闇夜の烏の変な世界

とりあえず、何にでも興味持ちますw
日々、気になった事を日記感覚でアップしてみようかと。

表彰台の脇への道(17)

2008-11-09 07:12:16 | マウンテンバイク


時間だ。スタート地点へ移動するも「モチベーション最低だしどうせ今の身体じゃ上位どころか中盤にも食い込めないからやるだけやってみっぺ」と例年になく緊張感も戦闘意欲も無いに等しくスタート地点に並んだ。係員の指示に従ったら一番右…、それも後方寄り。はは、第一コーナーまで最も不利で芝の濃いところやんけ(- -;。のっけからついてない。フと前の人のバイクを見るとダウンヒル用バリのダブルクラウンでXC用とはとても思えないタイヤに「こいつスタートから一気に遅れて回りを掻き回すな…」と思った瞬間に「ピンっ!」って頭から何かが外れた。スタート30秒前で一気に戦闘モードに。走馬灯じゃないけどグルグルと試走時のコースが頭をよぎる。自分の思ったラインを走るためには第一コーナーで上位に居ないと集団に飲み込まれるのでアウトだ。このコースで多分はじめてスタートから林間セクションでポジションを確保する作戦を取ってみる事に(つまり前半から全開)。…すっかりメタボな身体とスタート位置が右外で後方と不利なの忘れてるのが怖い。見てろよ半徹夜明けパワー!スタートの号砲と同時に目を付けていた選手がいきなり左へ寄って行き周りの選手が回避行動でラインを乱すのを確認すると、その斜め後ろから避けたライダーとの隙間を次々と縫うようにして次々とポジションアップ。憧れの元エリートライダーでアジアチャンピオンの経験のある方の得意としたロケットスタートだ(初めてトライした!)。長い芝生の路面が滑る。ダメ元でスタート時のギヤはフロントアウター(殆ど回りはセンターだった)、リアフルインにしていたのが功を奏し重かった芝が乾いたのか比較的軽くなっていて全力で約200m先の第一コーナーを目指せた。気づけば3~4番手で第一コーナーに飛び込んでいた!そこからは長い芝の登り、次々に抜かれていくがロケットスタートで脚力が既に残り少なくて周りについていけない。ダートの林間セクションに入ってからは、得意のコース右端のちょっとラインが右にズレたらコースアウトという1台ギリギリのキケンな隙間を高いギヤで前方選手を次々とパス。転がり抵抗の高いタイヤ選びが生きてる。ここは集団化すると速くても前に出れない。左端は2km地点手前で立ち木に塞がれ集団に入れない恐れがあるので必ず右を走る!ここで相当台数をパスして軽くバンクの付いたハイスピードコーナーが続く軽い下りに。ここはペダルを止める人が多いがこのコース、登りも下りもペダルを止める所が無い。例えるとスタートからゴールまで常に登りと考えるべきだ。既に前には数名しかいないので自分のラインが作戦通り取れるようになった事で加速しながらグングンと後方を引き離しに掛かる。試走時より速度が速いせいかタイヤのグリップが驚くほど良く軽く、不安感が無い。中間地点付近の苦手なフラットダートは芝と土の境目をスムーズに走行。でも体力が既に底をついていて途中2名にパスされるもどうしようもない。裏のダブルトラックでSの字に土路面を走る所ではかなり後方が団子になってくれているようで一人旅(前に何名もいるけどそんなに引き離されてないのが確認でき驚き)。試走では立ち木にぶつかりそうになった箇所も今度はFAST TRACK LKがダダをこねることなく無事通過。さぁこっからは得意な海を見下ろす坂を一気に登り展望台を左へとガレたコーナーをクリアする箇所。だが…あ、足が残ってない!?手前での加速が不十分で惰性で上り切る海を見下ろす坂は不覚にもフロントをセンターに落としてスタンディングで登るハメに。既に限界。それでもここでは2名をパス、1名に抜かれまぁまぁ?大粒の火山性の浮き砂利で荒れたコーナーを左折するとコース最大の下りが待っている。ここでペダルを止めて休むとタイムが一気に落ちる。多くの選手は直後の心臓破りの坂に備え惰性で下る。自分はここが勝負所と考えているのでトップギヤで次々と前走者をインからパスして順位を一気に上げていく。速い選手を見ると皆さんやっぱり下りでも漕いでる。途中ゆるく曲がる箇所も速度が速く急コーナーと同様の度胸とテクが要求され鼻水が出そうになる。後でサイクルコンピュータの値を見て判った事だが、今回この坂は瞬間最大速度が56km/hに達していた(過去3番目の速度)。不安のあったタイヤだが第一印象とは全く反対にこの速度でも思ったラインをトレース、路面のギャップも一瞬で変形してバイクの姿勢は崩れることがほとんど無かった。運命の4km地点。「心臓破りの坂」…。案の定完全に売り切れていて50mも登らないうちに自走不能になり降りて左端をトボトボとバイクを押して上がる。回りも見ると降りて似たような速度で押し上げている。後方から数台の自走で乗り切るライダーが2名。どんな身体してんだか(^ ^;;。意識朦朧、わき腹に呼吸するたびに激痛が走り、全身の筋肉に鉛をいれられたような感覚。耳鳴りも酷い。周りがまだ押してる所で勝負に出てみた。再発進がまだ困難な箇所でバイクに乗り、ビンディングペダルの引き足で乗車に成功。そのままクライミングバーにしがみ付き精神力だけでバイクを前に進める。立ちコギだが歩いている人よりは速く、ここで5名近くをパス!坂を登り切り、大好きな薄暗く荒れた路面をフラフラと通過。因みにサングラスは明るいオレンジ系イエローを愛用。暗い路面は良く見える。普通に光を遮るサングラスだとこの箇所はほとんど路面が見えない。ラインは毎年来てるから頭に入っているので無事通過し、視界が開けるとバックストレート(画像の辺り)。芝が例年より少なく(枯れてる)、乾いた土の路面に最後のスパートをかける。いつ倒れても不思議無い状況で身体はとうの昔に限界を超えている。サイクルコンピュータの心拍計はプリセットした危険上限を超えてるアラームが終始鳴りっぱなしだ。あるのは久しぶりに限界まで燃え上がっている戦闘意欲だけ。プッツンした状態の中、残力だけで走る。フロントはアウター。流石に心臓破りの坂を越えて体力の残っている人は少ないらしく途中一人に抜かれたが後方から人が来ない。前に数名見えるだけだ。最終コーナー。実はココが難所なんだよね。どう走っても芝の登りになる。ダメ元で最もイン(傾斜が最もキツいが距離は最短)を立ちコギでフラフラと通過。直後に完全に売り切れた事を悟った、身体が動かない…。本来ならここから最後のストレートを高めのギヤでスプリントに持ち込むところだが本当に身体が動いてくれない。頭と身体が別々になった感じだ。「あと100mなのに…」。リアを一段下げてフロントをアウターのままとりあえずゴールまで精神力だけで走る事しかできなかった。前を見ると10名近くが次々とゴールしていくのが見えた。「ダメか、乗ってないんだから当然だよなぁ。格好悪い。絹代さんに今年も醜態を晒すのか…」。頭の中では下らない思考だけが流れていた。メーターを見る余裕すら残っておらず、何キロ出てるのか判らない中を引き足だけでゴールまで最後の一滴まで搾り出すつもりでペダルを回し続けた。だがその速度はポタリングに毛の生えた程度のもの。最終コーナーで直前を走っていた方はゴール時には10m以上も前をゴールし、追いつく事はできなかった。終わったな。感動も達成感も何の感情も込み上げる事無くゴールを通過。「ピッ」っという計測器の音と、実況席から「凄いバイクに乗ってますね」という私への声がスピーカーから聞こえたのだけが記憶に残っている。係員に計測チップを外して貰うと木陰へと移動しヘルメット、グローブ、アイウェアを外し大の字で倒れこんだ。120%出し切って何も残っていない感じだ。空が青くて綺麗。次はちゃんとバイクで身体を作ってから参加しよう。ちくしょう…


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