去をいとおしむ、良いことだよー別に逃げに使ってるわけじゃなく、今が辛いから美化してるわけじゃない。

むしろこっちが心の栄養だよエミー(笑)。

【冷ややかな意見もあった“なりたい自分ノート”が実はすごく大事】

…という経緯で桜の花咲く頃に実家へ引っ越して来た江美は自分の部屋でカリカリ

「なりたい自分ノート」

を書く。

・ウソをつかない自分になる!

・人に言えない仕事はしない!

・身も心も若い気持ちを忘れずに!


このノート、コメント欄ではけっこう冷ややかに言われていて

「そんなの子どもの目標ノートじゃん」

「田舎に美容皮膚科なんてないよ」

「エミー、幼すぎるよ」

など笑われていそうな勢いでしたが。

完結してからここを読み返すと、これこそが江美編を創造した想いなのだと私は想います。

それに江美は少なくともこの3大テーマを叶えています。


引き寄せの法則は昔から伝わる人生の法則なのだけど、あれで荒稼ぎした教祖さまや成り上がって没落した界隈有名人たちがいたおかげでイメージは最悪になっちゃったよね…だからこういう言葉を書くのはやや辛いけど、やっぱり江美がこう願って引き寄せたからこそ、江美はあの幸せな未来を作ったし助けられたのだと私は思う。

この願いがあったからこそレター(先生って書きたくない)の洗脳が解けるのだ。

「ノート…ええ…」

と連載時感じた人ほど、この視点を持って江美さん編を読み返してほしいです

さてさて、やっぱり長くなっちゃったのでここで切ります。

次からはもっとサクサク書けるように頑張りますね。

ここまで読んでくださってありがとうございます

続き書きました!
  ↓
・江美さん編『明日カノ』言いたい放題・その3。

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