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鳩鳴いて烟の如き春に入る 夏目漱石

2018年04月12日 | 俳句
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夏目漱石
鳩鳴いて烟の如き春に入る

くるるくるると鳩が鳴いている。烟の如く霞んだ様は正に春の風情である。鳩の音と烟の如き様の取り合わせが妙である。戦後ど貧乏時代はひどいあばら家に身を寄せていた。屋根に破れ目があって天井に鳩が巣を作っていた。冬の雪の日は鳩も人間家族も振るえながら固まって寝た。そんな冬の時代が過ぎて今は人生の春を謳歌している。往時茫々。:山本健吉「鑑賞俳句歳時記」(1997年1月15日)所載。