やんまの気まぐれ・一句拝借!

俳句喫茶店<つぶやく堂>へご来店ください。

閉づるとも開くともなく雛の目 三毛

2017年03月02日 | 俳句
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三毛
閉づるとも開くともなく雛の目
三月三日桃の節句。雛人形を飾る。仏間か居間かが雛の間となる。そう広くはない空間ではあるが雛人形の眼差しは心なしか遠くを見つめている。人形は人形作者の愛すべき娘の理想像に重なる。七難を避ける色白で純を宿す切れ長な眼である。作者の愛すべきこの娘の未来や如何。閉づるとも開くともない雛の目の先には、見えること無き茫漠たる未来が広がっている。:つぶやく堂「俳句喫茶店」(2017年2月17日)所載

雛まつり壁のモナリザ外さるる 滝澤清

2017年03月01日 | 俳句
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滝澤 清
雛まつり壁のモナリザ外さるる
雛壇は例年この部屋のここと決まっている。その背後の絵画は一時ご退室願うこととなる。さて馴染んでいたモナリザが外されると部屋の雰囲気ががらりと変わる。猫の代わりに粗大ごみ的存在の吾輩もかり出され設営となる。まずこれで娘も人並みに育てる事が出来た。吾輩に似たせいかおっとりしてはいるが中々の美形である。仕事がすめば別室でモナリザ相手の祝杯とする。めでたしめでたし。:俳誌「百鳥」(2016年5月号)所載