政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

さまよえる麻生内閣

2008-11-18 16:55:12 | 麻生太郎
麻生内閣は成立する前から、すでに政権末期であった。
解散・総選挙を前提の内閣であったから。
麻生自身が解散・総選挙だけが自分の仕事だと考えていた。
本格政権・本格政策は総選挙勝利の後、と自民党のだれもが考えていた。
国民もすべては総選挙の後のことと考えていた。

ところがあっという間に中山国交相の大暴言事件発生。
前後して閣僚の政治資金・事務所費問題がゾロゾロ。
ふつうなら、政権末期に現れる現象だ。
しかしそれも、はじめから政権末期の麻生内閣では無理もないか!

麻生内閣の支持率が急落 発足2カ月で30%下回る (ANN news 11/17)

麻生内閣の支持率が急降下です。ANNが行った世論調査によると、麻生内閣の支持率は29.6%で、政権発足後、初めて3割を下回りました。

 この調査は、15日と16日の2日間に行いました。麻生内閣の支持率は29.6%で、先月の調査より13.2ポイント急落しました。9月の政権発足直後の支持率50.4%から2カ月で3割を切りました。定額給付金をめぐる迷走などが影響したものとみられます。政党支持率では、自民党が39%で先月の調査より4.9ポイント下げましたが、民主党も28.7%で0.5ポイント下げています。そのほかの政党では、公明党が3.9%、共産党が3.7%で、社民党が1%などとなっています。


内閣発足二ヶ月足らず、これで名実ともに政権末期症状が確定。
定額給付金のデタラメ振りに加えて、麻生が漢字もろくに読めない低学力児であることが判明したことが原因と思われる。
これまでなら漢字の読めないことなどは見て見ぬふりをしてきたマスコミも、どこかの局が取り上げるや、堰を切ったように報道し始めた。
まあ材料としては面白いから無理もない。
閣僚だけではなく、自民党の議員達もすっかり麻生に対する遠慮がなくなったとみえて、言いたい放題になってきた。
”尊敬されない総理大臣”というのはこうなると惨めなものだ。

党首会談も訳が分からぬままやってはみたものの、会談終了後の麻生の会見は支離滅裂。改めて面の皮の厚さと頭の悪さを露呈している。

「補正採決とテロの話、全然関係ない」17日の首相 (asahi.com 11/17)

 【党首会談】

 (記者団が置いたICレコーダーを見るなり)「今日、また多いな。はい」


なんでそんなにICレコーダーが多いのか分かったと見える。
どこの新聞社も麻生の言葉の間違いをしっかり記録しようとしていたんだろう。
こんな所には敏感らしい。

私の方からは、補正というものを今やっている真っ最中ですから、それをいつ出せるかは、今の段階で明快に答えることは出来ません、私としては、補正(と)言うものが出せるように努力をしておる最中です。それ以上に今の段階では申し上げられません。

『今やっている真っ最中』?
しかし、定額給付金等を含む経済対策をぶち上げたのは10月30日。すでに20日近く経っている。
『スピード感、迅速に』と繰り返していたのは麻生自身。
自分でぶち上げた経済対策を店ざらしにして平気でいる。

ただ、(2次)補正について私どもとしては、これ出したとき、審議はして頂けるんでしょうね、審議だけじゃダメですよ、採決もです、(と)言うこともして頂けるんでしょうね、って言ったら、これは自分が必ずその審議をいたずらに引き延ばすことはしない、というお話はされておられました」

麻生は補正予算を出す話をしているじゃないか。
出す気もなしに小沢に念押ししたのか?

小沢がテロ特措法の採決を拒否したことにはなにやら立腹の様子だ。

「それとテロ特(補給支援特措法改正案)と、なに、金融再生化法案(金融機能強化法改正案)とは全然関係ない話で、脈絡としては参議院という院で決められた話を、なに、党首の方で一方的に破棄されるというのはあんまり私どもとしては、すんなり納得致しかねます、と基本的にはそれですね」

小沢にしてみれば、もともと反対のテロ特措法だ。補正予算の審議がないのならなにもあわてて成立させる必要などまったくない。じっくり時間をかけて、出来れば否決ということにもっていくのは当然のことである。
何も麻生に非難される筋合いではない。

自民党議員達は一斉に”政局最優先の民主党”という非難の声を挙げているが、もともと自分たちの都合で解散を先送りしておいて、何を言ってるのやら。

――今国会に補正予算を提出する考えはあるか。

 「今国会に補正予算が出来れば、その考えがないわけではありません」


信じられない返答だ。
補正予算が出来れば、というがあれほど大騒ぎで宣伝していた経済対策。なにがなんでもまとめ上げて、一刻も早く成立させるのが麻生の務めではないか。
「その考えがないわけではありません」という言いぐさはどこを押せば出てくるのか。

 ――会期の延長についてはどう考えているか。

 「今の段階で、まだ会期真っ最中の前に言う話ではないと思います」

 ――会期末も近いが、いつまでにその判断はするのか。

 「会期末ぎりぎりまでに、いつも、会期延長か、するかしないかは、一月も前から決まっていることはありませんから。ぎりぎりにしか決まりません」


 ――補正予算が提出出来ないという場合、その場合どういった理由が考えられるか。

 「さあ、いろいろ考えられるんじゃないでしょうかねー。ちょっと、今できない理由っていうのは、ちょっと今からいくつか考えられるとは思いますけど、それをこの段階で言うつもりはありません」



予算が提出できない理由って、「いろいろ考えられる」ものなのか?
会期内に間に合わないという理由以外に何かあるのか?
「今できない理由っていうのは、ちょっと今からいくつか考えられるとは思いますが」
麻生の腹の中にはいくつかの理由があるのだろうが、言うわけにはいかない。
選挙向けに言ってみただけのデタラメ対策。
法案にまとめたら党内はますますテンヤワンヤ。
委員会でいじめられるのも目に見えている。
答弁で漢字の間違いでもやらかせばまた日本中の笑いものになる。
成り行きで解散なんてことになったら目も当てられない。
このままのらりくらりでやり過ごしている内にいい目が回ってこないとも限らない。

もともと、ただ総理大臣になりたかっただけなんだから。
総理大臣になったからといって、べつにやりたいことがあるわけではないし……。




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